「座った状態で首吊り」「不摂生な生活の果ての孤独死」――大島てるに「印象深い」と言わしめる物件がどれもエグすぎる【事故物件ラボ】
殺人、自殺……様々な理由により、いわくつきとなってしまった事故物件を徹底的に語り尽くすニコニコ生放送番組「事故物件ラボ」。番組にはMCとして事故物件公示サイト「大島てる」管理人の大島てる氏と、事故物件住みます芸人の松原タニシ氏のふたりが出演しました。
番組コーナーでは”自殺と事故物件”をテーマに大島てる氏が、自殺と断定するにはあまりに不可解な状況の事故物件や、「電通女性社員の過労死自殺」など自殺にまつわる印象深い事故物件を紹介しました。
※本記事はニコニコ生放送での出演者の発言を書き起こしたものであり、公開にあたり最低限の編集をしています。
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座った状態で首吊り自殺した広島県の物件
松原:
最初のコーナーに参りましょう。大島てるの「壮絶! 想像だにしない自殺事故物件」。
大島:
今回テーマが自殺ということで、自殺絡みの事故物件をいくつかピックアップするということになったんですけれど、まず紹介するのは広島の事故物件ですね。こんな感じです。アパートの共用の外廊下の通路に黒い痕が……。
松原:
地面とドアの隙間から黒い痕が出てきている? ドアの下から何かが漏れてるじゃないですか!?
大島:
この画像のほうがわかりやすいかと思うんですけれども。これは玄関のドアの内側すぐのところで、首吊り自殺をした現場です。
松原:
首吊り自殺なのになぜ液体が?
大島:
ひとり暮らしの方が首吊り自殺をして、誰にもしばらく気づかれなかったんですね。玄関で遺体がドロドロになるまで時間が経ってようやく体液が外に出てきたというわけです。この画像の漏れ出ている体液は必ずしも血というわけではないんですよ。人間の体はほとんど水分ですから。
松原:
血じゃないんだ……。
大島:
ようやく周りの人も気づいて、通報されてお巡りさんも来て、ドアを開けてご遺体も搬出して……でもまだ体液の痕が残っているというわけですね。今はもちろんドアの中は何もないわけですけれど、痕だけが残っている状況です。
この画像、事故物件公示サイト「大島てる」をご覧になっているユーザーの方が写真を撮って送ってくださったものなんです。実はサイトが成り立っているのは、全国各地にボランティアの方が全国各地にいらっしゃるおかげなんですよ。
私が広島に行くことはあっても、こんな汚れが残ってるうちにすぐに行けるかというと、そうとは限らないわけですから。そういう意味で私にとって印象的でした。
この物件を別の観点から語ると、首吊り自殺はどこにロープとかを引っかけて亡くなるのか? という点で「定型」と「非定型」という区別があります。ここで言う「定型」というのは要するに普通ということなんですけれど、普通じゃない「非定型」の首吊り自殺と呼ばれるのが……。
松原:
珍しい首吊り自殺ということですね。
大島:
結局、人間は腰が浮けば首を吊れるわけですよ。私のように体重が重い人が、立った状態でてるてる坊主みたいな死に方をしようと思っても、ロープをかけた場所がバキッと折れちゃったりするわけです。なかなか家の中でちょうどいいロープを引っかける場所がなかったりするわけですね。体重が軽い人ならいいんですけれど。
家の中にこだわらずに外で首を吊ればいいじゃないかと思う方もいるかも知れませんが、外だと誰かに発見されて止められたり、すぐに見つかって救急車を呼ばれてしまうことがあるので、自殺するには密室である必要があるわけです。
松原:
周囲にバレないように自殺を完遂するには……ということですね。
大島:
ということで、首吊りに限らず職場で自殺する場合はトイレの個室が使われることが多いです。みんなが働いている職場でいきなり切腹なんかしたら「何やってんだ!」と止められて、自殺未遂で終わっちゃうわけですね。
トイレの個室は周囲の目が届かないということで、職場も学校も自殺はトイレということになるわけです。これがトイレにまつわる怪談が多いことにも影響しているのかなと思うんですけれど。
話を戻します。この事故物件の場合はそもそも自宅でひとり暮らしですから、家の中ならどこだっていいわけですね。ところが今度はロープを引っ掛けるのに良い場所が見当たらない。
