“ハーレム”は『ラブひな』から始まった――現代アニメ作品の“萌え”の起源となった濃ゆすぎる「平成ゼロ世代アニメ」を総ざらい
ラジオパーソナリティのおたっきぃ佐々木さんと、声優の天海由梨奈さんが出演するニコニコ生放送番組「やっぱ、アニメでしょう」では、「平成ゼロ年代アニメクロニクル」と題して、平成ゼロ年代の主要なアニメについて特集。
番組では、おたっきぃ佐々木さんが推すアニメや、今のアニメ文化の基礎や流れを作ったアニメを掘り下げて紹介。平成2000年代のアニメを振り返ると共に自身の思い出を語りました。
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ラノベ作家に影響を与えたアニメ作品とは
天海:
最近何かと耳にする平成最後の◯◯というワードですが、この番組でもその流行に乗って平成アニメの振り返りをしちゃいます。
おたっきぃ佐々木(以下、おたささ):
今回は2000年からスタートします。2000年からアニメが増えていきます。この時期は非常に面白いので、タイトルを出しながら色々な情報を紹介していって掘り下げていきたいと思います。
天海:
わかりました。
おたささ:
懐かしいところでは『ポピーザぱフォーマー』とか。
(画像はAmazon | ポピーザぱフォーマー – POPEE the クラウン | アニメ:ポピーザぱフォーマーより)
天海:
懐かしい。キッズステーションで、凄いシュールでしたよね。見てましたよ。
おたささ:
2000年頭に、『ブギーポップは笑わない』が出てくるんですよ。
(画像はTVアニメ「ブギーポップは笑わない」公式サイトより)
天海:
2000年、19年前。
おたささ:
そう考えると、やっぱり今期のブギーポップっていうのは、このアニメ自体もやっぱり難しくてよく分からないっていう意見も多く、俺もよく分からないっていうのが正直なところなんですが、ラノベを志した人達に多大な影響を与えた。ブギーポップを見て、読んで、ラノベを書くようになりましたっていう作家さんがごろごろいるような作品。
天海:
じゃあ、始まりのアニメ。
おたささ:
そうそう、作家さんがこれで転んだ人が多いっていう作品なので、やっぱり面白い。何でもぶっ込んでいいんだみたいな、その自由な感じがよかったんじゃないかなと思います。あと2000年の1月スタートで、『女神候補生』、『六門天外モンコレナイト』、モンコレナイトとかも割とカオスなことやってたなっていう気がしますけど。あと、『風まかせ月影蘭』。あとは、『おジャ魔女どれみ#』もこの辺ですね。
(おジャ魔女どれみ# DVDコレクションAmazonより)
天海:
おジャ魔女どれみ。
おたささ:
あと、『ニャニがニャンだー ニャンダーかめん』、『マシュランボー』、NHK-BSの『だぁ!だぁ!だぁ!』とかもここなんですね、2月5日。
(画像はだぁ!だぁ!だぁ! ― オリジナル・サウンドトラック 2 Amazonより)
天海:
懐かしい。『ポピーザぱフォーマー』も19年前の作品なんですね。
おたささ:
でも、今見ても全然面白い。
天海:
面白いですよね(笑)。
おたささ:
『デジモンアドベンチャー02』とか、『モンスターファーム』とか、ゲーム系とかもいろんな流れがありますね。あと『ゲートキーパーズ』とか、さっきの『風まかせ月影蘭』もWOWOW枠の強さがまだ残ってますね。この辺は、ちょっと前の『新世紀エヴァンゲリオン』のブームの流れとかギャルゲーの流れで、男の子層がすごい強かった時代に『最遊記』とかが始まって、女子層が増えていく時代になっていくんですよね。
天海:
ここから始まるんですね。
ゲームをモチーフにしたアニメ作品の元祖は……
おたささ:
これはポイントとして掘り下げていきたいんですけど、『魔法陣グルグル』が4月4日からスタートしてるんですが、このアニメがすごいんですよ。
(画像はEMOTION the Best 魔法陣グルグル DVD-BOX 1 Amazonより)
天海:
すごいです。見てました。
おたささ:
何歳ぐらい?
天海:
2000年ですよね。4歳とかぐらいですかね。
おたささ:
でも、4歳ぐらいでも面白いと思うんだよね。このアニメは何がポイントかといえば、例えばゲームのアニメなどの『モンスターファーム』や『デジモンアドベンチャー』は、ゲームをアニメにぶち込むというより、そのアニメの世界観から発想を拾ってきてゲームにしてるっていう感じあるじゃないですか?
