お祭りで食べた「牡蠣」で18人が食中毒になった富山県での事例を紹介 海のミルクに潜む脅威「ノロウイルス」にご用心
今回ご紹介するのはゆっくりするところさんがニコニコ動画に投稿した『【2025年】『嘔吐を繰り返す地獄』富山で開催されたラーメン祭り 大盛況だったが蒸し牡蠣で食中毒が発生 ノロウイルスによる食中毒は地獄の症状?『入善ラーメンまつり集団食中毒事件』【ゆっくり解説】』です。
牡蠣は生でよし、蒸してよし、焼いてよし、その殻は器にもなり、海のミルクとも評される冬の海を代表する海産物です。
今回投稿者のゆっくりするところさんが、そんなおいしい牡蠣によって起きた食中毒事件と、牡蠣に潜む思わぬ危険性について解説します。
■牡蠣に潜む思わぬ危険性……
魔理沙:
2025年2月22日、富山県の東に位置する入善町ではこの日、『入善ラーメンまつり』が開催されていた。
霊夢:
ラーメンまつり! いいなぁ~楽しそう。

魔理沙:
これは入善町の『うるおい館』という施設の前に設置された特設会場で開催された。全国各地から様々なラーメン店が集結する、ラーメンを主題にしたイベントだった。
全国からラーメン店が出店し、札幌味噌ラーメン、濃厚な豚骨系ラーメン、醤油ラーメンなど様々なラーメンが食べられる会場では、『全国絶品スイーツまつり』も同時開催され、うるおい館ではスイーツが販売されていた。
また、ラーメンやスイーツ以外にも各種キッチンカーが出店し、地元の食材を生かした様々な料理も販売されていた。このイベントは2日間開催されたが、翌日あたりから地域の医療機関に腹痛を訴え受診する患者が増えていた。
霊夢:
え、それって……。
魔理沙:
いずれの患者も急な嘔吐や下痢、軽度の発熱の症状が見られ、年齢は8歳から40代後半まで幅広く、ある女性を診察した医師は複数、それもほぼ同時期に同じ症状を訴える患者が増えたことから集団食中毒を疑った。

霊夢:
集団食中毒……!
もう絶対あのおまつりが原因じゃないのそれ……。
魔理沙:
市内に暮らす20代の女性Aさんは友人とあのラーメンまつりに参加し、いくつかのラーメンやスイーツなどを喫食しており、そのことを担当の医師に伝えた。
この段階では原因が特定できていなかったが、医師は保健所に通報を行い他の患者たちからも話を聞いたところ、いずれの患者もAさんと同じくラーメンまつりの参加者であることがわかり、便や吐しゃ物の検査を行ったところ、患者たちからノロウイルスが検出された。
このことから保健所はノロウイルスによる集団食中毒が発生したものと断定しさらに詳しい調査を行った。
その結果患者たちの共通食から感染源が判明。それは会場で提供されていた『蒸し牡蠣』だった。

霊夢:
牡蠣……牡蠣って確かにノロウイルス感染症の原因になること多いらしいわよね。
魔理沙:
ああ、イベント開催中、蒸気で加熱処理した蒸し牡蠣が販売され、2日間で約2,000個以上が提供されていた。
いずれの患者たちもこの牡蠣を複数個喫食しておりその後、半日ほどが経過して発症していた。
Aさんはその中でも特に発症が早かったそうで、まつりに参加した日の深夜、猛烈な吐き気で目を覚ましトイレで嘔吐し続けたという。
腹部を強い力でつねられているような痛みに加え、これまで経験したことがないほどの恐ろしい吐き気の症状に襲われたAさんは、トイレから全く出ることができず嘔吐と下痢を朝まで繰り返したという。
Aさんによれば、
「すごい吐き気でずっと便器を抱え込んで吐いていました。熱もあったのでフラフラで、測ってみると38.5℃もあったんです。翌日になっても嘔吐を繰り返して、絶対普通の風邪なんかじゃないと思って怖くなったので、近くの病院を受診しました。点滴を受けて寝ていたら2日くらいで症状はやっと収まりましたが、あんな地獄はもう二度と味わいたくないです」
ということだった。

霊夢:
こわぁ……一晩中吐き続けるってよほどのことよね……。
魔理沙:
Aさんはその後保健所医師たちのアドバイスによって自宅の除菌消毒を行ったため、家族への二次感染はなかったということだが、今回の集団食中毒では現時点で確認されているだけでも18名が発症しており、潜伏期間や個人差を考えるとさらに発症者が増える可能性もあるという。
霊夢:
そっか、免疫力とか体力によっても結構変わるもんねそういうの。
魔理沙:
またノロウイルスによる食中毒が今月に入ってすでに4件発生しており患者数は387名にまでのぼった。
これを受け県はノロウイルス食中毒注意報を発表。調理の際は手洗いなどの衛生管理の徹底を呼びかけた。
また蒸し牡蠣を提供していた業者に対しては、再発防止を求める厳重注意が行われたということだ。

