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ネットはバカと暇人のもの?←「バカはともかく、暇人が勝つプラットフォームであるのは間違いない」——東浩紀、津田大介、ひろゆきらが語るインターネットの現状とこれから

津田大介「つながらない技術のスマート化」

津田:
 僕は、こんな感じですかね。「“つながらない”ための技術のスマート化」。

 なんかネットってすごくつながりやすかったじゃないですか? それでいろんなことが、本来だったら出会わなかった人たちが出会ったことによって面白いことが起きる。ニコニコなんかまさにそういうこともあっただろうし、それによって、社会的な価値とかいろんなものが上がっていった部分もあったと思うんです。

 ただ一方で今、ネットで起きている、あるいはネット以外の現実の生活で起きていることっていうのもつながり過ぎちゃっていることによる問題というのもあると思うんですよね。

 本来だったらこの人たち出会わしちゃいけないでしょという人たちが、インターネット上では簡単に意見のやりとりとかして、喧嘩になって、それでお互いに過激化していくみたいな状況があって、つながり過ぎちゃった結果、トランプ大統領とか誕生しちゃった部分もある。

 なので、クソリプみたいなものを全部AIで判別するとか、つながらないためにこういうことを技術で解決していきましょうみたいなものが、今後少し発展していって、お互いに上手く棲み分け共存するための技術になっていくのかなと、そういうものが欲しいなと思った。

ひろゆき:
 ツイッターでいうと鍵がかかったりとか、フェイスブックで友達しか見られないとかだったり、そういう技術的な面の話しとか。あとヨーロッパ、ドイツとかで会社の偉い人とかが社員に連絡を取らせないっていう、繋がらない権利っていうのが最近認められ始めたりしてるよね。

津田:
 ICANNっていう、昔インターネットのルールを決めているところが、アメリカだったんですよ。アメリカ主導でやっていたのが、実はトランプ大統領になるのとほとんど同時に、アメリカがインタ―ネットのガバナンスルールを作るのをやめたって言ったんですよ。

 だってICANNでそれやめちゃったので、そうするとブラジルとかも、基本的には世界とつながらないで中国みたいに、自国のサービスは自国だけみたいな感じの傾向になっているので、たぶんこれから本当に国ごとに、インターネットって国を越えるのが良かったっていう話だったんだけども、国ごとにやった方が国内企業、IT企業を守れるし、みたいな、そういう傾向になってきちゃっているので。

ひろゆき:
 まあ中国はそれで大成功していますからね。

津田:
 アリババとかそれで成功しているじゃないですか。

ひろゆき:
 日本の場合はそれで逆にそのグーグルとかマイクロソフトとかにいいようにやられちゃっているんで。

津田:
 そうそう。だから中国がなんで成功するかといったら、グーグルを入れてないからですよね。インターネットという技術を上手く使いながら、国で閉じていくっていう方向。

 しかも今はもうそのルールを決める人がいなくなったので、全部自分の国でやれるようになっているので、それはたぶん進んでいくだろうなと、だからその辺の話は、東浩紀さんというこの偉大な思想家が最近出した『ゲンロン0』に書いてある話ともつながるんじゃないかなと思います。僕まだ全部読んでないんですけど。

東:
 それ言わなくていいから(笑)。

ひろゆき:
 じゃあ東さんどうですか。今後のインターネット。

東浩紀「無料コンテンツは馬鹿と暇人のもの価値ある情報は有料でなければ手に入らない」

東:
 基本的には津田さんと似たことなんだけど、僕子供と大人が分かれるんだと思うんですね、今後。無料サービスと有料サービスといってもいいんだけど、一方で例えばYouTubeとかがゲーム実況動画ばっかりになって、小中学生がいつもアクセスをとっているんだけども、本当のスポンサーはそこにお金を投じて、彼等に広告を出したいのかという問題がありますよね。

 他方で例えばトランプ大統領の選挙でフェイクニュースが問題になったけど、そういうフェイクニュースをばら撒いているのも、結構今回のアメリカの大統領選でも、実はフェイクニュースのサイトの解説者を見たら、東欧の10代の少年だったという話があって、やっぱりその基本的にネットってバカと暇人のものだって昔、中川淳一郎が言っていたけど、バカはともかく、暇人が勝つプラットフォームであるのは間違いなくて、そうするとティーンエイジャーとか小学生中学生がすごく大きな力を持ってしまう。

 もちろんそれはそれ自体悪い事ではないんだけども、ただ世の中全体のお金のバランスとか、権力のバランスからして、ネットが小中学生が覇権をもってそしてネットが社会の覇権を持つといろいろ変な歪みがでてくると、それが今政治でも経済でも出てきていると思うんですね。だから恐らくそれがある程度正常化される。つまり無料で子供達が遊べるネットと、有料で大人たちが使うネットというのがある程度分かれていくっていうのが、たぶんこれからになっていくと思いますね。

