元魔王(メイド)とワケアリ依頼を解決。『魔王討伐したあと、目立ちたくないのでギルドマスターになった』美少女に囲まれる隠居生活が素敵すぎる
冒険ファンタジーものにおいて、ラスボス討伐後の勇者とはいったいどんな“第二の人生”を歩むものなのでしょうか。
『魔王討伐したあと、目立ちたくないのでギルドマスターになった』では、そんな身の振りかたを熟考した末に小さなギルドを立ち上げた元・英雄の姿が描かれます。
“定年後は田舎でカフェ経営”なんて隠居ライフとはひと味もふた味も違う、主人公のシビレる活躍をどうぞお楽しみください!
元英雄が世を忍ぶ道を選んだ理由とは
本作の主人公、ディック・シルバーは、かつて魔王を討伐したSSSランクの冒険者。
彼を含む魔王討伐隊の5名は、その多大な戦果と当時の若さから“奇跡の子どもたち”と呼ばれ、人々から英雄視されていました。
しかしそんな活躍の最中にディックが何より案じていたのは、自分たちの帰還後の身の振りかた。
確かに、魔王を倒した勇者など一歩間違えれば魔王以上の驚異になりかねないため、腫れ物扱いを受けることは必至。「うまく立ち回らないとあとが面倒だ」という彼の言葉にもうなずけます。
そこでディックは、帰還後の国王との謁見の場で「新しいギルドを作る許可をいただきたいのですが」と進言。
国王の彼に対する評価や、大それた褒美を求めず謙遜する彼に対しパーティの面々は何か言いたげな様子でしたが……。
このギルド立ち上げこそ、彼が最良と考えた「目立たずに最大の利益を得られる生き方」だったのです。
なぜ、ディックが表立って英雄としての威光を振りかざすことを良しとしないのか。
彼がこうした考えかたを持つようになった理由には、ある幼少期の苦い経験が関係しています。
当時、類まれな才能を持ちつつも、そのことを自覚していなかったディック少年は、村に突然現れた魔獣を単独で撃退。
すると村人たちはそんな勇敢な少年を称賛するでもなく、逆に恐れをなして遠ざけるようになってしまったというのです。
しかし、だからといって力なき人々を憎んだり見下したりしなかったことはディックの美徳と言えるでしょう。
魔王討伐から5年が経ち、いまでは“銀の水瓶亭”というギルドハウスの経営者となったディック。
されど彼は生来の気高さを失うことなく、この小さな店に持ち込まれる数々の依頼を解決していくのでした。……ただし目立たないように。
ディックが見せた鮮やかなる手腕
元英雄のディックがマスターを務める“銀の水瓶亭”には、優秀なギルド員が集まります。
じつはこちらのメイド服に身を包んだエルフ耳の女性は、かつてディックが討伐したはずの魔王でした。
彼はそのことを知りながら店に迎え入れ、さらに店内では自分を客として扱わせるなど、何かとキナ臭い立ち回りを見せるのですが……これもすべては世を忍ぶため。
もっとも魔王がこのギルドハウスを訪れたもともとの理由は、5年くらいしたら“護符”を返してもらえるという彼との約束があったから。
“護符”は魔王の能力の一部を担う重要なアイテムらしいのですが、なぜか彼女はいろいろと理由を付けてそれを受け取らず、勝手に店員として働き始めてしまったそうな。
……要するにこの魔王、ただの押しかけ女房と化してしまっているようです。
そんな彼の隠れ家的ギルドハウスには、しばしばワケアリな依頼が舞い込んできます。
この日、店を訪ねてきたのはフードを目深に被った女性。合言葉のやり取りを終えた後で、彼女はギルドの実力を疑りながらも依頼内容を口にします。
女性の依頼は、ズバリこの国の第一王女マナリナの婚約を破棄させること。
自分を王女の侍女だと主張するこの人物が言うに「王女殿下は結婚を望んでおられない」らしく、相当に思いつめている模様です。
王族特権として御前試合を開き、婚約相手の公爵に勝つことで破談にするという方法もあるとはいえ、戦闘となれば王女が公爵に敵うはずもありません。
すると飲んだくれに扮してその話を隣で聞いていたディックは、何を思ったかミルクを注文します。
「持ち込まれた依頼をどのような方法を使ってでも解決する」というのがディックのポリシー。
女性の依頼を目立たず確実に解決するべく、彼はミルクに手をかざしてとある細工を施すのでした。
そして、細工済みのミルクを「俺のおごりだよ」と女性に差し出したディック。
続けて店員のエルフメイドも、御前試合で王女が必ず勝てるように段取りしておくことを約束し、女性には「王女殿下には何も心配せず決闘の場に赴かれるようにとお伝えください」と告げます。
表面上では話しを聞いてもらいつつミルクをおごられただけなため、依頼人の女性が心配顔になるのも無理はありませんが……たったこれだけで解決に導いてしまうのがディックのスゴイところ。
そして店員の言葉通り、その後の御前試合にてマナリナ王女は公爵の剣を高々と弾き、悲願の勝利をつかむのでした。
薄々勘付いていた方もいるかもしれませんが、じつは“銀の水瓶亭”を訪れていた依頼人の女性はマナリナ王女ご本人!
依頼人の素性をあえて問い詰めず、解決方法すらも悟らせないまま依頼を達成するとはさすが元・英雄。見事な手腕です……!
かつてのパーティメンバーたちとの再会も!
さりげなくも鮮やかな“仕事人”っぷりを披露してくれたディック。
今後も彼は、ワケアリ依頼を請け負う秘密主義のギルドハウスに身を隠しながらシビレる活躍を見せてくれるのですが……。
いくらディックがうまく目立たず立ち回ろうとも、かつてのパーティメンバーたちは彼を放っておいてはくれません。
御前試合の結果を見て、ディックが強化魔法を使ったに違いないと店に乗り込んできたのはミラルカ・イーリス。
彼女は、その美貌とくり出す殲滅魔法の恐るべき威力から“可憐なる災厄”という二つ名がついた魔法使いです。
そして、ミラルカとの再会を喜び過激なスキンシップをおっぱじめたポニテの女性は、アイリーン・シュペリア。
“妖艶にして鬼神”というヤバ気な二つ名を持つ彼女は、じつは以前からフリーの立場で“銀の水瓶亭”に出入りしていました。
さらには、いまなお王国の騎士団長として活躍する“輝ける光剣”ことコーディ・エルステッドも彼の前に姿を表します。
こうした旧友たちとの再会により、ディックは世を忍びながらもにぎやかで大忙しな日々を送ることになるのでした。
魔王討伐から5年後のいまでも、ディックに対し全幅の信頼を寄せている様子のかつてのパーティメンバーたち。
自身の持つ力を腐らせず、助けを必要としている人に目立たない形で届ける。あくまで彼の基本方針は変わらずとも、ふたたび“奇跡の子どもたち”が共闘する日はそう遠くない気配がします。
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(画像はニコニコ漫画『魔王討伐したあと、目立ちたくないのでギルドマスターになった』より)
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