天海:
ありますね。
おたささ:
そういうゲーム文化をアニメに突っ込んだ作品として、ゲーム的な「勇者は死にました」のウインドウが出るとかの演出や要素が含まれてくるんですよね。だから、最近のいわゆる転生物とかループ物がありますけど、やっぱりPCゲームとかの影響をすごい受けてるじゃないですか。
天海:
なるほど。受けてると思います。
おたささ:
バッドエンドを受けて、いくつか見ないとトゥルーエンドにたどり着けないみたいな流れってあるじゃないですか。そういうゲーム文化からアニメに流れるっていう文脈の中では、元祖がグルグルだと思うんですよ。
天海:
ここから始まってる?
おたささ:
だからグルグルがなければ『STEINS;GATE』はなかった。
(画像はSTEINS;GATE コンプリート DVD-BOX Amazonより)
天海:
そこまでもう、言い切ってしまう。
おたささ:
言いすぎだろっていう話なんですけどね(笑)。でも本当にそう思います。
天海:
でも、原点はここからっていう感じなんですね。
おたささ:
あとは、『サクラ大戦』が始まったり、『BOYS BE…』なんかもありましたね。あと、『コレクター・ユイ』の2期が始まるんですけど、この作品は、地上で戦ってるやつを電脳世界に持っていく。電脳世界で魔法少女をやるっていう話は、ここから電脳世界に入り込むことが自然になっていく。デジモンなんかもある意味それっぽいですね。
天海:
確かにそうですね。
おたささ:
そして、2000年、4月。やってきますよ。『ラブひな』。ここから萌えの時代になります。いわゆるハーレムものですね。
(画像はラブひな 全9巻セット Amazonより)
天海:
ここから始まる萌え。
おたささ:
それまでのギャルゲー物というのは、男の子が頑張って女の子を口説き落としていくというのが多いのですが、最初からスタートボタンを落としたらみんな「大好き」って女の子が寄ってくる。
天海:
でも、周りから大好き、大好きって言われるのに対して、色々上手くこなして……。
おたささ:
そうそう、どうにかしてうまくいくみたいな流れです(笑)。
天海:
なるほど。わかりやすい。
おたささ:
これと同時期にWOWOWで『NieA_7』が始まるんですが、これは個人的に凄い好きなアニメです。宇宙人と人が共存していくアニメで、世界観が複雑で面白い。宇宙人が冷たい目で見られたりする、その日常生活のどたばたを描くみたいな。
(画像はNieA_7公式サイトより)
天海:
日常系っていうことですか。
おたささ:
日常系っていえば日常系。さっきスタッフさんに、「これは世界観をしゃぶるアニメです」って言ったら、「何すか、それ?」って言われて(笑)。
天海:
(笑)
おたささ:
あと、この辺から『とっとこハム太郎』とかもね。
天海:
意外と最近というか、もっと前からやってるイメージがありました。
おたささ:
でも、ハム太郎が20年って思うとね。キャストの皆さんは、あの声を20年経っても保ってるわけじゃないですか。みんな癖を出す感じでやってて、それを維持できるっていうのはすごいな。
天海:
そうですよ、来年で20年。すごいですよね、もう本当に。ハム太郎を見に行っているのに、ゴジラと同時上映で、何で「ゴジラ見なきゃいけないんだ(泣)」って当時は思ってました。
おたささ:
ここからいろいろありまして、『闇の末裔』なんかも始まりますね。さっきの最遊記とかも併せて、かなり女子向きがダークな方に、影のある男子系みたいのが流行り始める。耽美っぽいみたいな。
天海:
耽美。いい響き。
おたささ:
昔から存在はしているんだけど、BL系がどーんとくる土台みたいなところは、この辺だったのかなみたいな。
天海:
ここから始まってるんですね。
おたささ:
話は変わりますが、個人的に『GEAR戦士電童』が大好きだったんですよ。すごい面白いアニメだったんだけど、おもちゃもすごいタイヤがついてて、サンライズだからガンダムの効果音とかも平気で使ってて……。
(画像はGEAR戦士電童公式サイトより)
天海:
今でも大好き。
おたささ:
電童いいよって言ってもらえるの、うれしいよ(笑)。『Sci-Fi HARRY』や『真・女神転生 デビルチルドレン』もこの辺なんですね。
天海:
懐かしい。
おたささ:
ネットが扱われ始めるみたいなところですね。あとは『犬夜叉』とかもこの辺なんですね。意外なことに2000年から4年ぐらいしかやってない。
(画像は犬夜叉 完結編 Amazonより)
天海:
7、8年やってるイメージありました。