【ノーベル賞】「セクハラオヤジばかりで権威はズタズタ」選考委員会”スウェーデン・アカデミー”の現状を小飼弾が解説
5月4日、ノーベル文学賞を選考するスウェーデン・アカデミーは、会員の夫による性的暴行疑惑が浮上した際の対応が厳しく非難されてる中、「今年の文学賞受賞者発表を見送る」と公表しました。
これを受けて、5月7日の『小飼弾のニコ論壇時評』にて、小飼弾氏と山路達也氏のふたりが、「賞の権威はかかわる人々の行いにより上下する」と、ノーベル賞の権威について議論を交わしました。
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ノーベル文学賞中止のおしらせ
山路:
今年は発表がなくなったということで、ハルキストはがっかりかもしれないですよね。
小飼:
セクハラオヤジばっかり出てくるじゃん。もう二度とないでしょうね。
山路:
(笑)。来年にまとめて発表するという話もあるみたいですけど、この文学賞の今年発表しなかった分を、来年にまとめてやる、みたいな話もちょっと出てましたけどね。
小飼:
でも、ノーベル文学賞は存在そのものが妥当なのかどうかというのもかなりあるんですけれども、あくまでもノーベル賞というのは、ダイナマイトでひと山当てた、アルフレッド・ノーベルという人の遺言を実行し続けている機関なので。
山路:
彼の贖罪というか、ある意味遺産管理みたいなもんですもんね。
小飼:
どっちかというと、アルフレッド・ノーベルというのは、クズよりの人だったので。
山路:
クズ(笑)。言っちゃっていいんですか(笑)。
小飼:
それは伝記を読んでくださいよ。実際にノーベル賞をやるにあたっても、愛人宛のラブレターとか、財団が買い取っているんですよね。
山路:
すごいな(笑)。
小飼:
だから、それを出版すれば、そっちがノーベル文学賞とかね(笑)。
山路:
コメントに「数学がないのかな」ってありますけど。
小飼:
実はですね、それもアルフレッド・ノーベルの知人が、数学者にディスられたというのが原因なんじゃないかというふうにも言われている(笑)。ちなみに数学の方は、フィールズ賞という有名なものがあります。
こっちはもっと難しくて、4年に1度しかありませんし、40歳以下でないと取れません。でも、あまりに機会と要件が厳しすぎるというので、アーベル賞というのも出来ています。こっちは年1回で、だから権威としてはノーベル賞よりも上になるかもしれないですね。
山路:
フィールズ賞って、フェルマーの定理を証明した人に与える……。
小飼:
40歳に間に合わなかったんです。だからあの時は特別賞にしました。
山路:
ああ、そうなんですか。
賞の権威とはなにか? 改めて考えてみる
小飼:
でも逆説的に言うと、なんでノーベル賞にこんなに権威があるかと言ったら、昔から続いているってこと以外……。
山路:
なにものでもない(笑)。
小飼:
そうなんですよね。賞って本当に、賞金が多ければ、あるいは、偉い人がやっていれば上がる、というものではないですからね。ただ単に伝統があるというだけで上がってしまう。それで、実際のところ自然科学の分野で、全世界的にひと財産100万ドルくらいを与えるという賞はなかったんですよね。
今はいくつかありますし、しかも運用が厳しくなって、少し削ったんですよね。ノーベル賞の賞金は。
山路:
そうなんですか?
小飼:
はい。低金利の時代でしょう。財団ですから、当然それを運用して、その運用益から支払わなければいけないんですけれども、運用が苦しくなったということで、ノーベル賞の賞金は減っているんですよ。
山路:
今の時代、ノーベル賞をとれる科学者というのは、お金とかはもうすでに得ていることも多いですよね。
小飼:
本当にモノによっては、はした金というのか、ボトルが必要な金額だとしたら、もうスポイドの1滴くらいにしかならないものもあるんで。
山路:
それこそ、量子力学や宇宙論みたいなものになってくると、めちゃめちゃ金かかるもんね。
小飼:
ピーター・ヒッグスもヒッグス粒子というのを、僕が生まれる前に提唱して、絶対あるはずだと言っていて、なければ辻褄が合わないから、ノーベル賞を出すしかないよね、というふうに言った時に、ヒッグス粒子を研究する際に使われた設備というのは、スイスとフランスの国境にあるLHC【※】という施設なんですけども、あれは設備だけで1兆円します。
※LHC
大型ハドロン衝突型加速器(Large Hadron Collider)の略称。高エネルギー物理実験を目的として建設された世界最大の衝突型円型加速器。
山路:
(笑)。
小飼:
はい。ノーベル賞の賞金なんていうのは設備の電気代にもなりません(笑)。
こういった権威が上がるかどうかというのは、やっている人たちがどう取り組んでいるかに過ぎないわけで、その人たちが権威を落とすようなことをしていると権威というのはズルズルと落ちていくワケで、その意味では「ノーベル賞よ、お前もか!」という感じではありましたよね。
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