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人類が唯一根絶できた感染症「天然痘」ってどんな病気? 1000年以上におよぶウイルスとの戦いの歴史をカンタン解説!

 新型コロナウイルスの爆発的な拡大により、全世界の約半分の人が外出制限を受けているという事態に、感染症の恐ろしさを感じている方も多いのではないでしょうか。そんな中、人類が唯一根絶できた感染症があるをご存知でしょうか。

 今回紹介する、赤いブルドックさんが投稿した『【閲覧注意】コロナも後に続けるか!?人類が唯一根絶できた感染症【ゆっくり解説】』という動画では、音声読み上げソフトを使用して、同人ゲーム『東方Project』の霧雨魔理沙(きりさめ まりさ)博麗霊夢(はくれい れいむ)のふたりのキャラクターが、人類が唯一勝利した感染症「天然痘」の歴史について解説していきます。

投稿者メッセージ(動画説明文より)

今回は天然痘の歴史についてまとめてみました。
コロナの流行っている今だからこそ意味のあるテーマだと思います。


帝国を滅亡させた人類の脅威「天然痘」

霊夢:
 暇ね。外には行くべきじゃないし、やることもない。少しくらい出歩いても……。

魔理沙:
 ダメ。「自分は罹らないだろう」とか、感染症を甘く見ちゃいけない。

霊夢:
 じゃあ何か面白い話をしてよ。何の話をしてくれるの?

魔理沙:
 天然痘の話。天然痘は人類がはじめて根絶に成功した感染症だ。

左から霧雨魔理沙(きりさめ まりさ)博麗霊夢(はくれい れいむ)

霊夢:
 風邪もインフルエンザも、未だに根絶できていないのに、人類が根絶できた感染症があったのね。

魔理沙:
 この病気はとても恐ろしい病気なんだ。人間に対してとても強い感染力を持っていて、致死率は20%から50%。全身に膿疱ができ、仮に治癒したとしても瘢痕が残る。これは一般に「あばた」と呼ぶ。

霊夢:
 恐ろしい病気ね。

魔理沙:
 この病気の起源がはっきりしていない。記録に残ってる限りでは、紀元前1350年のヒッタイトとエジプトの戦争の頃が一番古い記憶だ。

霊夢:
 ずいぶん長い間、人類は戦ってきたのね。

魔理沙:
 最古の死亡記録は、紀元前1100年代に没したエジプト王朝のラムセス5世だ。彼のミイラには膿疱があったことから、明らかになったそう。

霊夢:
 その時代には薬もワクチンもなかったし、亡くなった人も多そうね。

魔理沙:
 天然痘は紀元前から存在する病気なので、正確な感染者数や死亡者数を明らかにすることはできないが、調べてみて印象的だったものを紹介する。この病気は何度も大流行したんだが、歴史上大きな影響を与えた流行がある。それは16世紀頃。1492年にアメリカ大陸は発見され、白人による植民がはじまった。

魔理沙:
 ユーラシア大陸では、それまでに何度も天然痘の大流行が起きていたが、何度か経験するうちに住民にも抵抗力ができていたんだ。しかし白人の植民とともに、アメリカ大陸に持ち込まれた天然痘に対し、先住民たちは一切抵抗力を持たず、全滅してしまった部族もあった。

霊夢:
 もともと致死率が高い病気なのに、抵抗力がなければ悲惨なことになるわね。

魔理沙:
 他の病気も、もちろん持ち込まれたが、天然痘による被害が最も甚大だったんだ。天然痘の流行は、白人が新大陸を侵略する助けとなった。侵略前に大陸には栄えていた国がふたつあった。

霊夢:
 アステカインカ帝国ね。

魔理沙:
 そのふたつの国の滅亡の原因のひとつが天然痘だった。アフリカにおいては、1500年頃のエルナン・コルテスの侵攻軍によって、またインカ帝国においては、侵攻以前に、カリブ海に到達していたスペイン人によって持ち込まれたと考えられている。

 どちらの国でもまたたく間に流行することになり、アステカではモクテスマ2世に代わって即位したクィトラワクを病死させ、征服後も大流行。征服前の人口は2500万人だったのに対し、16世紀末の人口は100万人にまで減少してしまった。

 インカ帝国においても、大きな影響を与え、当時のインカ皇帝であるワイナ・カパックと皇太子であるニナン・クヨチがともに病死し、空位となった王位をめぐって、ふたりの王子が帝国を二分する内乱を起こした。

魔理沙:
 この内戦が原因となって、インカ帝国は疲弊してしまい、スペインのフランシスコ・ピサロによる征服を許すことになった。

牛痘をヒントにワクチンを開発

霊夢:
 日本ではどうだったの?

