『アイドル』はジャンルか、はたまた概念か…「アイドルっていったい何なんだ?」を紐解く――吉田豪×ロマン優光×久田将義
アイドルオタとはどういった存在か――「オタクは一線超えた方が楽しいですよ」
吉田:
枝野さんのアイドル眼【※】とかどうですか。
※枝野さんのアイドル眼
枝野幸男。衆議院議員。立憲民主党代表。アイドル好きであり、立憲民主党結成前の2017年10月1日、民進党本部を離れた後、「1人カラオケに行きたいよ。(欅坂46の)『不協和音』を歌うんだ」と周囲に漏らしていたと産経新聞が報じた。
優光:
いや、まあよくいるタイプですよね。
吉田:
よくいるタイプ、たしかに。
優光:
理論に頼りたい人ですもん。気持ち悪くなれないタイプですよね、一線を越えられない。
吉田:
(笑)。超えてほしいんだ。
優光:
無理でしょう、あの人。でもオタクは一線超えた方が楽しいですよ。
吉田:
そうなんだよね、オタクは狂った方が勝ちの世界だから。より狂ったことができる人が評価されるジャンルなんで。だから僕はオタクとしては本当に全然だめなんですよ。
優光:
身分を剥奪されるわけじゃないですか、アイドルの前では。
吉田:
肩書きは関係ないわけですよ、本当にものすごい金持ちも無職も同じ位置になるんですよ、オタクとしては。
優光:
偉い経済学者もただのそこら辺の高校生も一緒なんですよ。
吉田:
ピンチケ【※】と全部一緒になる。
※ピンチケ
ピンクのチケットの略。AKB48劇場で販売される中高生向けのピンクのチケット(一般男性は青色のチケット)のこと。
久田:
そうか、なるほど。
優光:
その中でどうやってアイドルに認められるかってことですよね
吉田:
ロマンの動画見てほしいですよ、里咲りさ社長に「社長が一番かわいいよ」ってコールを始めたのがこのロマンなんですけど。走ってきて1回転してやってたよね。
優光:
側転ケチャですね。
吉田:
サラッと(笑)。側転ケチャやってたよね、ロマンが。
優光:
やってますね。今はやらないけど。膝がもう限界を(笑)。
吉田:
膝が(笑)。
優光:
いやこれ、アイドルじゃなくて自分のライブでね。僕、S.O.Bっていうバンドが好きで、そのベースのNAOTOくんが膝から床に落ちるのをやってたので、あこがれてずっとコンクリの床に膝で落ちてたんですけども、だいぶ悪くなっちゃって。
吉田:
そういう回り込んでのケチャが出来なくなった。
優光:
2回転できなくなりました、1回転が限界ですね。
吉田:
なるほどね。(コメント)「枝野より堺屋太一の方がいいよ」そうかもね。
優光:
堺屋さんは気持ち悪いですもんね(笑)。
吉田:
気持ち悪いけど、偉いっていうか筋は通ってる。
優光:
美学がある方で。気持ち悪いだけだとだめなんですよ。その人なりの美学がないと。だからやっぱり現場に来てこの人はTO(トップオタ)だっていう人いるじゃない。お金を払ってるからじゃなくて、この人のためにこんなになることは俺にはできないっていう、そういう人いるじゃないですか。
吉田:
よしりん(小林よしのり)も僕はいいオタだと思いますよ。
久田:
小林さんはオタなんですか?
吉田:
よしりんは気持ち悪いからちゃんとオタですよ。
優光:
騙されるタイプのオタクですよね。
小林よしのりはいい騙され方をするオタク
吉田:
いい騙され方するよね、毎回。
優光:
分かっていてその子が好きになる人っているじゃないですか。こいつは悪い女だけども俺は好きなんだからって。そうじゃなくて「この子はいい子だ」って言いながら行くから毎回すごいなと思って。
吉田:
「みるきーは裏切らない」って本気で言える人じゃないですか。
優光:
えっ、だってみるきーは裏切るのを前提でみんな好きだったわけじゃん。「この女はだめだ、でも好きなんだ」みたいな。
吉田:
「このあざとさヤバい」みたいな感じを楽しんでたわけでしょ。「みるきーに裏切られた!」ってショックを受ける感じがかわいいわけじゃないですか。
久田:
大島優子も好きだったけどね。
吉田:
大島も裏切らないわけないですからね(笑)。
優光:
センスの悪いオタクですよね、基本的には。
吉田:
でも、僕は好きですよ。かわいい。
優光:
無邪気ですから。
吉田:
山尾さん【※】も含めて本当に、推してる人に裏切られ続ける歴史じゃないですか。
※山尾さん
山尾志桜里。元検察官。衆議院議員。2017年9月7日発売の週刊文春で弁護士の倉持麟太郎氏との交際疑惑が報道された。
優光:
ピュアなんですよね。
吉田:
ピュア。でも本当、山尾さんに裏切られてもまだ守ろうとする感じとか、かなりいいオタだと思うよ。
久田:
かなりいいオタ(笑)。
吉田:
裏切られたら「しかし俺は文春から守る」っていう。あれは理想ですよ。
久田:
でも山尾さんはアイドルなんでしょ? あの人にとってみれば。
優光:
そうでしょう。
久田:
山尾さんはアイドルじゃないんですか?
優光:
よしりんって生身の女の人だと自分が認識してる人間にはああいう反応を取らないはずなんですよ。
吉田:
なるほどね。身近な人とかね。普通に手を出す感じの。
優光:
もっと父権主義な嫌な感じだと思ってたの、女性に対しては。
吉田:
実際やりまくっている歴史を漫画に描いて大問題になってるんですよね、叩かれたりしてね。
優光:
いわゆる聖母と娼婦みたいな扱いの、一番フェミニストに殺されるタイプですよ。馬鹿にしている女と崇めてる女っていう2つしかない最悪なタイプ。
吉田:
僕は好きですよ、その崇め方も含めて。大好き。
優光:
僕は別に好きでも嫌いでもないけど『東大一直線』【※】は好きでしたよ。
※東大一直線
小林よしのり氏の初連載作品。受験競争が叫ばれた当時の世相が反映されている。
吉田:
古いよ(笑)。
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