ドン・中矢・ニールセンが逝去(享年58)「前田日明さんがカリスマ的存在になる要因を作った人ですよね」吉田豪らが過去の試合をふり返る
日本の総合格闘技ブームのルーツとなった日系三世の元キックボクサー、ドン・中矢・ニールセンさんが8月15日、バンコクにて亡くなりました。
これを受けて、久田将義さんと吉田豪さん、そしてゲストのターザン山本さんが『タブーなワイドショー』にてニールセンさんと前田日明さん、藤原喜明さんや山田恵一さんとの激闘を振り返りながら、故人を偲びました。
総合格闘技ブームの立役者となったニールセン
吉田:
山本(ターザン)さんはニールセンと接点はあるんですか?
ターザン:
僕はない。ただ、先日発売された本で、たまたまタイでカイロプラクティックをやっていたニールセンに誰かがインタビューしたんですね。それに書かれていた内容を見て、俺はびっくりしたんですよ。
久田:
こちらですね。
吉田:
正直、かなり死相が出ている感じの表情なんですよね。
ターザン:
「リアル・ビジネス・ファイト」と書かれているでしょ? 俺が聞いた話によると、前田日明戦はリハーサルがあったと聞いていたんだよね。
吉田:
そういう定説ですね。
ターザン:
それを俺も信じていたんだよ。リハーサル指導をしたのは、プロレスと作りがうまい藤波辰爾さんだと。藤波さんが全部絵を描いたと言っていたんだけど、ここには「リアル・ビジネス・ファイト」と書かれているわけですよ。
吉田:
要するに「KOするな」とだけ言われて、結末は決まってなかったという言い方をしている。リアルファイトではないけど、ただのビジネスファイトでもない。「リアル・ビジネス・ファイト」だという。
久田:
難しいですね。リアルではない。
吉田:
プロレス心のある答え方をしている感じがありましたね。
ターザン:
ニールセンは大学を出ているんでしょ? やっぱり、頭がいいというか、終わったことをうまく処理する能力が抜群にいいよね。
久田:
柳澤健さんの『1984年のUWF』という本でしたっけ。
吉田:
それでもいろいろニールセンとジェラルド・ゴルドーのコメントが出てたじゃないですか。
久田:
前田さんもね。
吉田:
それでは、こういう含みのある言い方ではなかった気がするよね。
久田:
ズバリ、みたいな言い方でしたけどね。
吉田:
前田日明がカリスマ的な存在になるきっかけを作った人ですよね。
ターザン:
ちょうどその前田日明戦のときに、両国国技館でアントニオ猪木の大きなイベントがあって。
吉田:
猪木対レオン・スピンクス。
ターザン:
それは、もうしょっぱい、つまらない試合になったわけですよ。
吉田:
なにがひどいってレフェリーがガッツ石松だよ。
一同:
(笑)
吉田:
機能がずれはじめていた時代なんだよね。「猪木さんだ」ってことで、レフェリーがガッツさんって(笑)。
ターザン:
猪木さんの株がドーンと落ちたのに、前田日明がニールセンと……。
吉田:
たいした情報もないキックボクサーと、緊張感のある良い試合をやったと。
久田:
僕は、レオン・スピンクスは、やったなくらいしか思い出ってないんですけど、前田さんの前田さんたるものは、ニールセン戦ですよね。
吉田:
猪木、スピンクス戦で一番笑ったのが、バンテージチェックとかあるじゃないですか。一応あれをやっていたっぽくて、スピンクスの拳に「ガッツ」と書いてあるんですよ。ギャグじゃないですか、もうこれ(笑)。
ターザン:
見るからに、来た瞬間に「これだめだな」と。
吉田:
スピンクスですか。
ターザン:
要するにさ、遊びに来てるようなもんだよ、日本に。
吉田:
ただのビジネス。
ターザン:
ビジネス以下の観光に来てるようなもんだ。