キャラになりきって友達に気付かれないことも!コスプレイヤー 黒子きき が目指す理想とは?「たぶん私のオリジナリティって無いと思うんです」
自分の中に潜んでいた「違う自分になりたい」願望
──コスプレに関する知識やスキルはどうやって学ばれたんですか?
黒子:
これもご縁なんですけど、遊びに行ったアニメイトガールズフェスティバルで、あるレイヤーさんと知り合ったんです。着いたらちょうど撮影をしている所だったので「コスプレイヤーさんの撮影ってこんな感じなんだ、池ハロとはちょっと違うなあ」と思いながらじっと見ていたら「寒いよね、何してるの?」ってきさくに話しかけてくださって。そこからなぜかコーヒーショップに連れ出されて、仲良くなりました。
──なかなかすごい出会い方ですね。
黒子:
いまだにどうして話しかけてくれたのかわからないんですけど、本人いわく「すごく怪しい動きをしていたから、声をかけた」と(笑)。この友達にいろいろな事を教われたから、私は最初から何のトラブルもなく活動してこられたんじゃないかなと思います。
──目の前にスッと良い道筋ができるような出会いが、最初からたくさんあったんですね。
黒子:
はい、私はすごくご縁に恵まれていたと思います。その友達が「こうやったらいいよ」「ここに行きなよ!」って教えてくれたり、また別の友達を紹介してくれたりして、どんどん輪も広がっていきました。
──コスプレっていつもと違う自分になれるツールでもあると思うんですけど、黒子さんの中にもそういう願望って、もともとあったと思いますか?
黒子:
変身願望とか現実逃避という言い方が合ってるのかはわかりませんが、そういう気持ちはあったと思います。正直コスプレを始めるまでは、スカートやひらひらした服は全然着なかった。だけど「やっぱりどこかで憧れていたんだな」と、着てみて初めて気付きました。自分の中にあった願望をかなえる場所が見つかったのかなって、今は思います。
たぶん私のオリジナリティって無いと思うんです
──写真を拝見させていただいて驚いたのですが、1枚ごとにまったく雰囲気が違いますよね。キャラクターが違えば雰囲気が変わるのは当たり前のことだとは思うのですが、なんだか別人のように見えるほどで。
黒子:
そうなんですよ。変な話、会場で友達に話しかけても名乗るまで気付かれないこともあるくらいなんです(笑)。名前を書いたボードを見て「あっ、ききさんだ!」って反応をされることも多いです。……おかしな言い方かもしれないんですけど、たぶん私のオリジナリティって無いと思うんですよ。
──オリジナリティを出すことと似せることって相反するところなので、それゆえに難しい部分もあるんじゃないかなと思うのですが、ききさんはどう考えていらっしゃいますか。
黒子:
どちらに重きを置くかだと思うんですけど、「オリジナリティを出したい」という方に重きを置いた場合、その方は多分、コスプレするキャラも似てくると思うんですね。たとえばクール系な表情が得意だと、自然とその表情が似合うキャラクターを選ぶようになってくるだろうし。そういうカラーも含めてオリジナリティが生まれてくるのかなと思います。逆に私は、「私がほぼ100%で出ちゃったらそれはただ衣装を着ただけの私で、コスプレにはならないんじゃないのかな?」と思っちゃうので。
──ききさんは「キャラクターになる」というところに重きを置いているんですね。
黒子:
私はそれが100%ですね。もちろん、ひとりひとりコスプレの捉え方や考え方は違うと思うので、「あくまで私はそう」ってことなんですけど。だから内容を知らない作品のコスプレは出来ないし、個人では「これが好き!やりたい!」って思ったものしかやっていないです。たまにお仕事で公開前作品のコスプレをすることもあるんですけど、そういう時も、打ち合わせの段階でキャラクターについて「どんな感じのキャラで、このポーズはあっているのか違うのか」など、細かく聞くようにしています。
──そうやってちゃんと中身まで調べているからこその、あのクオリティなんですね。
黒子:
いえいえ、まだまだです。気をつけていないとすぐニコニコしちゃうし(笑)。友達やカメラマンさん含め、周囲の方に育てていただいているなと思います。
「失敗も経験にしちゃおう!」の気持ちが大事
──ここまで活動してきて、特に印象深く残っていることって何ですか?
