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アニメOPのようなシンセサイザーが煌めく初音ミク曲。画面を埋め尽くす”ブッとんでいけ!弾幕”が圧巻な『ブッとんでいけ!』

 今回は、Ponchi♪さんが6月10日に投稿した「ブッとんでいけ!」を紹介する。

文/小町 碧音(こまち みお)


 この曲はわかりやすいに徹した単純明快なポップソング。アニメのオープニングあるいはエンディングに使われそうな雰囲気を持ったシンセが煌めく曲でもある。水色背景のMVにひとりの少女が描かれる。<散々なんだ毎日は 何もできないまま過ぎ去っていく時間>と日々の生活に圧迫感を感じている主人公が<ダダダDOWN↓>と気持ちがさらに下がっていく心の変化を表している。

 そこから、曲名が歌われるサビの<ブッとんでいけ!>で、真上へとぶっとんでいくようなサウンドに転換。一気に吹き飛んでいく様子には、真冬が真夏に急変したり、毎朝、東からのぼり、夕方に西へ沈む太陽の動きが早送りされたかのようなありえないくらいの衝撃がある。楽曲全体を通して、何を伝えたいのかが明白でストレートに届いてくる歌詞になっている一方で、歌詞に出てくる当て字<僕らは何者かになりたくて 現実(リアル)を生きている>や<ちにたくなるけど>や<ちぬことあるけど>など独自性が見られるところからは、作者の遊び心を感じる。2番の<ヤミーヤミーさ 原動力だから 弱虫の凡人が Lv.1000を演じているんです>という誰しもが持っている弱さにスポットをあてて、共感性が高くなっているリリックが視聴者の心をうなづかせる。

 2番のサビのなかの<他人と比べてまた落ち込んでそれでも生きている>の後ろに続く最後の<ブッとんでいけ!>では、画面を埋め尽くす<ブッとんでいけ!>の文字が光線かの如く並ぶことからニコニコ動画特有の弾幕(コメント機能により画面が同じコメントで埋め尽くされること)を思い出す節もあり、どこか懐かしい。

 注目したいのは、曲の尺が2分13秒という今のボカロ曲に見られる短さであること。単純明快なサウンド、リリック、尺とすべてがコンパクトに収まりながらもメッセージ性はしっかりと保たれている。全体的にキャッチ―でまるで聴いたことがあるような耳馴染みの良い曲でありながら、今のボカロ曲の特徴を掴んだ曲といえる。「かわいい」とコメントが流れているように初音ミクの調声やMVに登場する主人公の少女の可愛らしさと曲の明るい雰囲気がマッチしているのもポイント。なによりも、この曲の一番の魅力は、耳にするだけで元気になれるところにある。


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