そこでドアなら金属で頑丈だということで選ばれたわけです。ドアに引っ掛けたとしても、腰が浮けば済むわけですから、よほど座高が高い人でなければ自殺ができるということです。そもそもなぜこんな変わった死に方が広まったかというと、一説にはhide【※】さんがこの亡くなり方をして、そこからこの方法が広まったというふうに言われています。
※hide
急逝したX JAPANのギタリスト。1998年5月2日自宅マンション寝室のドアノブに掛けたタオルで首を吊った状態で発見された。「故意による自殺」か、「不慮の事故」かは不明であり、遺書や「死にたい」と自殺をほのめかす発言がない事や、ドアノブに柔らかいタオルで自殺する方法は珍しい事から、不慮の事故とする説がある。
松原:
そうなんですね。
大島:
もちろんhideさん自身は自殺じゃないという見解もあって、私もそこは詳しく知りませんけれども、ただ首吊りに、立ったままの状態が必要ではないんだということが一般に広く知れ渡ったのは、その件がきっかけかなと思います。
松原:
僕が住んだ物件もそうなんです。一部屋でふたりが亡くなっている部屋があって、ひとりは玄関のドアノブで首を吊って、もうひとりはロフトの柵で首を吊っているから、定形と非定形と同時にあったということですね。
大島:
ロフトで首を吊るのはわかるんですけれど、私は「大島てる」サイトを運営する前は「ドアノブで首を吊る人がいるんだ」とびっくりしたくらい、何も知識がなかったですね。もうひとりそれ繋がりで別件を。これは歌手の上原多香子さんの夫【※】が自殺した場所です。
※上原多香子さんの夫
TENN。ET-KINGでMCを担当するミュージシャンだった。2014年9月25日の午前7時半頃に大阪市天王寺区のマンション駐車場に停車中の車内で、心肺停止状態で発見されて死亡が確認された。9月26日にファンへ宛てた遺書の全文を所属事務所が公式サイトで公開した。
松原:
あれも不可解でしたよね……。
大島:
何をもって不可解かは、みなさんそれぞれ捉え方が違うでしょうけれども、私にとってこの自殺で一番不可解だったのは、マンションの1階にある駐車場。コインパーキングじゃないですよ、この写真の通りマンションの一階にある住民用、それも、もしかしたら来客も止められるような、駐車場に停めた車の中での首吊り自殺だったんです。
松原:
どうやるんやろ。
大島:
これはカーブするときとかに手で抑えるものもありますから。
松原:
そこで?
大島:
おそらくそこだと思うんですけれども、腰が浮きさえすればできるということですけれど、当然そんなまっすぐ立って足の裏が地面に接してないというのは無理なので、非定形の首吊り自殺ということになります。芸能人だということよりも、その場所とやり方でかなり印象に残っていますね。
「故人に対して礼を欠く」 献花台設置不可の張り紙に書かれた驚きの理由
大島:
これは自殺の現場ではありませんが、人が亡くなった現場に花を置く、献花台ってあるじゃないですか。これは、それを置くなという案内です。
松原:
私有地だからということですか? なんやろうな……心ないというか。
大島:
もう一枚の紙には理由が書いてあるんですけれども。亡くなった方を弔いたいということでお花を買って供えるわけですが、それをされるとそこが事故物件あるいは事故現場だということが知られてしまうので、迷惑だというのが管理人の発想としてあるんですね。
松原:
イメージがよくないということですね。
大島:
すぐ片付けるのはわかるんですけれど、そもそも花を置くなと言っているのは珍しいですね。亡くなった方に謹んで哀悼の意を表しますという気持ちはあるんですけれど、四十九日も過ぎたんだし、いつまでもここに花を置いたりするなと。
「理由」として「ビルとしての共用部分でもあるこの場所において、永続的に弔い続けることは故人に対して礼を欠くことになる為」とか。
松原:
それは人それぞれじゃないの!?
大島:
そんな理由で、だめだと言っているわけですから結構びっくりですよ。口頭で言うならまだしも、文章にしたら撮影されたりするわけですから。何を考えているんだろうと思いますけれどもね。
松原:
本当の理由を隠して別の理由を書くと、日本人は違和感にすごい執着するから、こうやって晒されてしまいますよね。
大島:
「永続的に弔い続けることは個人に対して礼を欠く」と言い切っちゃっていますから。これはびっくりですね。