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朝鮮人民軍「5月は田植えで忙しい」過激化した北朝鮮が5月になると対話姿勢に変わる理由『5月1日の方程式』を有識者が解説

なぜ金正恩は権力を保てるのか

山本:
 金正恩という人物をどう見るのか。トランプ大統領が「スマートクッキー」という英語としては馬鹿にしたニュアンスで金正恩を表現しましたが。あれだけの若さで、周りは魑魅魍魎みたいな人達の中で、あそこまで怯えさせ権力を保っていくっていうのは妙に戦略家じゃないか、みたいな話なんですけど。

武貞:
 権力を持っているということについては、金日成(キム・イルソン)主席の孫であって、DNAを引き継いでいますよね。やはり儒教社会ですから血統は大事なんですよ。父というのは儒教社会で絶対的な権力を持っています。祖父が建国の父だと。金正恩委員長はその孫ですから「この人に従っていくべきだ」という宗教的な心が北の人にはあります。

金日成。Wikipediaより。

山本:
 「なぜ、正男を殺したんだ?」って(視聴者からのコメントに)書いてありますけど、そういう意味では金正男(キム・ジョンナム)も同じですよね。むしろもっと正統かもしれませんよね。

武貞:
 金正男は正統じゃないんですよ。金正日の息子として、真っ当な結婚の末に生まれたわけではない。お母さんは精神的に不安定になって、金正日とも関係が悪くなってモスクワに行って、そこで亡くなった。そういった経緯もあって、その次の女性との間に生まれた、金正哲(キム・ジョンチョル)、金正恩、金与正(キム・ヨジョン)という2人の男性と1人の女性が北朝鮮を背負って立っているわけですね。

 北朝鮮で正式な子供であると宣言されたわけではない金正男は直系ではあるんだけれども、筋ではなかった。金正男は生活が厳しくなっていたということもあって、外国の情報機関や報道によれば、アメリカのCIAともコンタクトがあったとも言われています。

金正男氏、朝日新聞より。

武貞:
 そういった動きをしているところで、金正男を担いで韓国にいる脱北者3万人の足がかりの場として、ロンドンやワシントンで亡命政権を作ろうという話になってきた。金正男はそんな考え全くないんだけれど、DNAは継いでるわけですから、担ぎあげられると北の体制としては気分が悪いですよね。ということで悲劇が起きてしまった。


記事で扱った、「北朝鮮問題」について語っている箇所は下記プレイヤーの59:54から始まります。

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