“ポケモン交換”の元祖は「メンコ」や「ビックリマンチョコ」だった。『ポケモン』が社会現象に至るまでの歴史を紐解く
明日11月16日は『ポケットモンスター Let’s Go! ピカチュウ』『ポケットモンスター Let’s Go! イーブイ』の発売日! 『ポケットモンスター ピカチュウ』のリメイクとして、Nintendo Switchソフトとして発売されます。
爆発的ヒットを記録したポケモンは、今や知らない人はいないほどのタイトルになり、文字通り“社会現象”を引き起こしました。
本記事ではゲーム夜話さん投稿の『【ポケモン赤緑】ポケモンが親しまれる理由-ゆっくり解説【第14回-後編】』を参考に、前回記事とあわせて「『ポケットモンスター』が社会現象となった理由」を、画像を交えてご紹介いたします。
【ポケモン赤緑】ポケモンが親しまれる理由
-ゆっくり解説【第14回-後編】
なぜポケモンは社会現象になったのか
個々人が「面白かった」で完結するのではなく、体験者を通じて、その面白さが周囲に波及し、多くの人間を壮大に巻き込みながら、拡大していく現象、それがいわゆる「社会現象」であり、エンターテイメントにおける、大ヒット作の共通点ではないかと思います。では、ポケモンの場合は、どのようにして、その面白さや魅力が周囲に波及していったのか、3つのステップに分けて考えてみたいと思います。
まず、ひとつめのステップとして、当作は「ポケモンを集めること」を目的のひとつとしているため、「ポケモン」というキャラクターの“価値”が、多くの人々の間で共有される必要があります。当作では、私たちがポケモンを「魅力的で、価値ある存在」という意識を持たせるために、様々な働きかけがなされています。
例えば、主人公のライバル。彼は多くの少年漫画に出てくるライバルと同様、主人公を挑発し競争心を煽りながら、実は、主人公の行動と成長を促す役割を担っています。
さらにライバルは、旅の要所で幾度も主人公の前に現れ、戦いを挑みつつも、ゲーム進行上における、様々な情報をもたらすガイド的な役割も果たしています。「俺なんかもう、40種類捕まえたぜ!」。もちろんその都度、主人公の対抗心を焚きつけることにも余念がありません。
博士は「アメ役」、ライバルは「ムチ役」となって、私たちを“その気”にさせる役割を担っているのです。
情報交換と口コミによるブームの発生
ふたつめのステップは“口コミ”にによる拡がりです。
かつて、『ビックリマンシール』や『カードダス』などが、子供たちの間で大流行しました。そんな中、希少なシールやカードを手に入れ、ライバルのように、周囲に自慢している子供が、皆さんの周りにもいたのではないかと思います。
ポケモンでも、いくつかのキャラは、あえて出現率が抑えられ、意図的に“希少化”されています。開発スタッフの方のお話によると、これはプレイヤーの“収集意欲”を高めるためだそうです。
当時のプレイヤーは、攻略本や雑誌から情報を得るか、もしくは、友達同士の情報交換に頼っていたと思います。
野生のポケモンを捕獲するには、できるだけHPを削り、更には状態異常を加えることで、捕獲の確率が上昇するという仕組みになっています。従来、多くのロールプレイングゲームでは、主人公たちが敵に与えるダメージは、数値化されて表示されていましたが、当作では、敵に与えるダメージをあえて数値化せずに、(逆に)残りのHPをメーターで示しています。
ギリギリまで体力を削ろうと試みた結果、期せずして、クリティカルヒットが発生し、敵にとどめを刺してしまうこともあるなど、田尻智さんの言葉を借りれば、こういった点に“偶然性と戦略性のせめぎ合い”が生じています。
また、モンスターボールをポケモンに投げ込んだ際の、ボールが左右にぐらつく演出も、捕獲できるかどうかという“不確かな状況”における、期待と落胆という感情のせめぎ合いを表現したものなのだと思います。
一部のポケモンの希少化と、偶然性と戦略性のせめぎ合いを掛け合わせることにより、希少なポケモンの価値が人々の間でさらに高まり、それぞれが探索と捕獲に夢中になる中で、情報を求める人々の間で、おのずと口コミが促進していったのではないかと思います。