魔理沙:
 日本にはじめて持ち込まれたのは、6世紀頃。この頃、渡来人の移動が活発になり、その時に持ち込まれて流行したと考えられている。

魔理沙:
 その後時代が下っても、何度か天然痘は流行するが、18世紀半ばについに転機が訪れる。牛の病気に牛痘というものがあるんだが、どうやら牛痘に罹患したものは、天然痘に罹らないということがわかってきたんだ。牛版の天然痘といったところで、人間にも移るが、罹っても軽度で済み、痕も残らないんだ。

 これに着目したのが、エドワード・ジェンナーという人物で、彼はその事実に着目し、少年に牛痘の膿を接種させたあと、天然痘の膿を接種し、発病しないことを突き止めた。  

魔理沙:
 これによって人類初のワクチンである「天然痘ワクチン」が開発され、人類はこの病気との闘いに本格的に乗り出していく。

霊夢:
 エドワードさんが、天然痘ワクチンを作ったのはわかったわ。でもそれ以前に対策はなかったの?

魔理沙:
 紀元前1000年頃には、インドですでに人痘法が用いられていた。人痘法とは、天然痘患者の膿を十分乾燥させて、毒性を弱めてから、健康な人に接種して免疫を得る方法だ。

霊夢:
 じゃ、その方法を使えばいいじゃない。

魔理沙:
 この方法は18世紀前半にイギリスにもたらされて、次いでアメリカにも広まった。でも人痘法は軽度とはいえ、実際に天然痘に感染させる方法だったので、時には命を落とすこともあったんだ。

霊夢:
 安全性の面に問題があったのね。

魔理沙:
 だから牛痘を使ったワクチン接種は、すぐに世界中に広まっていくことになった。実際にはワクチンに使われていたのは牛痘ではなかったことが近年判明したけど、その辺は各自調べてみてほしい。

ついに人類が勝利を勝ち取る

魔理沙:
 そんなこんなで20世紀中盤には、天然痘が根絶された地域が出はじめて、日本も1995年に根絶に成功。その3年後、国連で世界天然痘根絶決議が可決され、人類は本格的に根絶に乗り出すんだ。

霊夢:
 どの辺の国でまだ流行していたの?

魔理沙:
 発展途上国だな。主に南アメリカ、アフリカ、南アジアだ。ちなみに最も患者が多かったのはインドだ。インドでは天然痘の根絶は困難とされ、根絶は多難を極めた。

 はじめはインドでも他国と同じく、全員にワクチン接種が行われていたんだ。でも途中から方針が変更された。天然痘患者を見つけた者に賞金を出すことにしたんだ。

霊夢:
 またとんでもない方法ね。

魔理沙:
 でも効果はすさまじかったんだ。患者と一ヶ月以内に接触した者に、ワクチンを集中的に接種させていたことで、インドの患者数は激減していったんだ。

魔理沙:
 その後、他の地域でも同じ方法が用いられて、1970年には西アフリカ全域から根絶され、1978年にはアフリカ全土から根絶された。その3年後の1980年、WHOは地球上からの天然痘根絶宣言を発するに至った。

霊夢:
 ついに人類と天然痘の長きに渡る戦いに終止符が打たれたのね。

魔理沙:
 根絶できたからこその問題はある。

霊夢:
 一体何が問題なの?

魔理沙:
 根絶できたことは素晴らしいことなんだ。でもだからこそ、今生きている人たちは、天然痘に対する免疫を持っていない。テロリストの手にウイルスが渡って、バイオテロに使われれば甚大な被害が出る。

霊夢:
 それが問題なわけね。テロに使用されることがないように祈るばかりね。

 紀元前の発症記録から1000年以上を経て、ようやく収束した天然痘。そこには長きにわたる人類とウイルスの戦いがありました。この歴史を知っておくと、コロナウイルスに対しても決して油断はできません。

 二人の解説をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画をご視聴ください。


▼動画をノーカットで楽しみたい方は
こちらから視聴できます▼

【閲覧注意】コロナも後に続けるか!?人類が唯一根絶できた感染症【ゆっくり解説】

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