甘酸っぱい青春ストーリーに心がじんわり温かくなる。地味でポンコツな『隣の席の佐藤さん』が 無性に愛おしい
どこにでもいるような地味っ子・佐藤さんと、席替えで隣の席になった山口くん。彼は佐藤さんのことを「苦手」と思いつつも、不思議と惹かれていくようになり……。
劇的な展開があるわけでもなく、何気ない日常の中で距離を縮めていく……今回紹介する『隣の席の佐藤さん』では、そんな素朴で甘酸っぱい青春模様が描かれています。
佐藤さんとの会話がどうも噛み合わない
1話冒頭、不幸にもルーズリーフの端で指を切ってしまった山口くん。
そんな彼に「切っちゃったの?」と声をかけてきた隣の席の佐藤さんは、そっぽむく山口くんを尻目にごそごそとポケットを探り始めます。
彼女が取り出したのは、なんともファンシーなネコの絆創膏。
山口くんは高校生男子として「それはちょっと……可愛すぎるよ」とためらいを見せますが、佐藤さんは「うん、可愛いよね」とイマイチ噛み合わない返答。
このように、佐藤さんはどこか抜けている女の子なのでした。
山口くんは、そんな佐藤さんに苦手意識を持っており、隣の席になってしまったことを「本当についてない」とまで思っている様子。
つい心の中で佐藤さんのことをボロクソに言う山口くんですが、毎日彼女と顔を合わせる身だからこそという部分もあるかもしれません。
しかしどうでしょう、ここまで佐藤さんのことを意識してしまっている時点で、すでに山口くんの負けとも言える気が……?
佐藤さんの無自覚な大胆ムーブに胸キュン!?
世話好きだけど微妙にポンコツな佐藤さんを、煩わしく感じている山口くん。
結局、「気持ちは嬉しいんだけど……」と佐藤さんの厚意をやんわり断ってしまいます。
その言葉に、ようやくハッと気付いたような表情を見せた佐藤さん。
しかし、何を思ったか彼女はガタッと席を立ち……。
なんと、みずから彼の手を取って絆創膏を巻いてあげるという大胆な行動に打って出ます。
どうやら佐藤さんは、彼が利き手を怪我して絆創膏が巻けなかったのだと早とちりした模様。
とはいえ、こんな天使のような振る舞いをされては健全な高校生男子が平静を保てるわけもなく……。
「あー……」と何か伝えようとする山口くんですが、タイミング悪く先生が教室にやってきたため、会話らしい会話もないまま授業へと突入。
ここで山口くんがスマートにお礼のひとつでも言えれば……とは思うものの、こういう素直になれない展開もまた甘酸っぱいです。
その後の授業中も、指先の絆創膏が気になってしまう山口くんですが、佐藤さんを意識せざるを得なくなっている自分に気付き、恥ずかしそうに目をそらします。
そして、何気ない日常のひとコマを締めくくる「僕は、佐藤さんが苦手だった」という彼のモノローグ。胸にしみじみと染み渡っていくようです。
やっぱり佐藤さんの隣はろくなことがない!?
意外に積極的(?)な一面を見せて、山口くんの心を無意識にかき乱した佐藤さん。
しかし、ふだんの彼女はどこか抜けており、勉強もからっきしなポンコツ具合で……。
先生に英訳問題を当てられて、真っ赤になりながら慌てる佐藤さんは正直めちゃめちゃカワイイのですが……。
さすがに山口くんは見かねたようで、彼女に助け舟を出してあげます。
結果、彼のお陰でピンチを乗り切ることができ、感激する佐藤さん。
一方の山口くんは、べつに親切心で助けたわけでもないのに、彼女から何度もお礼を言われて調子が狂ってしまった様子。
さらに運悪く、今度は山口くんが先生の指名を受けてしまいます。
不意打ちを食らった山口くんは、ページがわからず赤っ恥。
思わず「お礼をしてくれるというなら、今でしょ!」とばかりに、佐藤さんへと目線を向けるのですが……。
……残念ながら、佐藤さんからの手助けは期待できないようで。
バツの悪そうな表情の彼女を見て、山口くんは改めて「佐藤さんが隣の席だと、本当にろくなことがない」と痛感するのでした。
このように、今後もふたりの関係は、等身大の学校生活の中で一進一退をくり返していきます。
劇的でもなければ、特別でもない、そんなふたりのやりとりですが、読んでいて無性に愛おしくなってしまう本作。彼らがこの先どう心の距離を縮めていくのか、気になった方は2019年8月21日発売のコミックス第1巻を手に取ってみてください。
(画像はニコニコ漫画『隣の席の佐藤さん』より)
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