仕事、辞めるか──『辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~』はブラックお役所を脱サラした最強錬金術師のスローライフ物語
ニコニコ漫画「異世界コミック」にて掲載中の『辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~』は、ブラックお役所で散々な扱いを受けた錬金術師が退職して、辺境でスローライフをおくるお話。
この錬金術師(主人公)、お役所では評価されていませんでしたが、じつは最高峰の技術を持っていて……その実力でさまざまな問題を解決していく本作。スゴ腕&イケメンな好青年が苦境を軽やかにはね除けていく様子をぜひお楽しみください。
著者:ぐんたお(@ocha_san_pixiv)
原作:御手々ぽんた(@Ponp0nta)
キャラクター原案:又市マタロー(@mataichi_mataro)
不憫すぎる基礎研究課
1000本ものガラス瓶を並べ、「よし、今日のぶんは完成だ」とつぶやいたルスト。
彼が丹精込めてこしらえていたのは、魔力入りの蒸留水。錬金術のデキを左右する基本にして最重要の素材です。
ルストは“協会”の基礎研究課に所属する、いわゆるお役所勤めの錬金術師。
花形の武具錬成課と比べるとどうしても地味な課であるだけに、組織内での立場も弱いようで……。
じつは彼が蒸留水をせっせと作っていたのも、単にほかの課から押しつけられた雑用に過ぎなかったのでした。
そんな不憫なルストのもとに、耳を疑うようなバッドニュースが舞い込みます。
なんと協会長から直々に、基礎研究課の予算100%カット――つまりは課の解体を言い渡されてしまったのです!
協会長が偉そうにふかしていた魔道具のパイプひとつとっても、基礎研究課の存在なくしては開発できなかったというのに。
これまでの自分の働きが何ひとつ正当に評価されていなかったことを知ったルストは、上層部の無能ぶりに心底落胆します。
すると、そんな閉塞感漂う状況を見計らったように旧友・カリーンからの便りが到着!
そこには何やら、彼女がもらったという辺境の領地開拓を手伝ってほしいとの旨が記されておりました。
少しだけ悩んだ末に、ルストは協会長室へとUターン。
堂々と辞表を叩きつけ、その日のうちに職場から去っていくことにしたのでした!
縁の下の力持ちである彼を失った“協会”は、今後どうなってしまうことやら。くわばら、くわばら……。
旧友を訪ねる道中で……!?
無能なお役所を見限り、友人のカリーンに助太刀すべく外の世界に飛び出したルスト。
リュックひとつぶんの荷物しかない身軽さですが、頼れる相棒・ヒポポもいるため不安はありません。
ちなみにこの騎獣ヒポポですが、8本足なだけのヘンテコなカバと侮ることなかれ。
主人に似て非常に賢く、戦闘力もかなり高め。これからの道中でも大活躍してくれるので、ぜひご期待ください。
そんなヒポポのファインプレー第1号がこちら。異変を察知した彼は、即座に主人に合図を送ります。
急いで現場に向かうと、そこに倒れていたのは神官騎士の女性。どうやら高熱により意識を失っているようです。
おそらくは、この先に自生する薬草を求めてやってきたのだろう。
ルストが手早く応急手当を施していく最中、彼女が何者からかによる呪いを受けていることも判明します!
病気で倒れていたならまだしも、人為的な呪術となると穏やかではありません。
ただ、幸いにも呪い自体は緊急性が低く、発熱の原因となった毒の種類もすぐに突き止めることができました。
もっとも、手持ちのポーションで解毒することは不可能。
……であれば、ルストは「新しく作るか」と立ち上がるのでした。さあ、お手並み拝見といきましょう!
概念としての水
倒れていた神官騎士の護衛をヒポポに任せ、さっそくポーション素材の採取に向かったルスト。
こんな状況でも冷静さを崩さず、鋭い観察眼を発揮できるところに彼の実力の高さがうかがえます。
状況的に品質よりもスピードを優先すべきと判断したルストは、鮮やかな手さばきでスクロールを多重展開。
まずは、目の前に広がる湖から水を対象に取ると……。
冒頭に見せた最高品質の蒸留水をもしのぐ、完全なる純粋を作成!
物質の枠を超えた概念としての水を具現化し、その中に薬草などを溶かしていきます。
ルストによって“物を溶かす力”を限界まで引き出された水は、自らの力だけで薬草を完全に分解。
見事、黄金色の輝きを放つ高濃度のポーションを完成させたのでした。
錬金術の基本中の基本である水。それを扱う技術を高めてきたことが、よもやこれほどの成果につながるとは……!
ルストの作ったポーションのおかげで、無事に意識を取り戻した神官騎士のタウラ。
状況を把握して恐縮しきりの彼女に対しては、持ち前の人当たりのよさを発揮してその場を丸く収めます。
きっと今後もルストは、このようにしてナチュラルに味方を増やしていくのでしょう。
改めてポーションを飲み干してもらったところで、タウラの呪いはキレイさっぱり消失。安堵から涙を流します。
ちなみに毒だけでなく呪いも解除できたワケはポーションの薬効ではなく、錬金に使われた水そのものの作用なのだそう。
ルストが生み出す純水は、純度が高すぎるあまり聖水をもしのぐ解呪効果を持つようです。これを「おまけの作用」なんて言ってしまうところがまたスゴいです。
あくまで基礎力だけでも、これほどの実力を示してみせたルスト。
彼ほどの男が辺境の地で自由気ままにスローライフしながら開拓を行ったりしたら、リアルな桃源郷が生まれてしまうのは確実なのでは!?
そんな、大いなる物語の幕開けを感じさせる本作。興味を持った方は、ぜひ続くエピソードをチェックしてみてください!
(画像はニコニコ漫画『辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~』より)
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