『龍が如く』サウンドクリエイター・坂本英城が業界を目指したのは“マリオの耳コピ”を中学時代にクラスメイトに褒められたからだった!?
「勇者のくせになまいきだ。」シリーズなどのゲーム楽曲を手掛ける、ゲーム楽曲制作会社ノイジークロークの代表取締役の坂本英城さんが最近のゲーム界隈について話すトーク番組「ゲーム界隈井戸端会議」に出演しました。
漫画やアニメを全然見ない小学生だったと話す坂本さんが、中学生のときにゲーム音楽作曲家を仕事にすると決めた理由や、さらに作曲にのめり込むようになったパソコンとの出会いについて、Vジャンプ編集のサイトーブイさん、ファミ通編集の世界三大 三代川さん、ニコニコ動画の中野さんに語ります。
良い楽曲を作る秘訣は「飲み会」にあり。 『勇者のくせになまいきだ。』『龍が如く』のサウンドを手掛けた作曲家・坂本英城がゲームBGM作曲講座を開講
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アニメも漫画も興味がなかった小学生時代
サイトーブイ:
坂本さんのプロフィールを見ると4歳からクラシックピアノを。ずっと音楽をやっていたんですか?
坂本:
うちの両親は母親がハワイアン歌手で父親がギタリスト。
サイトーブイ:
すごい!
坂本:
そう思うじゃないですか。めちゃくちゃ泥臭いですよ(笑)。小さい頃から銀座でよくお客さん相手に水割りを作ったりしてたんですけれども。ピアノがたまたま家にあって、オンボロのアパートでしたけれどね。ピアノを弾くとキャンキャン隣の犬が鳴くので、それに負けないようにこっちも弾いて(笑)。
世界三大 三代川:
ピアノはご両親に教わったんですか?
坂本:
最初はそうでしたけど、途中から習いに行きました。それこそバイエルとか、ピアノを習う人が進めるやり方ですね。でもいろいろなところで言っているんですけれど、当時、ピアノを弾く男子って全然モテないわけですよ。ピアノは女性が弾くものだという時代で、「男はサッカーだよ」って友達に言われたりして。ピアノを弾くのは大好きなんだけど、恥ずかしい思いがちょっとありました。
「俺はモテたから坂本さんが悪かったんじゃないか」っていうコメントが来てますが、実名出してください(笑)。
一同:
(笑)
サイトーブイ:
でも小学生男子って、ピアノはちょっと恥ずかしいっていうのがあるじゃないですか。
坂本:
合唱コンクールとかだって「3組だけ男が弾いてんじゃん!」みたいな。
サイトーブイ:
やっぱり運動できるほうがモテる感じはありますけれど……。
坂本:
なので7歳くらいでピアノを辞めちゃうんですよ。それでサッカー部に入って。
世界三大 三代川:
流されてる(笑)。
坂本:
でも家で弾くのは好きでした。当時、「月刊歌謡曲」っていう本があって、松田聖子さんとかオフコースとか、当時の流行曲のコード譜が歌詞の上にふってあるものを毎月買っていました。
クラシックからポップス寄りの研究を小学生の頃からしていました。本当にそんなことばっかりやっていて、小学生のときは本当に漫画とか全然見ていないんです。「月刊少年ガンガン」も『ドラゴンボール』も何も見ていないですもん。
サイトーブイ:
すごいですね。話題に逆についていけない感じじゃないですか?
坂本:
はい。僕、登場人物が8人超えるとついていけないんです(笑)。
一同:
(笑)
坂本:
だから『サザエさん』くらいが限界です(笑)。しかも一話完結型じゃないと前回のストーリーを忘れちゃうんですよ。そういう脳の構造をしているんですよ(笑)。
ゲーム作曲家を仕事にすると決めたきっかけは、「マリオの耳コピ」を褒められたこと
中野:
じゃゲームもやってなかったんですか?
坂本:
ゲームはやっていましたよ。
中野:
漫画とアニメはあまり。
坂本:
はい。当時のゲームはそんなに登場人物は出てこないですからね(笑)。
世界三大 三代川:
その音楽で生業をっていうのはずっと頭の中にあったんですか。
坂本:
全然ないです。ただ、大事件が10歳のときに起きました。ファミコンですよ。このときに自分が好きだったものが、パズルが組み合わさっていく感覚。ゲームウォッチとか、カセットビジョンとか買ってもらってやっていて、ゲームも好きで音楽もやっていて、いろいろコード解析とかして。
「なんかピコピコ言ってる! 三つの音だけでこんなにすごい曲が!」と。これは面白いなと思って。だからゲームよりも、ずっと音楽を流して聞いていたりしていた子供時代でした。
それで中学に上がったら当時は『ドラゴンクエスト』とか『スーパーマリオブラザーズ』みたいなものが流行っていて。音楽室の後ろにピアノが後ろにあるじゃないですか。4歳からピアノをやっていたので、ピアノを弾けるわけじゃないですか。
耳コピしたマリオとか弾いていたら、音楽室から教室に戻ろうとしたクラスメイトが「それマリオじゃん!」「坂本すげー!」みたいな。今までモテないと言われていたピアノで褒められた! と思って。それで単純な僕はこれを漠然と仕事にしたいと。
世界三大 三代川:
早いな(笑)。
坂本:
それが中二くらいのときですね。それが一番最初ですね。でも当時、どんな人が作曲してるのかとか、どうやって作るのかとか、どうしたらその人になれるのかは調べようがなかったんです。
サイトーブイ:
ファミコンのゲームに作曲家の方がいるってイメージがなかったですね。漠然とゲームを作ってる人はいるんだろうなっている。
坂本:
佐野電磁さん【※】のおばあちゃんが、「あんた何の仕事をしているんだ」「あんなの自動生成だろ?」ってずっと言われているって(笑)。
(画像は公式Twitterより)
※佐野電磁
佐野信義としても活動中の作曲家。
一同:
(笑)
坂本:
でも当時は「うるさいからちょっと小さくして」とか、ネガティブな反応を大人はしていた。
世界三大 三代川:
そうですね。ゲーム自体がちょっと。
坂本:
外で遊ばなくなるし、目は悪くなるみたいなね。だから「将来ゲーム音楽を作りたいんだ」なんてことは言えなかったですよ。絶対反対されるに決まっている。でも言えない気持ちが……みたいな感じで。やったるわ! っていう気持ちがモリモリ増してくるわけです(笑)。