【ボカコレ2023夏ルーキー】1番と2番で登場するキャラクターごとに曲調が一変!?鏡音リン・レンの心境を描くMVにも注目！『クラッシュバック』
今回は、2023年8月4日に投稿された暖炉Pさんの楽曲「クラッシュバック」を紹介する。華麗で軽快なピアノの音色が、楽曲全体を彩っているところは、暖炉Pさんの楽曲ならではのひとつの魅力といえる。「クラッシュバック」でもその持ち味を存分に発揮しており、聴きごたえのあるサウンドに斬新なアプローチが詰まっている印象を受けた。
破壊力のあるドラムにピアノ、エレキギターのサウンドが交差する短めのイントロから流れるように始まる鏡音レンの歌声。劇場の客席に座る鏡音レンは、どこか唖然とした表情で〈解んなくなった 答えなんか、 ここに亡いと誰かが言った〉と苦悩を訴えかけている。Bメロで突然現れる壁に貼られたボカコレラストルーキーのチラシ。競争の場であるボカコレを彷彿とさせるシーンは、創作におけるクリエイターの葛藤を表現しているように思えてならない。また、同曲は『ボカコレ2023夏』ルーキーランキングでは15位にランクインした。
1番のサビに入ると、両手で頭を抱えている鏡音レンの姿とシンクロする〈変わりたいなんて言わないでよ 言わないでよって 夢を裂く〉という叫び声と呼べる歌詞が登場する。
2番手前の間奏を起点に、サウンドの雰囲気が一転。三味線を中心とした和の音色にフォーカスがあたり、映像も先ほどの客席から落語や漫才などの古典芸能を興行する大衆的な演芸場である寄席のシーンへと映り変わっていく。客席に座る鏡音レンが見ている景色だろうか。そこで目にするのは、1番に登場した鏡音レンとは打って変わり、2番の鏡音リンは、自信に満ちた誇らしげな表情でそのステージに立っていること。その表情に呼応するかのように、三味線と尺八が力強く存在感を放つ和ロックサウンドが楽曲全体をリードしていくところに一体感がある。
〈「軽々しく細胞を断つ。堆積物さえ塵と化す。」〉から続く鏡音レンによる独白は、ナースロボ＿タイプTの冷静沈着な声色で表現され、3者の歌声がそれぞれ異なるメッセージ性を持っているように感じられるのも興味深い。
ラスサビのクライマックスでは、苦悩する鏡音レンと自信に満ちた鏡音リンという2人の叫びが重なり合い、夢と現実、葛藤と希望が交錯するようでもある。1分53秒という短い時間のなか、目まぐるしく展開する構成で、常に新鮮さを保つストーリー。最後の息継ぎと叫ぶ声まで、まさに、一瞬一瞬が鮮烈な印象を与える圧巻の楽曲だ。
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