KOTOKOが明かすサウンドチーム「I’ve」オーディション秘話「怪しさしかなかった。最初の仕事なのでギャラはありませんって(笑)」
歌手のKOTOKOさんの7thアルバム『tears cyclone -廻-』が6月27日に発売されました。ニコニコ生放送では発売を記念した特番が放送され、KOTOKOさんとミュージシャンの青木佑磨さんがMCとして出演しました。
番組内ではKOTOKOさんが歌手になるまでの道のりが紹介されました。シンガーソングライターの島みやえい子さんの推薦で音楽制作プロダクション・I’veのオーディションを受けることになったKOTOKOさんですが、当時のI’veについて「怪しさしかなかった」と、オーディションの秘話を明かしました。
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ボイススクールで作詞作曲の日々を過ごす
青木:
(番組資料を読む)大学は不合格してしまうのですが、なんとかして音楽がやりたいということでございました、カラオケ大会やオーディション、コンテストを受けまくる。その流れで一念発起しボイススクールへ。「自分の歌を作って歌いたい」という新たな目標を見つけ、オリジナル制作に励む。また音楽への思いが再燃する。
KOTOKO:
そうですね。オーディションとか良いところまでいくんですけれど、当時ちょっと調子に乗ってバンドを組んだりもしていたんですね(笑)。
青木:
調子に乗ったんですか(笑)。バンド組むことは別にいいじゃないですか(笑)。
KOTOKO:
アマチュアバンドを組んでいて、生楽器をバックにして歌うと自分の声量の無さに気付くんですよ。「これはいかんな」と思ってボーカルスクールに行くようになったんですよね。
そこの先生が「お前は一体何をしたいんだ?」って問いかけてきて。改めて言われると結構グサッと来て。もうその段階で20歳も超えていましたし、「もうアイドルでやりたいです」とは言えない歳になっていたから(笑)。
でも小説を書くことだったり詩を書くことが好きだったから、「自分の言葉で歌を歌いたいです」っていうのが、準備していたわけじゃなかったんですけれど、すっとその先生の前で出てきたんですよね。
自分の言葉を表現するためには曲も書けなきゃだめじゃないですか。そこではじめてその先生に曲作りを教わった。
青木:
ボーカルスクールの先生に曲の作り方を教わった?
KOTOKO:
そうなんです。ボイストレーニングに行ったはずなのに曲作りを教わる感じになっちゃったっていう(笑)。
青木:
なるほど。この時期に週に曲を2、3曲作ると決めて、とにかく作詞作曲の日々を過ごしていたと?
KOTOKO:
はい、そこの先生が厳しくて。「がむしゃらにならないとだめだ」って言われたので、「じゃ私、2、3曲作ります」って宣言をして。人に言っちゃったらやらざるを得なくなるじゃないですか。
私は不言実行よりは有言実行のほうが達成しやすいと思っている質なので、先生に宣言をして、2、3曲できていなかったら先生に叱られるという思いで書いて(笑)。
青木:
追い込みモチベーションとしてはマイナス方向の(笑)。
KOTOKO:
そう。「怒られる……」があって、それでやっていくっていう感じでしたね。
青木:
この時に作った曲ってどういう方向性ですか。
KOTOKO:
先生の方針としては、「まず真似でいいから」と言われていたので、自分の好きな楽曲を持ってきて、それのコードをコピーしてでもいいし、それっぽい曲を作るでもいいけれど、「真似してまず作ってみなさい」って言われて。
その頃はキャロル・キングとか、ちょっとそのへんを真似して曲を作ったりとかしていました。
I’veのオーディションは「怪しさしかなかったですよ、本当に(笑)」
青木:
そして特別作詞講師として来ていた島みやえい子さんに出会い、なかば無理やり大量のデモテープを預けた結果、彼女の推薦によりI’veのオーディションを受けるということですね。
ここで島みやさんと出会う、と。
KOTOKO:
はい。
青木:
大量のデモテープを預けたんですか(笑)。
KOTOKO:
大量どころじゃなかったです。20曲くらい入ったものを渡しました。それこそ週に2、3曲作っていたらガンガン溜まっていくじゃないですか。その中から抜粋して20曲くらいをドーンと。音だけじゃなくて、歌詞も全曲歌詞をプリントアウトしてドーンって(笑)。
青木:
それはインパクトありますね。
KOTOKO:
冊子みたいなものがドーンって、音も付いていてみたいな感じだから、二週間くらい放置していたらしいですよ。
青木:
「ちょっとカロリー高いな」って(笑)?
KOTOKO:
そうそう(笑)。でもふと思いついて、聞かなきゃと思ってくれたらしいんです。聞いたら「声がすごくI’veサウンドに合うと思うから」って、本当に初対面だった私だったのに、なぜかI’veさんに紹介してくださってという流れがあったんですよ。
青木:
最初の頃はちょっとおとなしくて声も小さめだった子が、声を見出されることになるんですね。
KOTOKO:
そうなんですね。
青木:
難関I’ve高瀬一矢さんのオーディションをくぐりぬけ、見事合格。その日のうちに歌のお仕事をいただけ、めでたく音楽クリエイター集団I’veに参加することになったと。この時のお気持ちはどうでしたか?
KOTOKO:
最初は……すごかったですよね。家から遠いスタジオだったので、1時間ぐらいかけて戻ったんですよ。そうしたら家の電話に留守電が入っていたんですよ。聞いたら「先ほどオーディションに来てもらったところのI’ve高瀬です。是非お願いしたいのでまた来週にでも来てもらえませんか」って、怪しい! って思って(笑)。
早すぎないか!? と思って。まだ家にも着いていない1時間そこらのところで、即かかってきた感じですから。
青木:
即決だったんですね。
KOTOKO:
そうです。検討もせずに電話をかけてきた感じのタイミングなので、怪しいなという感じがしたんですよね(笑)。
当時のI’veスタジオって、本当に一軒家を自分たちで改築したような怪しいスタジオだったので、それもあったんですけれど。
青木:
全面的に怪しかったという気持ちが(笑)。
KOTOKO:
怪しさしかなかったですよ、本当に(笑)。「最初の仕事なのでお試しだからギャラはありません」ということも言われていて、ギャラもなしでお試しで歌を歌うって、本当にすごく心配になって。
それこそ島みやさんにお電話をかけて「タダでって言われたんですけれど、受けても大丈夫でしょうか」って確認までして。
青木:
不安ですよね(笑)。
KOTOKO:
すごく不安でした。でも「最初だからっていうことだと思うよ」って言ってくれたので、無事1回目のレコーディングに行くことはできたんですけれど。
青木:
一瞬コメントが目に入っちゃったんですけれど、「初期I’veの歌姫はみんな怪しかったって言うくらい」って(笑)。
KOTOKO:
そうなんですよ(笑)。
青木:
共通の感想なんですね(笑)。
KOTOKO:
みんな本当に怪しいなっていう。怖さしかなかったと思いますよ(笑)。