映画『暗黒女子』主演の飯豊まりえが泣きながら女優として乗り越えた課題。「セリフ1つのために2週間リハやらせた」監督・耶雲哉治が明かす
セリフ1個に、リハーサル2週間。主演・飯豊まりえへの愛のムチ
中井:
(演技指導を)かなり厳しくやっていたと聞きましたが……。
耶雲:
飯豊まりえさんに対してだけですね。この映画は105分なんですけど、(飯豊さんは)100分ぐらい出てるんです。いかに役で映画を引っ張っていくか、というところがあって、しかも100分ぐらいの間にキャラクターがころころ変わらなきゃいけないんです。
鈴木:
予告編で「い・や・だ」って言っていたのも……。
耶雲:
そうですね。あのセリフのために、2週間リハーサルしました。
鈴木:
それは女優としては、大きな課題だよね。
清水:
きっと、「しごかれた現場でした」っていう感じですよね。
耶雲:
そうですね。(飯豊さんが)毎日泣いてたので。
あえての厳しい指導に「心が痛かった」
清水:
白石いつみというキャラクターは、まりえってぃー(飯豊さんのニックネーム)本人とは真逆ですもんね。(飯豊さんと)共演した事があって、その時から仲良くしてもらっています。すごく明るくて、この映画の中には登場しないキャラクターっていう感じですよね。
耶雲:
すごくほんわかしている感じ。
鈴木:
でも、そのままじゃいかん、と。100分出ているんだからリードして存在感をガツっと出してくれ。愛のムチですよね。
耶雲:
そうですね。毎日、「その一言の言い方が違う」って言ってたりとか。
鈴木:
厳しい……。
耶雲:
泣かせましたよ。胸が痛かったですけど。
鈴木:
心の中では、「俺だって本当は優しいこと言いたいよ」って思いつつ、心を鬼にしたんですね。
耶雲:
そりゃそうですよ。僕だって(飯豊さんと)仲良くなりたいんですから(笑)。ただ怒って泣かせてしまったので、向こうは僕のことはトラウマだと思ってますからね。
中井:
後々言われるんですよ、「最悪だったね」って(笑)。
清水:
でも、役者の中では(怒られた経験は)印象に残りますからね。本人も「怒られたけど成長したな」って思ってると思いますよ。
中井:
飯豊さんも、ここまで厳しくやられた現場ってなかったのかもしれないですね。そういう意味で言うと、この後(の女優活動)に活きてくるんじゃないでしょうか。広瀬すずさんが李相日さん【※】の現場をくぐって、ボロボロになって一皮むけるみたいな。そういう風になるかもしれないですね。ただ、きっと(飯豊さんから)好かれてはいないと思いますけどね(笑)。
※李相日
(り そうじつ)日本を拠点に活動する、映画監督。主な作品に『怒り』『フラガール』『悪人』など。『怒り』では、広瀬すずが悲痛な事件に巻き込まれる高校生を演じた。
耶雲:
しょうがないよな、まりえってぃーに好かれたいな……(笑)。