星雲賞を受賞した声優・池澤春菜さんがSF小説の魅力を語る「SFに古いも新しいもない。未来を描く以上、永遠に新しくなり続ける」
海外短編部門『もどれ、過去へもどれ』『シミュラクラ』
池澤:
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの『もどれ、過去へもどれ』、ケン・リュウの『シミュラクラ』が海外短編部門をダブル受賞ということは同数の票を集めたということでしょうか。
池田:
昨年の日本短編部門もこのようにダブル受賞でしたね。
池澤:
これは、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアというSF史に燦然と輝く一番星のような方とケン・リュウという新星、その二人が獲ったということですね。SFって古いも新しいもある意味ないじゃないですか。
池澤:
未来を描いているものである以上、永遠に新しくなりつづける作品でもあるので、ある意味とてもSF界を象徴する二作でもありますよね。ティプトリーのこの作品は1988年の作品ですね。そんな時代の作品がいまのSFの賞を獲るというのが星雲賞の面白いところですね。
池田:
それだけ素晴らしい作品がまだ日本語に訳されていなかったというのが驚きですね。ティプトリーなんて全部訳されているとばかり思っていましたから。
池澤:
これは、忘れてた頃にタイムカプセルが出てきたというか、もう一回宝物をもらったような喜びが有りました。
日本短編部門『最後にして最初のアイドル』
池澤:
草野さんの『最後にして最初のアイドル』が日本短編部門を受賞しましたね。
池田:
やっちゃったって感じですよね(笑)!
池澤:
新しい流れですねー。
池田:
すごいですねとしか言い様がなくて……。
池澤:
2作目が大変だと思いますよ(笑)。
櫻井:
このままダダーッといってくれたらいいですよね。
池澤:
新しいもの、新しい流れを作る方なので……2作目3作目でも、私達をポカーンとさせてほしいですね!
池田:
初出が電子書籍というのも初ですね。今まででしたら、紙で出版されたときの年度だったんですけれども。
池澤:
今後はセルフパブリッシングも候補に入ってくるかもしれないということですね。
櫻井:
同人誌で翻訳されたものが候補に入っていたりもするので、セルフパブリッシングが候補に入ってくるのは大いにあり得ると思いますね。