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ペイトン尚未「1日たりともボカロを聴かなかった日はない」。「回せツインテール」「あなたに光が降り注ぎますように」など、厳選を重ねた10曲とバーチャルシンガーへの愛を語る

 様々なシーンで活躍するVOCALOID好きの著名人に楽曲プレイリストを作成してもらい、それを元にインタビューを行う本企画。今回は大のボカロファンとしても知られる声優、ペイトン尚未が登場。ボカロに出会ってから今まで毎日ボカロ曲を聴いてきたという彼女が厳選した楽曲を曲順までこだわり抜いて並べたプレイリストについて、そしてバーチャルシンガーへ抱く愛について、たっぷりと語ってもらった。


ライブ映像をきっかけに気付いたバーチャルシンガーの可愛らしさ

──ペイトンさんがボカロに出会ったきっかけを教えてください。

ペイトン:
 ボカロを知ったのは2016年、中学一年生の秋でした。当時部活動にいた先輩がボカロを聴いていて、自分も聴いてみようと思ったのがきっかけです。

──最初に聴いた曲は覚えていますか?

ペイトン:
 オワタPさんの「トルコ行進曲 – オワタ\(^o^)/」でした。今でこそボカロ曲を聴いても歌詞がすっと入ってきますけど、当時は人が歌っている歌にしか馴染みがなかったので、初めて聴いたときは歌詞を見ないと歌詞が聞き取れなかったんですよね。なので最初は「もしかしたら聞き取るの得意じゃないかもしれない」と思ったんですけど、それが逆に癖になったというか。人の声では絶対に出せないボカロらしさが自分の中ではすごく新鮮で、面白いなと思いました。ネガティブな意味ではなく、いい意味での声の違和感に取りつかれた記憶があります。

──それをきっかけに、ご自身でも曲を調べて聴くようになったんですか?

ペイトン:
 そうですね。「初音ミク 曲」みたいな感じで調べるようになって、どんどんミクさんの声の可愛さにハマっていきました。あとはライブ映像をBlu-rayなどで見て、ミクさんたちが動いている姿を見て「なんて可愛らしいんだろう!」と思って。それが自分の中では印象的だったので、ライブ映像は更にハマっていくきっかけになったのかなと思います。
ボカロを好きになってから7年間、1日たりともボカロを聴いていない日はなかったんじゃないかと思うくらいずっと聴き続けていますね。

平成から令和の楽曲まで。ペイトン尚未が厳選したボカロ曲

──その愛の大きさは、今回作っていただいたプレイリストからもすごく伝わりました。たくさんのボカロ曲を聴いてきた方なのだろうなと。

ペイトン:
 いやいや、好きな曲を選ばせていただいただけです。(笑)

──7年間毎日様々なボカロ曲を聴いてきた中から10曲に絞るのは、すごく大変だったのではないですか?

ペイトン:
 本当に大変でした。「なんで10曲だけなの!」って思って。(笑) 100曲でも足りないくらいなのに、10曲となると厳選に厳選でしたね。今回選んだ10曲は全部、心から大好きな曲です。

──厳選したというと、10曲をセレクトしていくというよりは少しずつ絞り込む選び方に近かったとは思いますが、その中でも「この曲だけは絶対に入れたい」と思った曲はありましたか?

ペイトン:
 9曲目に入れた「あなたに光が降り注ぎますように」は是非入れたいと思った曲です。この曲は今年の1月に投稿されたばかりの比較的新しい曲なんですけど、私がルカ姉さんやバーチャルシンガーのことが大好きな理由がこの曲に全て詰まっているんです。ルカ姉さんの艶やかで大人っぽい声で歌い上げるバラードという意味でもすごく好きな曲ですし、歌詞を見ても、この曲を書かれた方は私と同じようにすごくボカロが大好きなんだろうと伝わってきて。違ったら申し訳ないんですけど、この曲はルカ姉さん目線の歌なのかなと勝手に解釈しているんです。この曲を聴いて、ルカ姉さんが持ってる優しさとか、「幸せになってほしい」って思ってくれてることがすごく伝わってきて。初めて聴いたときは涙が止まらなくなってしまうくらい心を動かされましたね。

──今回のプレイリストで「あなたに光が降り注ぎますように」を聴いたとき、このプレイリストは曲順もこだわられているのだろうと感じました。

ペイトン:
 そうなんです、実はこだわりました。ひとつのライブのセットリストみたいな感じにできたらいいなと思っていて。曲順もかなり迷ったんですけど、私自身がミクさんたちのライブによく行っていたり映像を観て楽しませていただいているので、そういった部分も参考にしながら並べました。

──1曲目はmaras k(marasy×kors k)の「回せツインテール」です。この曲をプレイリストの最初の曲に選んだ理由というと?

