『シン・ゴジラ』成功要因は“役者に演技をさせなかったこと”アニメ・特撮研究家が大ヒットの理由を読み解く
『シン・ゴジラ』が日本の映画制作にもたらす影響は
岡田:
それで僕が他で応用可能なのかっていうのは、いわゆる『シン・ゴジラ』がでてきて、日本の映画の作り方が変わるのかなと、つまり、こっから先アクション映画とか、恋愛映画とか、いろんな映画が出てくる時に、じゃあ『シン・ゴジラ』のあの作り方面白いなと言って、他の新人監督とかが、
氷川:
作り方そのものは既に、ああいうふうにしろっていう、プロデューサーとか、かぶれやすい人がいると思うんで、
岡田:
いわゆるシナリオ、普通の3倍くらい分厚くすれば、割と近くなるというような。
氷川:
たぶんいろんな作品
岡田:
安易な考え方らから始まって
氷川:
動いている人がいらっしゃるんじゃないかと、これはただの推測ですが。
岡田:
ウソだ。アハハ。氷川さん、いくつか実例が頭に浮かんでいる。
氷川:
そういうことが起きているのかな、みたいな感じですよね。あとは予算次第ですよね。
岡田:
なるほどな。あれはやっぱりお金かかります?あの作り方は。
氷川:
予算がないから、ああいう作り方になったんですね。
岡田:
逆ですね。
氷川:
無駄なことをやってる暇、時間がホントになかったんで、時間とお金、ほとんど同じことですけど、それを抑えるための、
岡田:
今度やる『ガメラ』って、『シン・ゴジラ』より予算あるんですかね?
氷川:
どうなんだろう。PVを観るとありそうな感じですけどね。あれは正面突破でしょ。青天井になる可能性があるんですよね。『シン・ゴジラ』って派手に見えるけど、わりと短いカットを積み重ねてて、あんまりムチャしてないはずなんですよね。ムチャしているように見えるけどね。
岡田:
『ガメラ』が正面突破だったら、20億超えちゃいます?
氷川:
そうじゃないですかね。CGって基本的に、ゲーム開発と同じで、きちんと予算管理しないと。
一番お金が掛かるのは、出てきたやつをダメ出しして、グルグル回していって、確かにクオリティー良くなるんですけど、いつまでたっても完成しない。完成しないということは、固定費が掛かるということだから。
岡田:
アニメと同じですね。結局、【※】大友さんのアニメが金かかるのと同じですよね。
※大友克洋
日本の漫画家、映画監督。1973年『漫画アクション』にてデビュー。代表作に『童夢』『AKIRA』など。
氷川:
はい。頷いちゃっていいのか、どうかわかんないけど。
岡田:
結局そうか、実写映画でもCGメインのもので何に予算がかかるのかっていうと。
氷川:
内容がはっきりしていてこの条件をクリアすればアウトっていうのがカチッと決まっていれば、どんな複雑なカットでも、ローコストで出来るんですよ。もちろん出物が多いと、レンダリングに時間がかかるんで、その固定費とかは、さらに別途かかるんですけどね。
岡田:
『ガメラ』の予算、これは青天井いきそうだなっていうのは。ちょっとそこらへんを。
氷川:
PV観た限り、これは大変だ。みたいな感じですね。
岡田:
その方式でやるとハリウッド映画くらいになっちゃうわけですか。
氷川:
ハリウッドはどうやってそれをコスト落としているかっていうと、それこそプリビズ相当なものっていうのを最初に作って、
岡田:
逆に言うとそこからはみ出さないようにつくるわけですね。
氷川:
違う。そっから先は、世界各国にセリをかけるんですよ。そうしたら、特にインドとか中国とかいろんな会社が手を挙げて、そこから、
岡田:
そうするとプリビズ以上のものはできないけども、そんなに気にしないわけですか。
氷川:
あとはスーパーバイザーっていう人が、そこは判断するわけですよね。ここならできるとか、できないとか。