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OSTER projectによるアコーディオンが彩る重音テトSV曲『フランスかぶれ』パリの街角みたいなサウンドに「おっしゃれ!」の声

 今回は、OSTER projectさんが、2026年1月3日に投稿した「フランスかぶれ」を紹介する。

文/小町 碧音(こまち みお)


 重音テト SVをボーカルに迎えた本楽曲は、ゴマヒチさんによるアニメーションMVが完成する以前から、匿名投稿イベント『無色透名祭3』の参加曲として注目を集めていた。無色透名祭のルール上、白背景に歌詞のみが表示される極めて簡素なMVでの投稿だったが、鳴り始めた瞬間から伝わってくるコード感やメロディーラインにはどう取り繕っても隠しきれないOSTER projectさんらしさがあり、視聴者による投稿者予想が飛び交っていたのも印象深かった。

 その後、OSTER project名義で改めて投稿されたアニメーションMVでは近年再評価され、存在感を強めている「UTAU」出身の音声合成ソフト・重音テトが、「好きな人の好みに合わせようとフランス風の自分を装い、背伸びする主人公」として登場する。イントロからメロへ展開し、<朝食に硬いパンをかじったら 怪我しちゃった フランスの人って大変なんだな>というフレーズで、背伸びが空回りしてしまうテトのおちゃめな日常が描かれていく。

 滑らかな旋律にタイトなリズム。ジャズの余韻を挟み込みつつ、アコーディオンがフランス色を響かせる。<シャンソン(フランス語で歌)><シャンゼリゼ(フランスの大通り)>なども散りばめられ、主人公が完全にフランス文化に染まっている一方で、注目すべきは、パリの街角で流れていそうなBGM的サウンドを背景に、重音テトというキャラクターの本質が最大限に引き出されている点だろう。

 もともとは、2008年4月1日のエイプリルフール、2ちゃんねる発の「実在しない音声合成ソフト」として生まれた重音テト。切り離せない“嘘”というモチーフは、<真鯛のポワレよりも本当は お刺身が好きだけど><おやつにはブリオッシュ ごめんねやっぱどら焼き>といったフレーズを通して、本楽曲の世界観にうまく落とし込まれている。相手に嫌われないよう嘘をつき、本音を隠してしまう恋の初期段階特有の距離感。それを描いたこれらの言葉は、テトというフィルターを通すと、驚くほどリアルな質感になるのだ。

 そして、<合鴨のコンフィより本当は 鴨そばが好きなこと いつか話せたらいいな>という一節で、いつか本音を言い合える関係になることを願いながら曲は幕を閉じる。嘘から始まり、本当の音声合成ソフトへと“実現”したテトのヒストリーと重なった瞬間に、深い価値が生まれていった。着飾らないメロディーラインが聴きやすさそのものにつながっている点も見逃せない。「フランスかぶれ」は、嘘から本当へと変化してきたバックグラウンドを持つ重音テトという存在だからこそ、説得力をもって描き切ることのできた曲といえる。

■楽曲配信情報

フランスかぶれ DL先こちら

■information

「The VOCALOID Collection」 公式サイト

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