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ダークなぼかうた好き必聴!ピアノの強い旋律と赤い眼光で睨みつける初音ミクが暗さを際立たせる「ガラクタージュ」

ダークな曲が好きな人や、曲の背景を想像して楽しむ通なリスナーにオススメしたいのが今回紹介する「ガラクタージュ」です。

文/高広亮


 始まりからピアノの強い旋律が印象的で、何かを訴えかけてくる雰囲気が感じられる本作。全体的に仄暗く、MVのミクの顔にはヒビまでも入っています。
 表情からは諦観すら感じられる彼女ですが、Aメロでは目を閉じて、物思いにふけっているようにも見えました。

 繰り返すピアノの旋律に合わせ〝アナタ〟と〝アタシ〟の日々を振り返っているのでしょうか。悲しげな曲調も相まって、ゴミ捨て場へ行き着いた彼女の運命が頭に浮かびます。

 しかしそこに悲しみだけしかないと感じたなら、それは〝アナタ〟の一方的な思い込み。「瓦落多(ガラクタ)だったでしょうか?」という歌詞と共に目を開けた彼女はサビで一転、こちらを睨みつけて嫌悪感を向けてくる。

 そんな表情と共に入ったサビはテンポが早めで、何度も韻を踏むことも相まってメロディが耳に残ります。この口ずさみたくなる楽しさこそが本作最大の魅力と言っても良いでしょう。

 しかし忘れてほしく無いのが、曲中で扱っている「ガラクタ」という題材です。繰り返し聞きたくなるポップさがあるにも関わらず、曲の内容もミクの表情も一度として明るくなりません。

 さらには歌詞のロゴも何度も入れ替わり、その形も色も配置もバラバラ。この統一感の無さが不安や焦燥を駆り立ててきます。加えて、漢字の当て字で強調された「瓦落多(ガラクタ)」という歌詞。これらの事から、多くの瓦礫が落ちたゴミ山を想起してしまいます。

 どちらにせよ「待って やめて 捨てないで」と歌う彼女が、自分の境遇を拒絶しているのは明らかです。なのに持ち主である〝アナタ〟からすれば、彼女は結局ガラクタの一つなのでしょう。「掃いて捨てるほどある愛を」持ちながら、「どうか どうか どうか 与えて」と願う彼女を最後まで見向きもしなかった。

 そしてついに彼女の目から、こらえきれなくなったように涙がこぼれます。しかも悲しみではなく、ゾクッとするほどの憎らしげな表情で。

 捨てられるガラクタという題材を様々な角度から際立たせた、完成度の高い本作。綺麗なだけじゃない作品が好きな人はきっと気に入るはずです。

 それとも、いつかはこの曲にガラクタのレッテルを貼る日が来るのでしょうか。だとすればその時こそあなたは思い出すはずです。赤い眼光で睨みつける、彼女の視線を。


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