乙女ゲームの悪役キャラに転生した悲劇……『悪役令嬢は隣国の王太子に溺愛される』のティアラが健気すぎて尊い
乙女ゲームで、主人公（ヒロイン）の女の子に嫌味を言ったり厳しく接してくるキャラっているじゃないですか？ そういうキャラって、ヒロインはハッピーエンドの中、たいていが報われないラストを迎えてしまいますよね。
そんな、救われない配役で転生してしまったとしたら……。あなたはこの運命を受け入れ、気丈に振る舞うことができるでしょうか？
今回ご紹介する、FLOSコミック連載作品『悪役令嬢は隣国の王太子に溺愛される』は、“小説家になろう”で反響を呼び、書籍版も5巻まで発売されている大人気シリーズのコミカライズです。
断罪イベントで婚約破棄され、国外追放の命を受けるはずだった悪役令嬢に転生したティアラローズ（以下、ティアラ）は、なぜこれほどの共感を集めたのでしょうか。詳しく迫っていきたいと思います。
断罪イベントまであとわずか!?
人気乙女ゲーム『ラピスラズリの指輪』の世界に転生した主人公。しかし、配役はまさかの悪役令嬢でした。
乙女ゲーをたしなむ者なら、たとえ役がヒロインでなくとも、自分が完全攻略したことのあるゲームならばと奮起するところですが……。
そんな希望は、“悪役令嬢への断罪イベント前日”という絶望的な状況の前に打ち砕かれてしまいます。
あまりにもショックだったのか、ティアラは前世の記憶を思い出すと同時に気絶。ふたたび目を覚ました場所は、学園の医務室でした。
目覚めたティアラの前に現れたのは、ゲームのメイン攻略キャラ、ハルトナイツ。
憧れのキャラクターの登場に、胸も高鳴りますが、それもつかの間のこと。
ハルトナイツの口をついて出てきたのは、ゲームでは聞いたこともないような冷たい言葉だったのです。
ゲーム中の彼が優しかったのは、プレイヤーに対してだけ。“悪役令嬢”であるティアラに対して冷たく振る舞う姿は、もはや別人のようでした。
いちいちトゲのある言いかたをするハルトナイツ。これでは、ティアラが「怖い」と感じるのもしかたありません。
ヒロインの座についたアカリという子も、何やら裏がありそうな雰囲気で、気になるところです。
そんなハルトナイツ、明日に迫った卒業パーティーでのエスコートを拒否るという、婚約者としてあり得ない態度を見せます。
しかしこれも、ヒロインがハルトナイツとのルートへ向かうために必要な裏シーン。
ティアラは、どうせ明日には断罪されるのだからと、それをあっさり許します。
……何でコイツ意外そうな顔してんの？
完全に自分のことしか見えていないハルトナイツに、ニコニコ漫画のコメント欄では「何この王子ブン殴りたい」と批判が殺到しました。
かくして、病室にひとり取り残されてしまったティアラ。
辛く惨めな断罪イベントシーンの開幕が、ジワジワと迫ってくるのでした。
バカ王子に届かなかったティアラの愛情
ティアラが断罪される理由は、“彼を奪われないようヒロインにキツく当たったこと”でした。
その理由に疑問を抱いた彼女は、「ゲームの印象ほど酷いことはしていないと思う」と、過去を振り返ります。
彼女の身分は、由緒正しき侯爵家の令嬢です。
これまでの発言も、ダンスのマナーを正したり、不適切なボディタッチをたしなめたりと、じつに常識的なもの。立場を考えれば当然です。
待って、めっちゃええ子やん……。儚げに微笑む彼女が、ただひたすらに尊い。
コメントでも「切ないなぁ」、「こういう愛は素晴らしいね」と、共感の声が相次ぎます。
しかし、優しい両親に迷惑をかけたくない彼女は、断罪が待っている卒業パーティーへの出席を決意。
断罪後に、国外追放されることも前向きに受け止め、明るさを取り戻すのでした。
覚悟を決め、パーティー会場へ向かう馬車に乗り込むティアラ。
彼女はこのまま、断罪＆国外追放を受け入れるしかないのでしょうか……!?
彼女に手を差し伸べるのは……？
パーティー会場へ向かうティアラでしたが、ここで場面は物語の冒頭へとさかのぼります。
目覚めた彼女が、バカ王子に最低な言葉をかけられる少しだけ前。彼女のことを見つめていたのは、隣国の王太子・アクアスティードでした。
すると突然、気を失って倒れてしまうティアラ。
すかさず彼女を抱きとめたアクアスティードは、医務室へと向かう道で思いを巡らせます。
あくまでティアラのことを気遣う、アクアスティード。
それもそのはず、彼はティアラに恋心を抱いていたのです。
しかし、他国の王子の婚約者に手を出すなど、言語道断。
アクアスティードは、初めて愛しい彼女に触れたぬくもりを振り払い、医務室から立ち去っていくのでした……。
さあ、乙女ゲーのルートから完全に外れつつありますが、いったいこの先どのような物語を紡いでいくのでしょうか。気になった方は、単行本第1巻が6月15日より発売されているので、手に取ってみてはいかがでしょう。
また、単行本発売を記念して“ティアラとアクア様に現代で行ってほしいデートスポット”コメント募集企画の結果も、お披露目されています。現代縛りということで、描き下ろしイラストも本編とはひと味違った雰囲気に。ぜひ、チェックをお忘れなく！
（画像はニコニコ漫画『悪役令嬢は隣国の王太子に溺愛される』より）
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