ペイトン:
 「回せツインテール」はとにかく盛り上がる曲じゃないですか。プレイリストの1曲目ってやっぱりテンションの高いものを選んだ方が、次の曲も盛り上がったままのテンションで聴けるし高揚感を感じられるかなと思って、この曲にしました。この曲がライブの1曲目にあったらぶちあがるだろうなと想像しながら選びましたね。

──その後に続くとくPの「COLOR」は2009年の楽曲、ふわふわシナモンの「RING×RING×RING」は2008年の楽曲と、ボカロ黎明期の楽曲が並んでいますね。

ペイトン:
 そうですね。1曲目のmaras kさんの「回せツインテール」は去年の楽曲なので、プレイリストを順番に聴くことで令和から平成に一気に巻き戻される感覚も楽しんでもらいたいなと思ったんです。
でも「COLOR」をはじめて聴いたのは、実は令和に入ってからで。初めて聴いたとき、「あ、平成だ!」と思ったんです。本当に平成の良いボカロ曲だと思いましたし、キャッチーなメロディーですごく覚えやすいし。タイトルの「COLOR」という言葉もサビ中でたくさん出てくるので、一度聴いたら忘れられない曲だなと思いました。サウンドはすごく格好いいのに、そこにミクさんの可愛らしい丸い声が乗っているのが最高にマッチしていてすごく好きな曲です。

──「COLOR」は令和になってから聴いたとおっしゃっていましたが、ボカロ曲は日々新しい楽曲が増えていく分、意識的に古い曲を探すのは難しいようにも思います。ペイトンさんは古いボカロ曲をどのように探しているんですか?

ペイトン:
 「COLOR」の場合で言うと、ボカロにハマった当初からとくPさんの「SPiCa」をよく聴いていたんです。「SPiCa」はライブでも披露されている曲なので知っていたんですけど、あるときとくさんの他の曲も聴いてみようと思って、とくさんの投稿動画を遡る形で見つけたのが「COLOR」でした。それ以外の場合だと、普段からボカコレのアプリを愛用させていただいているんですけど、そこで他の方がまとめた「平成のボカロプレイリスト」を聴いたりして曲を見つけることもあります。

「私にとってボカロは生きる希望」。バーチャルシンガーへの深い愛情

──「RING×RING×RING」はいつ頃に出会った曲なんですか?

ペイトン:
 この曲は、私がボカロを知ったばかりの頃に初めて聴いた曲です。リンちゃんが可愛くて、リンちゃんの曲をいっぱい聴こうと探していた時期があって。そのときに「RING×RING×RING」にたどり着いて、「こういう曲が聴きたかったんだよ!」ってすごく思ったんです。(笑) それくらい、この曲はリンちゃんのための曲だと思って。リンちゃんの歌う曲はたくさんありますけど、特にこの曲は大好きです。

──カイトさんが歌う「上弦の月」も選曲されていますが、こちらを選んだ理由というと?

ペイトン:
 今回のプレイリスト、クリプトンの6人を絶対に入れたかったんです。その中でもカイト兄さんの曲は大好きな曲がたくさんありすぎて、一番迷いました。私が高校生のときに「千本桜」を元にした小説を読んだんですけど、全6巻ある物語を読み進めていくうちに、カイト兄さんのことが大好きになっちゃって。「恋かも!」と思うくらい。(笑) カイト兄さんの曲で好きな曲はたくさんありますけど、カイト兄さんのことをより一層好きになれたきっかけが「千本桜」シリーズだったので、そこから「上弦の月」を選ばせていただきました。

──メイコさんの楽曲には「Mellow Yellow」を選曲しています。

ペイトン:
 『初音ミク Project DIVA Future Tone』というPS4のゲームにハマっていた時期があったんですけど、そこで出会った曲です。それまでももちろんメイコ姉さんのことは大好きで曲を聴いていたんですけど、この曲はメイコ姉さんの声の魅力をより知れた曲なんです。メイコ姉さんと言ったら大人の女性の方というイメージがあるんですけど、そんな大人びた方が歌う切ない夏の歌を聴いて、感動しちゃって。こんな声になりたいなと思いました。(笑) 特に夏の終わりに聴きたくなる曲ですね。

──お話を聞いていて、1人1人のバーチャルシンガーへの愛がすごく伝わります。

ペイトン:
 そんなことないです。(笑) まだまだもっと好きになる予定ですから。

──プレイリストの最後の曲は「TODAY THE FUTURE」ですが、10曲の締めくくりということで、こちらもこだわって選ばれたんですか?

