ボカロPマサラダによる最新重音テト曲『イレギュラーマン』映像×音圧に「かっこいい」「個人制作とは思えん」の声
今回は、マサラダさんが5月3日に投稿した「イレギュラーマン」を紹介する。
タイトルから立ちのぼる“マサラダ感”。そう思えるのは、彼自身が「視点を変えて世界を見る」スタイルを一貫して提示し続けてきたことの証明でもあるだろう。
しかし、本番はここから。音が鳴った瞬間、筆者の思考は濁流に飲まれるかのように圧倒された。破格なサウンドとアニメーションの密度。そのなかでふと、イレギュラーマンと目が合った錯覚さえした。

「㋰責任集合体」から約1年ぶりの今作は、満を持しての新作。初速からその勢いは凄まじいもので、Billboard JAPANのニコニコ VOCALOID SONGS TOP20(集計期間:2025年4月28日〜5月4日)では、公開からわずか2日未満で首位に躍り出た。これはマサラダさんにとっても初の本チャート1位という快挙で、桁外れの人気と実力が真正面から結実した結果だ。

「イレギュラーマン」は、「ウルトラトレーラー」の続編的ポジションとも噂されていて、イントロからそのカオスと疾走感が炸裂する。重音テトがドアをノックしたにもかかわらず、壁ごとぶち破って登場するMVの冒頭シーンから、すでに世界観はイレギュラー。
<逸れろ逸れろ逸れろ…>を合言葉に、レッドコーンにつまずき、<転がってゆけ>というフレーズと共に勢いよくサビへと転がるテト。見慣れた日常に亀裂を入れるような、鮮烈な非日常の気配が眩しい。
なかでも圧巻なのは、情熱の炎に包まれながらヒーロー化していくテトが<どうにでもなれ どうにでもなれよ 突き抜けろ斜め上>と叫び、決めるハンドサインのシーンでの視聴者による絵文字の弾幕……最高だ。これぞマサラダ印の“全集中型”映像体験。すべてを振り切る突進力に、視聴者側にも参加せずにはいられない空気が生まれている。

テトのギターソロのセクションもポイント。通常の楽曲ならテクニカルなスキルを披露する場面で、あえて外れた旋律を鳴らすその演出は、テトが“普通の道”から外れた存在であることの象徴だろう。
フィニッシュに向けた助走として機能しているのが、<脱脱脱脱脱出だ>の言葉と共に始まるチップチューンを基調としたセクション。ここでは、力を溜め込んでいくテトの姿がコミカルに描かれる。
ひとりの野球少年がグラブでボールを捕らえる瞬間、彼の顎に直撃するテトの赤い魂。吹き出す血。軽快に飛び回る魂、加速する映像……。これほどの情報量とエネルギーを、常識の1000倍は詰め込んだMVを正直観たことがない。しっかりと3分で収める構成力にも驚かされる。まさに異常値の結集だ。

終盤には、<傷を持って始まれ>というパワーフレーズと、アンセミックでメロディックなサウンドでマサラダ節がさらに顕著になっていく。イレギュラーマンであること。それはむしろ、誇るべきこと――気付けば、思考がくるりと反転していた。
彼の曲に触れると、靄のかかった視界の解像度が瞬時に引き上げられ、世界が変わって見える瞬間がある。確実に深化した「イレギュラーマン」もまた同様。次の投稿は、いったい、いつになるのか。たとえそれが何年先であったとしても、辛抱強く待つ準備はできている。
■配信情報

■information
「The VOCALOID Collection」 公式サイト
無料でボカロ聴くなら「ボカコレ」100万曲以上のボカロが聴ける音楽アプリ! ダウンロードはコチラ
―あわせて読みたい―
・高速BPMで遊び心が詰まった楽曲『もんめためたもん』ボカロP・OSTER projectの遊び心が詰まった1曲に「ずっと頭から離れない」の声