“ポケモン交換”の元祖は「メンコ」や「ビックリマンチョコ」だった。『ポケモン』が社会現象に至るまでの歴史を紐解く
交換と対戦、そして「通信ケーブル」の誕生
そして、最後の三つ目のステップは、通信ケーブルを介した「交換」と「対戦」です。
これは、田尻さん自身が子供の頃に夢中になった「メンコ遊び」がアイデアの元となったそうです。例えば、ビックリマンシールでも、ヘッドシール1枚と、天使シール5枚などのような、“交換の交渉”が子供たちの間で行われていたそうです。
つまり、従来から子供たちの間で行われていたシールやカード、あるいはメンコといった、物質を介して行われていたアナログ的な遊びを、当作では、収集・競争・交換・対戦といった要素を、テレビゲームの中に置き換え、デジタル化して表現したというわけです。
こうして『ポケットモンスター』は、通信ケーブルという“ひみつ道具”の力を借りて、急速に世の中に広がっていきました。
横井軍平さんは、ゲームボーイに通信ケーブルの機能をつけた理由として、生産コストにはさほど影響がないため「何となくつけてみた」と話していたそうです。この“何となく下された決断”によって、田尻さんによる『ポケットモンスター』のアイデアの根幹が生まれ、当作に関わる多くの人々と、ゲーム業界そのものの運命が変わったと言っても過言ではありません。
いかがでしたでしょうか。
ゲーム中にひっそりと忍ばせた「収集欲」をかき立てる仕組みと、かつての遊びの主流であった「交換」「対戦」の要素をうまく落とし込むことで、社会現象となる大きなブームを呼ぶこととなりました。
動画では、さらにゲームに夢中にさせる要因となった「キャラクターとのやり取りの秘密」や、ゲームデザインの本質に迫る内容も収録されています。気になる方はぜひ動画をご覧ください。
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