ひろゆき:
 分かれていくんですか? たとえばYoutuberと言われている人たちで、有名な『はじめしゃちょーさん』とか『ヒカキンさん』を見ている人は、低年齢、小学生だったりするわけですよ。小学生がひたすらグルグル再生しているので、あんまり面白くない動画でも再生数が、何十万とかなるわけですよ何十万再生だと、たとえば30万再生だと、それだけで6万円かなんかになるわけですよね。1個動画をあげるだけで、そういう感じでお金が回り始めちゃっているんですけど、実際、小学生が動画をクリックしても何も買わないわけですよ、だから現実の経済活動とはリンクしてないんだけども、再生数があるからすごいというので、みんなそれにのっかちゃっていて、本当の正しい経済の道とはズレているのが今発生しているってことですよね。

東:
 はいはい、そうです。

ひろゆき:
 じゃ、それが是正していくと。

商業と個人とネットの関わりを突き詰めると区別に行き着く

東:
 これは誰かが是正っていうことじゃなくて、スポンサーからしても、自分の使っている広告費が、小学生に向けて広告をするのばかりにターゲットされても困るわけですよ。

津田:
 でも実際YouTubeとかそうなっていますよね。

東:
 だから別の言い方をすれば、もっとゾーニングとカスタマイズがはっきりし、広告が正確にターゲット化されることによって、結果的に子供のネットと大人のネットが分かれるようになってしまうだろうというのが僕の考え。

ひろゆき:
 だから正論でいくと僕もそれが正しいと思うんですけど、ニールセンとビデオリサーチっていう視聴率を調べる会社があったんですけど、ニールセンの方が日本で潰れてなくなったんですよね。あれがなんでかというと、ニールセンはテレビの個人視聴率をいれようとしたんですよ。テレビの視聴率って結局見ているの老人ばっかりじゃんというのを出そうとしちゃったんですよ。それでテレビ局がニールセンの視聴率買わないと言って、ニールセンは日本で視聴率の調査ができなくなったんですよ。

津田:
 だから、はっきりそういうターゲティングするとテレビ局がまずくなるからでしょ、それは。

ひろゆき:
 要するに現実を見せてしまう、例えばYouTubeって子供しか見てないじゃんとわかって、スポンサーがひいちゃうと困るから、YouTubeはそれを知られたくないわけですよ。テレビ局も同じように、老人しか見てないじゃんというのを知られたくないわけですよ。というのでやっぱり是正しないんじゃないかなと思うんですけど。

津田:
 でも今YouTubeではすごく起きていますよね。

ひろゆき:
 そこはやっぱり慶応大学のメディア教授の。

東:
 それはやっぱりテレビとインターネットで、そもそもアーキテクチャが違う。インターネットは誰が見ているかということが最初からオープンだから、テレビとそこが違うわけじゃない。そこがいいところでもあるわけで。ネットのいいところっていうのが、ちゃんといかされれば、やっぱり今言ったように、もっと正確にカスタマイズされ、もっとゾーニングされるので、結果的に本当だったら子供しか見てないもののところに大量にお金が行くというのはなくなると思います僕は。

夏野剛「攻殻機動隊の電脳化社会がやってきて多層分断化する

夏野:
 グーグルは絶対にそっちの方向です。いわゆるテレビ局がうんぬんかんぬんみたいな次元の話って、ものすごくテクノロジーがない時の時代の話をしていて、もうテクノロジーはどんどん開発されていくから、もう完全に逝くと思うんだよね。だから僕は結構マジで、どれくらいのタイムスパンで考えるかなんだけど、30年くらいのタイムスパンで考えると、電脳化社会が来ると思っていて。

ひろゆき:
 それは電脳化というのは、人間の脳が?

夏野:
 だから脳に、電気信号で脳の中に例えばウェブの画面とか、あるいはメッセージングとかそういうものが送れるし。

ひろゆき:
 夢とかはだからハードディスクに記録できるようになるってことですよね。

夏野:
 そうですね。そうなるとですね、完全にリアルとネットというのは、完全に同化するというのが僕は前提になっていると思っていて、その時に起こることはもう見えない分化が起こる。見えない分化っていうのはなにかっていうと、結局今みたいな話で、子供しかみていないものに広告は出ないとか、ある一定層にしか広がっていないものについては、大きなメディアには一切何も出ない。だから本当に細分化されて、分断化された社会がリアルとネットの中で同時に起こっていくってことがこれから起こることだと思っています。安全サイドで言って30年。早ければ20年で行くと思う。

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