ゼーレさん、情報操作ガバガバすぎません? 『エヴァ』セカンドインパクトのエネルギーを科学的に考察してみたらありえない結果に
アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の劇中で起こった、架空の大災害である“セカンドインパクト”。
西暦2000年9月13日に起きた大災害で、初期に南半球で約20億人の死者が発生。「この災害により南極大陸は消滅し、バクテリアさえ存在しない死の世界となった……」というのが劇中のプロローグ。
そして物語が進むに連れ、セカンドインパクトの原因は大質量隕石の落下が原因ではなく、その情報は秘密結社ゼーレによって情報操作されたものであることが明らかになります。
今回紹介する、Dr.スターマンさんが投稿した『セカンドインパクトのエネルギーを計算してみた』では、音声読み上げソフトを使用して、セカンドインパクトのエネルギーを計算し、ゼーレが行ったとされる情報操作の検証を行っています。
セカンドインパクトのエネルギーは、ビキニ水爆の3億発分!?
さて、セカンドインパクトは、南極で起こった謎の大災害で劇中でいろいろ語られていますが、セカンドインパクトのエネルギーを知る大きなヒントがあります。それは、南極の氷が全て溶けたこと。このヒントからエネルギーを算出してみましょう。
まず、南極に存在する氷の量は3000万㎦です。氷の比重は0.92。氷の融解熱は、3.35×10^5J/kg。このデータから、南極の氷を全て溶かすのに必要なエネルギーは、9.2×10^2×3.0×10^16×3.35×10^5=9.2×10^24Jになります。
セカンドインパクトのエネルギーの50%が氷を溶かすのに使われたとすると、セカンドインパクトのエネルギーは、先ほどの2倍の1.8×10^25Jになります。それでは、このエネルギーはどれだけのものなんでしょうか?
まず、石油の燃焼エネルギーに換算すると、4.8×10^14t分です。そして、ビキニ水爆に換算すると、3億発分になります。さらに、物理学上最大の威力を誇る反物質爆弾では10万tになります。セカンドインパクト前には、10万tの反物質が南極の地下に保存されていたのでしょうか。
セカンドインパクトのエネルギーが、ビキニ水爆3億発分だということが分かりました。視聴者からは「地球ふっとぶわw」「地球の自転が止まるな…」「うん、地球よく原型留めてたわw」といったコメントが寄せられました。
ゼーレが発表した数値は極端!?
ついでに、ゼーレが行ったとされる情報操作についても検証してみましょう。
第七話では、セカンドインパクトを説明した教科書のようなものが登場していますが、これはゼーレによって捏造されたものだそうです。背景に小さく書かれた情報を読み取ると、直径10㎝、質量4.02×10^20tの隕石が光速の95%で衝突したそうです。
このことから、この隕石がもつ運動エネルギーを求めると、光速度に近いことから特殊相対性理論の効果を考慮して、8.0×10^40J。先ほどの計算の4×10^15倍になります。
いや、待てゼーレ。いくら捏造と言っても、これは極端だろう。ゼーレには、物理が出来るやつが一人もいなかったのか。極端な数値にしとけばいいと思ったのか。南極どころか地球を何個も壊せる値じゃないか。だいたい、隕石の密度が高すぎる。ブラックホールにはならないぐらいの値だが、中性子星【※】の密度を普通に超えとるぞ。というわけで、うp主が代わりにちょうどいい隕石の大きさを計算してやる。
※中性子星
ほとんど中性子からなる星。直径は10キロメートル 程度、1立方センチメートルの質量は一千万トン以上になる。
というわけで、先ほど求めたセカンドインパクトのエネルギーを隕石衝突に換算すると、密度3.5×10^3kg/m³、直径37kmの隕石が秒速20kmで衝突するのに等しくなります。現実的な値のような気がします。
でも、これだと「なんで衝突が予測できなかったんだ?」とツッコまれるような大きさだね。それはともかくセカンドインパクトの威力が改めて思い知らされます。この悲劇を繰り返さないため、みなさんもサードインパクトを起こさないよう注意しましょう。
ゼーレが情報操作をした、セカンドインパクトの原因の隕石が、直径10㎝に4.02×10^20tの重さ、光速の95%で衝突したというあり得ない数値に、視聴者からは「滅茶苦茶じゃねえかww」「速度と密度が化け物wwww」「地球吹っ飛ぶわww」といったコメントが寄せられました。
セカンドインパクトのエネルギーの検証をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画を視聴してみてください。