『龍が如く』サウンドクリエイター・坂本英城が業界を目指したのは“マリオの耳コピ”を中学時代にクラスメイトに褒められたからだった!?
大学時代のDTMが今の仕事につながっている
世界三大 三代川:
音楽専門学校みたいなところには行ったんですか?
坂本:
普通の公立中学校を出たあと、公立高校に入って軽音楽部でバンドをやりながら。それもどこかではゲーム音楽を作る勉強になるかなと思いでした。
サイトーブイ:
バンドの頃に作曲もされたんですか?
坂本:
しましたね。今、本当恥ずかしいばかりで。作詞もやっていて、「愛してる」が10個ぐらい出てきたり(笑)。
一同:
(笑)
坂本:
語彙の少なさがすごいんです(笑)。バンドって難しいんですよね。
世界三大 三代川:
方向性の問題ですか?
坂本:
作ったとおりにみんなやってくれないんですよ。
中野:
勝手にアレンジしたり。
坂本:
そうそう。でもそれが今の僕でしたらバンドも二つやってますし、むしろそれが心地いいんですよ。自分の予想とは違う「すごいアレンジがきた!」「ありがとう」ってなるんですけれど、当時はいいから言うとおりにやれよって(笑)。ですけれど、そうもいかなくて。なんでここでダサいオブリガード【※】入れてきてんの? みたいな。
※オブリガード
主旋律を引き立てるために演奏される短いフレーズ
そういうのがあった中、僕が大学生になったときにMacintoshのパソコンがようやく手の届く価格になった。シーケンサー【※】というものがあることに気がつけて。隅々まで作曲が何でも自分でできると。こんないいものはないと。それでのめり込んでいくんですね。
※シーケンサー
シーケンサーとはシーケンス(順番)を制御するコントローラーの事。
世界三大 三代川:
勝手に曲を変えたりしないバンドメンバーが(笑)。
坂本:
忠実に演奏してくれるんですよ。ありがとう! っていう(笑)。それで今の仕事につながっていくんです。
世界三大 三代川:
なかなか珍しいですよね。当時でゲーム音楽の作曲家を目指す人って。
坂本:
そうですね。何人か同業者でいますけれどね。「モンスターハンター」シリーズの甲田雅人さんなんかは、どうしてもゲーム音楽を作りたいってカセットの裏に書いてある電話番号に電話して。それがカプコンだったんですよ。
サイトーブイ:
なるほど。
坂本:
同業者を見ていると、今もそういう人はいますけれど当時は何というか、アゲインスト【※】な感じだったので。あまりやらないですけど、合コンとかで「作曲の仕事してます」って言うと女の子が「誰に曲書いてるんですか? ジャニーズですか?」「すご~い」って、もう勝手にいきなり「すご~い」になっちゃう(笑)。
※アゲインスト
向かい風。
世界三大 三代川:
それはその女の子がちょっとアレなだけで(笑)。
坂本:
だって作曲家っていうだけで、そっちの日向の人だと思われて。僕は日陰の人なので「ゲームとか」って言うと、「ゲームって何?」「オタクがやるやつ」「あぁ~」みたいな。当時はそんな時代ですよ。だからなかなか今みたいに堂々と言えない感じがまだありました。
名刺にも肩書が入っているんですけれど、領収書もらうときに、名刺を見せると一々反応されると恥ずかしいんですよね。今だったら「ゲームの曲です」って言ったら「わぁ~」って言ってくれるんですけれどね。りょう
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