「これからの文壇はお笑いが席巻する」——ビートたけしが語る“お笑いと文学”の密接な関係
ビートたけし氏(北野武)の代表作を1つあげるとしたら、何を思い浮かべるだろうか。小説や絵画を真っ先に挙げる人もいるだろうが、大半は『その男、凶暴につき』や『アウトレイジ』『BROTHER』など、暴力映画の数々ではないだろうか。
「彼の暴力はクールだ」と、海外でも好評の暴力シーンを生み出してきたビートたけしだが、9月22日に発売される、彼が書き下ろした小説『アナログ』は、なんと純愛をテーマにした恋愛小説だという。
——「なぜ恋愛小説を書こうと思ったのですか?」
ビートたけしに率直な質問を投げかけたのは、お笑い芸人であり、芥川賞作家でもある又吉直樹氏だ。どうして、又吉直樹がビートたけしに疑問をぶつけているかといえば、『アナログ』の発売を記念した対談が行われたからである。
司会進行役にフリーアナウンサーの中井美穂氏を招いて行われたこの対談は、9月22日、小説発売日の夜に、ニコニコ生放送にて配信されるので、ぜひともチェックしていただきたい。
60分の対談の中で語られたのは、2人の恋愛に対する価値観やクリエイター論、小説を書き上げるまでの手順など多岐にわたったが、本記事ではその一部を抜粋した内容を、放送に先駆けてお届けしたいと思う。
※特別対談の生放送ページはこちら → ビートたけし×又吉直樹 特別対談「笑いと純愛」
なぜ、今『アナログ』を書いたのか
又吉:
たけしさん、いろんな映画を撮られてるじゃないですか。それでこのタイミングで小説をもう一度書こうと思ったときに、なぜ、まず『アナログ』を書こうと思ったのか?
たけし:
あまりにもギャング映画ばかりやりすぎたんで、まず「男と女が出てきて恋愛感情を持つ」という作品を書こうと思った。まあ、よくあるタイプの話だけれども、それしか考えなかったね。
あとは、この先、自分自身にどういうキャラクターが出てくるのかと一時期すごい悩んだのよ。落語とか漫才、芝居や映画監督とかなら出せるんだけど、自分のやってきた仕事以外に何かないかなと思っちゃって。新しいキャラクターはできないのかな、やっぱり経験していないものはね。
いずれ映画化できるだろうというか、それを前提に書いたんだけど。なにか、いろいろなものに手を出す割にはダメなんだよね。
又吉:
いや、そんなこと(笑)。
たけし:
絵を描いてもダメだし(笑)。
中井:
絵は……すごいじゃないですか? 映画も絵も。
たけし:
いや、俺は十種競技だったら優勝すると思っているけど。
中井:
十種ね。
たけし:
武井壮みたいなもんで、100メートル走だけとか、やり投げだけやっても上の方に入ってこないんだよね。でも、総合的に見る十種競技だったら俺はいいところにいるかもしれない。
中井:
じゃあオールラウンダーだということですか?
たけし:
だから芸能と括れば、わりかしいいところにいるけど、漫才とか、いろいろなことを言われちゃうとダメだって(笑)。
中井:
と、自分では、思ってるんですか?
たけし:
うん。芸能ではオリンピック候補になれると思うけど、単発の競技ではとても入らないというか。15位がいいところだろうと。
中井:
へえ、意外。
俺は偉くなって逮捕されたい
たけし:
俺は、とにかく偉くなりたいのよ。
中井:
えっ?
たけし:
偉くなりたいの。偉いな、あの人と。だから、もう文化勲章とかくれないかなと思って。
中井:
もらってないんですか?
たけし:
それで、逮捕されて捕まったりなんかして。立ちしょんべんしたり、偉くなって少女買春で捕まるとか、そういうのがいいなと思って。
中井:
よくないでしょ(笑)。
又吉:
選考会でも話題になっているんじゃないですか? たけしさんは立ちしょんべんするらしいぞ、みたいな。
一同:
(笑)
中井:
やめとこうか、やめとこうか。
又吉:
選考委員もやめとこうかとなっているんじゃないですか?
たけし:
選考委員全員にいやがらせの手紙を送りつけてやろうと思ったんだけど、それもまずいなと。
中井:
アナログですね、随分。