高速リリックと破壊的MVが印象的な1曲『チェインソー100%』聴覚と視覚を同時に刺激するアニメーションに「あがるぜぇ!」「かっけぇ…」の声
今回は、さたぱんPさんが2025年9月1日に投稿した「チェインソー100% (feat. 小川大地)」を紹介する。
これまでのさたぱんPさんのMVでも、アニメーターの内田清輝・グ弍さんとの掛け合わせによって生まれる超個性的な世界観は、今回のMVでも十分すぎるほど、健在している。振り回す暴走ラウドロックサウンドの派手さに、ネオンカラー寄りのどぎつい色が何度も衝突しあうサイケデリックな作風が完全にマッチ。日常生活でそうそう味わうことのできない“トリップ体験”が胸によぎる作品になっている。
まずMVを目にしたときに印象深いのは、イントロのギターリフと、ギターを掻き鳴らすさたぱんPさんと片手でマイクを握る小川大地さんのデフォルメキャラの登場シーンだ。呪文のように繰り出される高速リリックと、並外れた存在感を持つ破壊的アニメーションに早くも視界を奪われる。ここは、感覚的な音を頼りにした気持ちのいい展開。

サウンド面で特に光るのは、弾けるライムと軽快なフロウのリズム設計、ギターのディストーションの厚み、ベースのグルーヴ感、ドラムの交差するパンチ力だろう。まさに、ラウドなノイズと歪んだビジュアルの衝突劇が生んだ奇跡。音声合成ソフトウェアでは表現しきれない“果汁を絞ったかのような旬のある歌声”が、サビでのキャッチーなメロディにさらに濃厚な色を足している。
サビに差し掛かると、疾走するサーフボードに自ら乗り込む高揚感が待っていた。<ガラゲロウェイ ガラゲロウェイ ゲロウェイ>のフックは、中毒性という点でこの曲の核心だ。

般若心経といった本格的なお経を借りて“許し”や“裁き”のテーマを暗示させる部分によって、思想の棲むラウドへと変化する2番も面白い。まるでリリックが添え物で、音がすべてを語っている気さえしてくる。
一方で特筆すべきは、さたぱんPさんの1stアルバム『ボカ番狂わせ』には、「チェインソー100%」の重音テトバージョンが収録されていること。オリジナルの生々しいライブ感と、重音テトならではのボーカル=記号的表現の差異が、別の角度からの体験を促してくれるはずだ。

謎の展開から一気に引き込み、聴覚と視覚をひとまとめにしてインパクトを残すなかで、静かに幕を閉じた「チェインソー100% (feat. 小川大地)」。これまで見えていた“外見”がひっくり返る瞬間を音楽で味わわせる、そんな新鮮さをもった1曲だと思えた。
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