ペイトン:
 はい。この曲は聴くたびに「ミクさんに出会ってよかったな」と思う曲なんです。9曲目の「あなたに光が降り注ぎますように」はすごくしっとりしている曲ですし、しんみりして終わるのもすごくいいと思ったんですけど、やっぱり私はボカロが元気よく歌っているところを見るのが好きなんです。それは私が思うボカロらしさなので解釈違いだと思う方もいるかもしれないんですけど、やっぱりミクさんたちは笑ってる顔が似合うよなと思って、この曲で締めさせていただきました。

──改めて、ペイトンさんにとってボカロはどんな存在ですか?

ペイトン:
 私は他の方が一人のアイドルや女優さん、モデルさんを推すように、一人の人間だと思ってボーカロイドを応援しているんです。私にとってボカロは生きる希望……っていうと重いですけど。(笑) 
でもボカロって、一人の人が曲を書いているわけじゃなくて、いろんな方が曲を書いているじゃないですか。ボカロPによって考え方や好きなものも違うだろうし、曲ごとに個性は本当にバラバラだと思うんです。だからボカロ曲には悲しいときに聴きたい曲もあるし、楽しくなりたいときに聴きたい曲もあるし、ホラーチックな曲もあるじゃないですか。ボカロというジャンルにいろんな曲が集まっているので、人間以上に人間に寄り添ってくれる存在だなと思いますね。

「ボカロ曲を出すとしても、名前は変えて出すかもしれない」

──ペイトンさんは最近、ボカロPのしがない高校生の楽曲「リコルド feat.ペイトン尚未」にボーカルで参加されました。これはいちボカロリスナーとしても感慨深い出来事だったのではないでしょうか。

ペイトン:
 まさかって思いました。しがない高校生さんの曲は、お話をいただく前からボカロ曲だけでなくインスト曲も聴いていたので、いちファンとして「そんなすごい方の曲を私が歌っていいんですか」という気持ちがありました。でも自分の名前の前にフィーチャリングという言葉がつくからには全力でいい歌にしないといけないと思ったので、「おこがましいです」みたいな気持ちは取っ払って歌わせていただきました。本当に感謝の気持ちでいっぱいですね。

──ペイトンさんは『ラブライブ!スーパースター!!』に登場するグループLiella!のメンバーとしても活動されています。『ラブライブ!』という二次元で展開されてるコンテンツの中で、実際に会いに行けるライブ活動もしているという点では、2次元と3次元を結ぶという意味でボーカロイドとも通じる側面があるように感じられます。そういった形で舞台に立つ経験をされていて、ボカロのライブを観た経験が活きていると感じることはありますか?

ペイトン:
 すごく正直な話をすると、ミクさんのライブを観た経験が、私がステージに立つことの参考になるかと聞かれたらそれはないんです。そもそもミクさんとは喉の作りどころか、次元も違うので。でも参考にならないからこそ、ずっと理想のままでい続けてくださるんですよね。
 ただ強いて挙げるなら、ミクさんのライブではミクさんが登場するだけでその場が沸いて、ミクさんが喋るだけで「喋った!」となるじゃないですか。その場の空気を作るのがミクさん含めた6人は本当に上手なんです。なので私もなにも言葉を発さなくても空気を作り上げられるようなパフォーマーとして成長していきたいと思っています。

──ペイトンさんが今後、ボカロに関連して挑戦してみたいことはありますか?

ペイトン:
 実際に私もボカロ曲を作りたいなとはずっと思っているんです。いつかニコニコ動画に投稿できたらいいなと思っていて。でも私、「ペイトン尚未がボカロ曲を作りました」という風には出したくなくて。私のことを応援してくださっている方の中には「ペイちゃんが曲を出したら絶対聴きます」という方もたくさんいらっしゃると思うんですけど、そうじゃないんですよね。ボカロが本当に好きで、検索してボカロ曲を探しているような人に自分が作った曲を見つけてもらいたいと思うので、ボカロ曲を出すとしても名前は変えて出すかもしれないです。

──ずっと聴いているからこそ、ニコニコ動画の古くからのあり方に倣いたいと。

ペイトン:
 そうですね。ボカロPさんも、ほとんどの方がはじめは誰も自分のことを知らない状態で曲を投稿されているじゃないですか。そういう方々の曲と出会ったときの嬉しさや出会えてよかったという気持ちは、私のようにボカロを好きな人が一番共感してくださると思うので、そういった気持ちは大事にしていきたいなと思っています。

──最後に、ボカロにあまり詳しくない人にボカロの魅力を伝えるとしたら、どんな言葉をかけますか?

ペイトン:
 もちろん強要はしないですが、一度ライブ映像を観てほしいなと思います。ボカロのキャラクターたちが歌って踊っている姿を見てほしい。私がボカロの沼にハマっていくきっかけがライブ映像だったので、そのときの衝撃というか、いい意味での違和感を感じてほしいなと。それで「こんな世界もあるんだ」と感じていただけたら、私はそれだけでも十分です。


Information

「The VOCALOID Collection」 公式サイト

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