『アイドル』はジャンルか、はたまた概念か…「アイドルっていったい何なんだ?」を紐解く――吉田豪×ロマン優光×久田将義
久田将義氏と吉田豪氏による、サブカルニュースを斬るニコ生 『タブーなワイドショー』にて、「アイドルとは一体なんなのか」をテーマに討論。
ゲストにミュージシャンのロマン優光氏(ロマンポルシェ。/PUNKUBOI)を招き、上記テーマについて意見を交わしました。
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シェアのほとんどを独占するAKBと坂道
吉田:
久田さんの鋭いアイドル論を聞きたくなったんですけれども。
久田:
僕の地図で言うと……。
吉田:
地図? なに地図って。
一同:
(笑)
久田:
アイドル地図。AKBとその他という感じ。AKBと坂道があるじゃない? 僕は、正直に言っているけれども、秋元さんと……。
吉田:
ビジネスをやろうとしてね。
久田:
ビジネスというか普通に「久ちゃん」とか言われるじゃないですか。
吉田:
久ちゃんと呼ばれているんですか。
久田:
久ちゃんと呼ばれているよ。だってみんな大体そうですよ。AKBとAKBとはグループ的に違う人たちという感じ。ただ、それを言われると、僕の部下とかも「ハァ?」みたいな。
吉田:
そんな秋元グループだけじゃないですよと。久田さんのまわりはハロオタとかが多いんだよね。
久田:
ハロオタがすごく多いんだよね。僕の部下もみんなハロー!プロジェクトが好きで。AKBは別にそんなに好きでもないんですけれども、「なんでだめなの?」と言ったら、歌詞が良くないですと。
吉田:
そこを否定なのね。
久田:
「シュシュがなんですか」とか、「カチューシャが」とか言い出して、「アプガ見ました?」と言うから、アプガ見ているけど別にいいと思いますけれどもね、と言うと。
優光:
『ポニシュ』(ポニーテールとシュシュ)とか歌詞が最高なのに。
吉田:
ロマンはそこを評価した。
久田:
吉田くんもそうなんですよ。曲が嫌だとか言っていた。
吉田:
曲は僕の趣味じゃないものが多いというだけです。
優光:
曲がいっぱいありますからね。曲数が多いから、好きなところと好きではないところの曲がある。
吉田:
劇場の曲とかに好きな曲とかはあるけれども、シングル切られるものは大体好きじゃないという話ですよ。本当にシェアをほとんどAKB48と坂道が独占しているのは間違いない。
優光:
間違いないと思いますね。
とがった地下アイドル好きが欅坂に殺到している
久田:
ひとつだけ聞きたいんですけれども、この話題に入る前に欅坂とかどう思っています? ずっと笑わないじゃないですか。
優光:
異常だと思っていますよ。メジャーでしかできない本当に異常なものだから。
吉田:
地下のとがったものが好きな人たちが、みんな欅に流れているのはそういうことなんですよ。とがった地下アイドルが好きだった人たちは欅にわーって感じで。
久田:
そうなんだ。
優光:
めちゃくちゃ歪んでいますもんね。
吉田:
あれをメジャーでやっているという。
優光:
でも地下オタは新潟(NGT48)に流れる人が多かったじゃないですか。タイプとして地下にいるタイプの子が多いから。
吉田:
ロマンはどうなんですか? ロマンの考えるアイドルというのはざっくり聞くと。
優光:
楽曲とかじゃないですよね。まずアイドルポップスは実はジャンルじゃなくて。
吉田:
最近僕がちょっと揉めたやつですね。「アイドルを超えた」発言に対して、アイドルを超えられないですよ、そもそもと。
優光:
基本的に歌声の処理の仕方だと思うんですよ、アイドルポップスは。だからバックの音はなんでもいいんですよ。
吉田:
音楽のジャンルは関係ないんだよね。
優光:
女の子の声の良さと歌詞……、歌詞も本当は必要なくて、声の問題で、それはなんのためにやるのかと言うと、オタクがアイドルというものに対して持っているある種の感情を作るためのひとつの要素としてあるわけで。
吉田:
歌い方だよね。歌い方でアーティストになったり、アイドルになったりするんだと。歌い方すらアイドルなのにアーティストみたいなことをやろうとすると、僕が文句を言うのはそこなんですよ。それはもはやアイドルのフォーマットでやる必要はないでしょと。
優光:
だからなんだってアイドルポップスになるんですけれども、やっぱり声の活かし方だから、どうしても無理な、例えばぶつかり合ってしまうジャンルがあるじゃないですか、うまいこと処理をしないと。例えばどう考えてもグラインドコア【※】とアイドルは、グラインドコアの良さをアイドルの声が潰してしまうじゃないですか。
※グラインドコア
ハードコア・パンクから派生したジャンルの一つ。デスメタルの重厚さとハードコア・パンクの速さを融合させた、非常に過激かつ暴力的な音楽性が特徴。
吉田:
たぶんサビはちゃんとアイドルにするとかしないと成立しないよね。
優光:
そういうことで、どこまでも広がるようである程度の声の処理、歌声の処理というものがあるから、限界はあるんですけれどもね。
久田:
歌声の処理というのはアイドルっぽい歌い方ということですか?
優光:
声ですね。歌い方ではなくて、女の子の声の活かし方だと思うんですよ。上手い下手でも歌唱法でもなくて、その年代の子しか出せない微妙なものですよね。
吉田:
甘酸っぱさというか、キラキラした感じというか。