霊夢:
蒸し牡蠣で発症してたってことはノロウイルスが付いてたら加熱処理しても駄目ってことよね。
魔理沙:
ノロウイルスと牡蠣についてもう少し解説しておくんだぜ。本来ノロウイルスは加熱によって感染力を失う。
霊夢:
あれそうだっけ?
魔理沙:
具体的には摂氏85℃以上の中心温度で、1分以上加熱することで、ノロウイルスは完全に不活性化する。
これは厚生労働省や食品安全委員会のガイドラインでも示されている基準の1つだ。
霊夢:
じゃあどうして蒸してるのに感染したのかしら……。
魔理沙:
入善ラーメンまつりのケースでは牡蠣が原因食材として断定されているがその感染経路は分かっていない。
だが考えられる経路は2つほどある。
1つは蒸していた牡蠣が十分に加熱されていなかった可能性。
牡蠣のような二枚貝は長時間加熱すると水分が抜けてしまうため比較的短い時間で調理されることが多い。
これは殻付きかそうでないか、またサイズによっても変わるが、このまつりではおいしさを追求するあまり蒸し時間を短めに設定していた可能性もあった。

霊夢:
なるほど……確かに貝ってあんまり火を入れすぎると固くなっておいしくないもんね。
魔理沙:
もう1つは、加熱用の牡蠣の取り扱いが不適切だった可能性だ。
ここで一応なぜ牡蠣でノロウイルス感染症がよく起きるのかについても話しておくんだぜ。
牡蠣は二枚貝であり、『濾過接触者』と呼ばれる生き物でもある。
牡蠣は海水中に暮らしており、そこでは常に海水を吸い込み、餌となるプランクトンや有機物をこし取っている。
牡蠣は1枚で1日に約300Lもの海水をろ過する能力があるんだ。

霊夢:
あお、そんなに……。
魔理沙:
この大量のろ過をする過程で、海水中に存在する微粒子、そしてウイルスも消化器官に取り込んでしまい、それが蓄積、濃縮することによって毒化してしまう。
そしてノロウイルスというのは、人をはじめとした動物の腸内で増殖しその便や吐しゃ物を通じて体外に排出される。
そのため下水や生活排水あるいは雨による流出、海水に流れ込むことによって、汚染された水を牡蠣が吸い込み、身体にウイルスを溜め込むんだ。
たとえ海中のノロウイルス濃度が低かったとしても、長い時間をかけて牡蠣の中で濃縮され、高濃度で蓄積されてしまうため、それを加熱不十分な状態で食べてしまうと、感染、発症してしまうんだ。
霊夢:
そういう経路だったんだ。
魔理沙:
特に河口域での牡蠣はノロウイルスを溜め込んでいる可能性が高いことから、生食用としては使えないものが多い。
また、ノロウイルスは食中毒菌の中でも非常に強力な感染力を持っている。
インフルエンザウイルスが人に感染する場合、最低でも数千個から数万個のウイルスが必要だと言われている。
しかしノロウイルスは10個から100個程度のウイルス粒子で簡単に感染が成立する。
また感染者の腸内で増殖することから排泄物には大量のウイルスが含まれており、そこから二次感染が簡単に起きてしまうという恐ろしい面も持っている。

霊夢:
だから広まりやすいんだ……。
魔理沙:
汚染された牡蠣を丸ごと一つではなく、一口かじっただけでも発症した例や、感染者の吐しゃ物がついた手で食器を触ってしまい、そこから感染・発症したようなケースも報告されている。
霊夢:
それだけでも感染するってめちゃくちゃ怖いわね……。
そんなにすごい感染力ならおまつり会場で食中毒が起きるのもなんか納得だわ。
魔理沙:
ああ、本来であれば加熱用の牡蠣というのは細心の注意を払って取り扱うべき食品だったんだ。
ノロウイルス感染症は、経口感染、接触感染、飛沫感染、そして二次感染という多様な感染経路を持っているので特に注意が必要な食中毒菌なんだぜ。

霊夢:
存在は知ってたけど、ここまですごいウイルスだとは思わなかったし、どうして牡蠣ばっかり感染するのか知らなかったわ……。
魔理沙:
こういった食中毒、感染を防ぐためには十分な加熱や、生の状態の牡蠣を触ったまな板などの調理器具を使い分ける、十分に消毒をするといった対策や徹底した手洗い消毒などを心がけよう。
霊夢:
身近に感染した人がいたら要注意ね。
魔理沙:
ドアノブなどに付着したウイルスから感染する場合もあるからな。
今回は2025年に起きた牡蠣による集団食中毒事件の事例を紹介しました。おいしい牡蠣に潜む思わぬ落とし穴ノロウイルスについて興味を持たれた方はぜひニコニコ動画でフルバージョンをご視聴ください!
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