臭いだけではない!実はキケンな劇物「アンモニア」。アンモニア水を全身に浴びて死亡した事故を解説
今回紹介する、54さんが投稿した『【ゆっくり解説】意外と知らないアンモニアの危険性【労災事例・事故】』という動画では、音声読み上げソフトを使用して、アンモニア水を全身に浴びたことによる死亡事故について解説していきます。
投稿者メッセージ(動画説明文より)
色んな化学物質による労災も紹介していこうと思っています。
アンモニア水を浴び死亡した事故
霊夢:
本日はとある物質によって起きた労災についての解説です。アンモニア水タンクの弁の閉止作業中、ボールバルブが破断、脱落し、アンモニアを全身に暴露したことによる死亡。
アンモニア水タンクの液面計管台付き弁の閉止作業をするにあたり、ボールバルブが固着していたため、潤滑油をステムになじませ、しばらくたった後、1名が液面計本体を手で支え、1名がモンキーレンチをパイプに差し込んだものでステムを回した直後、ボールバルブのふた部分が破断、脱落し、アンモニア水(濃度約25%)が噴き出し2名に被液、1名は防液堤内で意識を失い倒れ、5日後に死亡した。
また同じ作業を行っていた1名は、防液堤外に脱出し軽傷、救助にあたった1名も軽傷を負った。ボールバルブの点検は、これまで外観の目視によるもののみであったが、調査の結果、内部が腐食していたことが判明した。
適切な保護具、呼吸用保護具の未着用。作業標準書、マニュアルの不備。装置、設備の管理不足、点検不足、作業員への指示不備。作業主任者、管理責任者等の指示内容の検討不足。機器、設備の破損。以上です。さて魔理沙、突然だけどアンモニアというとどんなイメージ?
魔理沙:
尿に含まれているイメージだな。あとニオイがきつい。
霊夢:
確かに一般的にはそんな感じね。ちなみに実は尿自体にはアンモニアは含まれていないって知ってた?
魔理沙:
じゃあの強烈なアンモニア臭は何なんだ。
霊夢:
時間経過で尿に含まれている成分が分解されることによって、初めてアンモニアが作られているのよ。
魔理沙:
なるほど、そういうことだったのか。それにしてもアンモニアで人が死ぬなんて思わなかった。温泉にも含まれてるのに。
霊夢:
アンモニア水というのは、そもそもアルカリ性水溶液だから、皮膚を溶かしてしまったり、目に入ると危険な物質なの。
ただしその危険性はアンモニアの濃度によって変わる。これはアンモニア濃度によって、人体に与える影響の違いを表にしたものなのだけれど、PPMというのが濃度のこと。
そのPPMが25ぐらいになると、すでにかなり強烈なニオイがする状態ね。100を超えると身体に影響がではじめて、300以上で気道に影響、2500を超えると危険な状態になるわ。今回の事故が起きたアンモニア水は濃度25%。本来10%を超えると劇物扱いだから、25%がいかに危険かわかるわね。
魔理沙:
濃度25%ってPPMでいうといくつになるんだ?
霊夢:
250000。
魔理沙:
そんなもの全身に浴びたら大変な事だ。
霊夢:
アンモニアの危険性を理解してもらえたみたいね。
魔理沙:
まさか命の危険があるものとは……。ただ臭いだけだと思ってたのに、びっくり。
霊夢:
その強烈な臭いのおかげで、不用意に近寄りづらいというのと、危険な濃度のアンモニア水に触れる機会がないことから、アンモニアの本来の危険性はあまり知られてないみたいね。
魔理沙:
というか、アンモニア水って何に使われてるんだ?
霊夢:
一番多い使い道は、おそらく掃除。油も落ちるし、いろいろな場所の清掃に使えるみたい。だから実際に使うことがある場合には、きっちりと手袋などの防具をつけて、使用後は必ず手を洗うことが大事ね。
では今回の事故の対策についてです。バルブの使用年数や状態を確認し、動きが悪い時は無理に開けず、必要な災害防止対策を講じた上で作業を行うこと。アンモニア水が飛散する恐れのある作業を行う際は、不浸透性の保護衣、および呼吸用保護具等を着用すること。
作業前に作業方法および使用する化学物質から、想定されるリスクの検討を行い、必要に応じ作業方法の変更及び、保護具の着用等の適切なリスク低減対策を講じること。また検討を行った結果については、作業者に周知徹底を図ること。以上です。では本日の解説はここまでとなります。
強烈なニオイのイメージが有名なアンモニアですが、実はとても強い危険性を持つ劇薬でした。解説をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画を視聴してみてください。
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