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いまさら聞けない音楽ジャンル「フュージョン」って何? 歴史を基礎から徹底解説――それはマイルス・デイビスの挑戦から始まった

「バンドに入る前に、ひとりでめちゃくちゃ練習しているやつも多かった」と、語る西寺さん。

フュージョンがダサくなった時代

番組スタッフ:
 80、90年代にフュージョンがカッコ悪くなってしまった時代が、正直あったと思うんですが、そこの所をはっきりさせたいです。

吉岡:
 それはなんでですかね(笑)。

西寺:
 どんな世代でも上の世代を否定したい気持ち、というのはあったと思うんですよ。フュージョンが絶頂の頃にパンクやニューウェーブが同じよう流行っていて、むしろテクニックが無いぐらいの方がかっこいい、という考え方があったんです。そういう意味ではスタジオの中で「それフュージョンっぽいよ」と言うと、テクニックをひけらかしてるよ、というような意味で使われたりしていましたね。

吉岡:
 あー。

西寺:
 バンドに入る前に家で一人でメチャクチャ練習してる奴が多くて、バンドに入ると全力を出したいわけですよ(笑)。

吉岡:
 なるほどね(笑)。

西寺:
 90年代はカッコつけてないというか、ナチュラルな物が良いとされていた事が多かったんですね。そういう意味ではフュージョンという言葉があまりいい意味で使われていなかった時代がありましたね。

吉岡:
 それは世代としての感じ方の違いですかね。

番組スタッフ:
 でもフュージョンの超絶な演奏がエモーショナルに聞こえる時代があったと思うんですよ。

西寺:
 その時代は、今また来てる様な気がします。ジャズという言い方になっているかもしれませんが、アンダーソン・パック【※1】やロバート・グラスパー【※2】もフュージョン的な要素があって、フュージョンという言葉では生き残ってないかもしれませんが、フュージョンがあったからこそ、という音楽が現代に多くあると思います。

※1アンダーソン・パック
ヒップホップアーティスト。2017年にアルバム『Malibu』でグラミー賞にノミネートされる。

※2ロバート・グラスパー
ジャズ・ピアニスト、レコーディングプロデューサー。2012年にアルバム『Black Radio』でグラミー賞を獲得する。

吉岡:
 固定化されたジャンルとしてのフュージョンは、時代の変化に取り残されてしまって新しい世代には古い音楽として捉えられてしまう、という事はあると思いますね。

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