黒子:
やっぱりいちばん最初にお誘い頂いた、ニコニコ超会議のMCです。もう2年前ですね。まさか、声をかけてもらえるとは思っていなかったので……。
──緊張はしませんでしたか?
黒子:
普段はまったくしないんですけど、初めて立った時はやっぱり真っ白になっちゃって「あっ、緊張するんだな」って自分でびっくりしました。ウサコさん【※】と一緒にMCをしていたんですけど、ふたつくらい段取りを飛ばしてペラペラ喋っちゃって、ウサコさんも「えっ?」ってなっちゃって。でもそこで1回冷静になって持ち直せたので、それ以降は緊張もとけました。今は毎回、何も緊張せず楽しくやらせていただいてます。やっぱり無理に繕うよりは、楽しくやりたいなと思って。
【※】ウサコ
筋肉コスプレイヤーチーム「肉体造形部」にも所属する男性コスプレイヤー。
──活動を重ねて経験値が増えてくるにつれ、やっぱりプラスの面もマイナスの面も見えてくると思うんですけど、活動当初と今で、コスプレに対する視点やスタンスが変わった部分はありますか?
黒子:
スタンスは全く変わらずですね。「やりたいものをやりたい」のままです。だから男装もするし、笑わないキャラってあまり得意ではないんですけど、格好良く澄ましているキャラもやりたいって思ったらやってみる。
──チャレンジ精神旺盛ですね。
黒子:
その分「失敗した!」みたいな経験もたくさんありますよ(笑)。最初の頃って何も知らなかったから、例えばウイッグとかも、地毛に使うような整髪料でのセットしかしてなかったんです。
──あぁ、2次元を3次元で表現する上で、3次元の常識のままだと再現できないことってありますよね。
黒子:
そうなんです!やっぱり衣装もウィッグも、経験を重ねたり技術の方法を知るきっかけがないと、切るだけ、縫うだけになっちゃいますよね。私の場合は友達が言った「ウィッグなんて造形だよ、ボンド使いなよ」の一言で「あっ、私今までウィッグの作り方違ってたかも」って気が付いて。ネットやTwitterだと調べられる内容にも限界はあるので、イベントで友達に会った時に教えて貰ったりしつつ、試行錯誤を繰り返してきた感じです。おかげでコスプレの幅はだいぶ広がりました。「失敗も経験にしちゃおう!」くらいの気持ちで楽しんでいます。
作品の窓口になれる存在を目指したい
──黒子さんが今、やってみたいと思っていることって何ですか?
黒子:
私のベースには「いろんな衣装を着たい」っていう願望があるんです。いろんなキャラをやりたいし、いろんな衣装が着たいし、いろんなメイクがしてみたいから、それを叶えられるたくさんの機会に出会いたいです。
──では、今後コスプレイヤーとして、どんな存在になっていきたいですか?
黒子:
キャラクターのコスプレをした私を見て「この作品は知らなかったけど、この間イベントでききさんがやっていたから見てみようかな」って言ってもらえるような、作品の窓口になれるような存在になっていきたいです。その為にも私の成分を100%出すんじゃなく、作品に興味を持ってもらえるように、キャラに100%寄せたいなって思う。そのためにはもっと経験を積んでいかないとなって思います。たくさん活動させてもらってきたけど、まだ経験値は全然足りてない。だから、これからもどんどん挑戦を続けて、いろんな経験をしていきたいです。
いよいよ明日に控えた池袋ハロウィンコスプレフェス2017。黒子ききさんは29日のメインステージにも登場! 池袋東口エリアを舞台に、国内外から毎年1万人以上のコスプレイヤーが参加します。あなたも「着替えるだけで、世界が変わる。」かもしれない!? 是非ご参加ください!
ニコニコニュースでは、ハロウィンの盛り上がりをお届けするため、渋谷・池袋・六本木の様子を生放送とコスプレ写真まとめでお届けします。池袋ハロウィンコスプレフェス閉会後の夜の時間はぜひこちらも合わせてご覧ください。
歌ってみた・踊ってみた・ボカロなど、ニコニコのライブイベントが詰まった「ニコニコ超パーティー」、2017年11月3日(金・祝)に開催されます。黒子ききさんは超パーティーにも、コスプレのライブステージ・パフォーマンスで参加します! 是非、体感していただきたい!
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http://choparty.jp/ticket/