配信が主流になると、地上波アニメはどうなる!? アニメ評論家 藤津亮太「最初に上映するメディアが地上波でなくなる可能性」
最近のアニメ事情など、アニメおじさんたちが喧々諤々アニメを語る、エンターテインメントを楽しむための深掘りトークプログラム『WOWOWぷらすと』。
MCにサンキュータツオさん、ゲストにお笑い芸人の国井咲也さん、アニメ評論家の藤津亮太さんを迎え、アニメの流通形態が、地上波から動画配信へ移行していくなかで、地上波でのアニメ放送の将来がどうなっていくのかについて解説をしていただきました。
地上波でアニメをやらなくなる!?
サンキュータツオ:
海外ドラマのように動画サイトで見るようになると「地上波でアニメやらなくてもいいじゃん」みたいなことになってきません?
藤津:
一番最初に上映するメディア(ファーストウィンドウ)が地上波ではなくなる可能性はあると思う。
サンキュータツオ:
マジですか!?
藤津:
いまは運命の分岐点で、様子見をしている状態ですね。でも、ここが難しいところで、日本の地上波テレビは、そうは言っても最強のメディアなんですよ。放送すれば必ず誰か観てくれるので、ばら撒く力がある。そのファーストウィンドウを手放すには、ある程度のお客がいて自動的に見てもらえる体制がないとだめなんですよね。普段は配信で放送して、時々話題づくりに地上波でやるとか、そうなっていく可能性は十分にある。
サンキュータツオ:
うわー、そうなっていくのか……。
藤津:
地上波って、流すためだけにお金がかかるんですよね。「そこを圧縮できるのでは?」 と、みんな思ってるわけです。
サンキュータツオ:
あるいは、すでにアニメファンの分母もあるし、地上波でやる必要ないんじゃないか、ということですね。
藤津:
地上波でやるのも、東名阪3局だけで世帯カバー率が50%ぐらいだったかな。
サンキュータツオ:
東名阪で50%!? 日本ってそんなに一極集中してるんだ。
藤津:
北海道と九州を入れて60%とかかな。そこからは一局増えるごとに2%って聞いたことがありますね。
国井:
もっと早くに地上波という形はなくなるかと思っていました。地上波でたくさん放送している今、それを失くすのもおっかないですよね。それに、インターネット配信をするといっても、みんなはお金出してくれるんだろうか、という怖さもありますよね。
サンキュータツオ:
『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』【※】は早かったのかもね。あれで、みんな怖がってるのかもしれないですよね。
※『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』
士郎正宗原作、 神山健治監督によって作られたアニメ作品。105分の長編であり、制作当初は劇場公開用の作品だったが諸般の事情により2006年にPPVのパーフェクト・チョイス160で放送された。2011年には3D化され、劇場公開もされた。
藤津:
配信とのベストミックスを探る時代に入ってるのは間違いないですね。地上波が全くなくなることはないと思うんですけど、地上波をまるっとやるにはちょっとお金が足りない。