未開の地を行く探検家には「宣教師」と「軍人」が多い? その理由とは
中国の幻の神獣 『四不像』 の不幸な運命
新宅:
シフゾウは漢字で書くと『四不像』、つまり「4つの動物に似てるけど4つの動物にあらず」という意味なんです。
番組スタッフ:
暗黒のヒーローみたいだね、「俺は誰でもない」みたいな(笑)。
新宅:
これが発見されたエピソードも面白いんです。もともとシフゾウは絶滅したと言われていたんですけど、パンダを見つけた宣教師が宮廷の中に何かいるのを見つけたんです。そこは入っちゃいけない、と言われてた場所で、何か中でうごめいている声を聞いて、こっそり見せてもらったんです。そしたら中にシフゾウがわんさかいたんですよ。昔の皇帝がこっそり飼っていたんですね。
立川:
今もシフゾウはいるんですか。
新宅:
今は多摩動物公園にもいます(笑)。シフゾウってすごく不幸な動物で、中国の宮殿で見つかった後に、そこが大洪水にあって絶滅するんです。でも実はヨーロッパの動物園に何匹か持って行っていたんですよ。でも、それも第一次世界大戦が始まって、動物園の扱いがどんどん雑になっていって殺処分されたりで、最終的には動物園からもいなくなったんです。またしても絶滅したと思われたんですが、なんとイギリスの貴族が「そんなこともあろうかと」ってプライベートマネーで自分の庭に飼っていたんですよ(笑)。
番組スタッフ:
変態っぽいね(笑)。
新宅:
動物か絶滅するかどうか、というのには貴族とか変な悪徳の王様とかが意外と貢献しているんですよ(笑)。やっぱり市民レベルではどうにもならないのかなって(笑)。
番組スタッフ:
普通は人間の方を大事にしなきゃいけないという所に追い込まれるからさ、要は人間が大事とか考えないジャンルの人が。
新宅:
そうです、気持ちの余裕があるクラスの人たちが、趣味で飼ってるとかではなく、先を見据えてね、「これは保存しないといけないから、やっときました」ってね(笑)。
番組スタッフ:
「プチノアの方舟」だね(笑)。
現代の未開の地は紛争地域やマフィアの麻薬栽培所
番組スタッフ:
「新種の大型哺乳類はまだいると思いますか」という質問がきてます。
新宅:
私はいないと思いますね。
番組スタッフ:
ちなみに最後に見つかった大型哺乳類は何だったんですか。
新宅:
なんでしょう……思いつかないんですけど、日本のイリオモテヤマネコとかは十分すごいですよ。あれはサーベルタイガーの末裔ですからね。
番組スタッフ:
猫が見つかったか、くらいにしか思ってなかった(笑)。
新宅:
全然違う系統で、しかも20世紀入ってからですから。シーラカンスなんかもすごいんですよ。シーラカンスは川に普通にいたんですけど、7000万年前の化石が一つも出てきてなかった。恐竜と一緒に絶滅したと考えられてたのが、なんと深海に隠れていたと。だから恐竜を発見したのと全く同じレベルなんです。だから、深海は怪しいですよね(笑)。
池田:
何か逃げて行ってるかもしれない(笑)。
新宅:
専門家にはバカなと言われるかもしれないんですけど、シーラカンスが発見されているのが東南アジアとアフリカなんですけど、同じ環境が駿河湾にあるんです(笑)。その辺にいるかもしれない。陸上は厳しくなってきてますけど、水の中はまだまだ分かってません。陸上で研究者が大型の新種を探すのに、一番注目してるのってどこだと思いますか。
番組スタッフ:
森っぽいところだよね。シベリアだろうか。
新宅:
2か所あるんです。1つは38度線。確かに牙のはえたシカとかがいるんですよ。結局戦争してる所の戦争してない所(笑)。
番組スタッフ:
誰も入れないからだ。
新宅:
あと1つがマフィアが麻薬を栽培している土地なんです。そこ入ったら殺されるから入れないらしいんですよ。その土地は結構広大で、何かいるんじゃないかって(笑)。だから未知の場所というよりは紛争地帯とか、マフィアの土地が皮肉にも野生動物をかくまう結果になってるんです。