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「矯正施設へ送られる息子を見て喜ぶ母娘」「デリヘル嬢の爪を食べる紳士」…怪談大好き・徳光正行が語る“ほんとにいた怖い人たち”

外国人が営業する居酒屋で自分の片腕が賭け事の対象に

 僕らよりちょっと年下の子が、昔、関東近郊の地方都市の大学に、普通に一人暮らしをして通っていました。バイトのお金が入ったから、ある日、居酒屋に行きました。今でこそ結構、外国人のウエイターやウェイトレスがたくさんいるけれど、地方都市だし、そんなにはいない時代でした。

 接客してくれて、まあまあお酒も飲んでご飯を食べて、会計も終わって「アリガトウゴザイマシタ。マタ、イラシテクダサイ」と。そして、家に帰ってカバンから鍵を出そうとしたら、鍵がないと。「落としたか……」と、たどってきた道を戻って探しました。そんなに居酒屋から自分のアパートまで遠くなかったんですね。

 居酒屋にたどり着いたら、居酒屋の前に車が停まっていたんです。「あれ、さっきこんな車、停まっていたかな?」と思って。一応車が停まっている場所も通ってきた道だから、車の下も覗きたくなりますよね。

ニポポ:
 そうですね。

徳光:
 パッと見たら、鍵らしき物が落ちていた。よかった! と。でも車が停まっているからどうしようと。そして、車の下に手を入れたら、なんとエンジンがかかって車が自分の腕の上を通過したんです。いってぇ~!となりますよね。

ニポポ:
 重いでしょう。

徳光:
 車輪が乗ったまま。そうしたらさっきの外国人の店員が来て「ナンデアナタ、手引カナイ!」と。運転席に乗っていたやつが「俺の勝ちだから金をよこせ」と。腕を引くかどうかというのを、賭け事の対象に使われていたんですって。

 なかなかおもしろい話ですよ。「アナタ、許サナイヨ!」って、「デモアナタ、カワイソウ」って、クシャクシャになった1000円札を投げられたらしい。

ニポポ:
 (笑)。

徳光:
 1000円で腕の骨折は治らないから(笑)。

幼少期よく遊んだ友人宅。数年後、押入れからえい児の死体発見

徳光:
 これは極めて私の地元に近い人の話なんですけれども、仮名をアサミちゃんにしましょう。アサミちゃんの同級生に、アキコちゃん(仮名)という子がいた。アキコちゃんの家によく行っていたんですって。そこでおままごとをしていた。おままごとの最中に、アキコちゃんがちょっとお手洗いに行きまして。

 おままごとの道具を見ているうちに、ちょっと他にもないかなと押入れを開けようとしたら、「ダメ! そこ、赤ちゃんがいるの」と。

 「どういうこと?」と言ったら、「そこを開けちゃうと赤ちゃんの泣き声がするから、閉めておいて」と。ちょっと怖くなりますよね。

 おままごともそこそこに帰ってきて、お母さんに「アキコちゃんの家って赤ちゃんいるの?」って聞いたら「聞いたことないよ」と。

 「でもね、きょうアキコちゃんが赤ちゃんの泣き声がするから、押し入れを開けないでって言われたんだ」って。幼児期というのは、そういった物語を作っちゃったりというのが、どうしてもありますよね。

ニポポ:
 脳内で。そうですね。

徳光:
 それでお母さんはうまく説明してアサミちゃんをなだめた。近所に住んでいたんだけれど、アサミちゃんは私立の学校に行って、アキコちゃんは地元の学校に行くと。ちょっと疎遠になり、学校というコミュニティを優先するようになって、しばらく会うこともなくて。

 ある日、中学生ぐらいになった時にアキコちゃんの家の前を通ったら、どうやら人がいなくなっていた。自分が遊びよく行っていた時よりも、ちょっと庭が荒れた状態。家に帰って「アキコちゃんの家って、引っ越したの?」とお母さんに聞いたら「知らないわね」と。

 次の日、解体がはじまったんです。解体屋さんが来て、解体している時にたまたまアサミちゃんのお母さんが通った。「もう勘弁してほしいよ、あの家」「ゴミ屋敷だよ」と。女の子向けのお弁当箱みたいなのが何十段にもなって、そのまわりにネズミの巣があって。

 「奥さん、このあと警察が来るから言っちゃダメだよ」と言われたのが、押入れにえい児の遺体が三体ぐらい入っていた。しばらくして警察が来て、「アサミちゃんの家に不審なことはなかったですか」と。子供の鳴き声が聞こえたりとか。心当たりはない。でもその時にアサミちゃんは「あっ!」と思い出した。

 近所に噂好きのおばあさんっていますよね。

ニポポ:
 いますね。

徳光:
 「ちょっと聞いてよ。アキコちゃんの家、お父さんがアキコちゃんを犯してた」って。そのえい児を全部押入れに置いていたと。ただ、思い返してもアキコちゃんとアサミちゃんがおままごとをしていたのって、幼稚園ぐらいでしょう。

 その時にはたぶん、えい児はいなかったはずなんですよね。でも「そこ開けちゃダメ!」と幼い時に言われていた。ちょっと心霊話みたいになって申し訳ないんですけれども、まるで予知したかのように……。

ニポポ:
 そうか、「ここに入ることになるんだぞ」というのが……。

徳光:
 分からないけれども、アキコちゃんの耳には聞こえていたのかもしれないですね。

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