“ヤリマンなのにどうして僕とやってくれないんですか?” 童貞から集めた疑問に答える話題の同人誌。制作秘話と童貞からの反響を聞いてみた
作者の並々ならぬ愛情と情熱、そして私財を注ぎ込んで生み出される同人誌――そこにはディープで、マニアックで、だからこそファンの心を掴んで離さない世界が広がっています。そんな世界の一端をしっかりと掘り下げながら紹介していくのが、ニコニコ発の企画「薄い本プロジェクト」です。
そんなディープな同人誌を取り上げ、制作者にそのアツい思いをひたすら聞いてみる連載企画、第2弾。今回紹介するのは、2月のイベントで発売されるや人気殺到で即完売した「恋愛メディアがひろってくれない 童貞の疑問を解決する本」です。
<Q:ヤリマンなのにどうして僕とやってくれないんですか?>
<Q:付き合うつもりがないのにどうしてふたりでご飯行くんですか?>
といったように、ピュアな男子たちのピュアな質問に対して、女性が思っていてもなかなか口には出せない答えを一切オブラートに包むことなく返す、恐ろしいけど真実だけが詰まったこの本。4月末には第2弾が発売され、ニコニコ静画での取り扱いも始まりました。
制作したのは恋愛系Webメディア「AM」を運営する女性編集部員たち。童貞から質問を集める際の苦労から、世の”おっさん”たちへの提言まで、女性目線で思う存分語っていただきました。
今さら聞けない恋愛の初歩の初歩
――こちらの「童貞の疑問を解決する本」ですが、そもそもどういうきっかけでこのコンセプトを思いついたんですか?
AM編集部:
弊社の童貞エンジニアが、初風俗で嬢に「クリトリスってどこですか?」と尋ねたという話を聞き、クリトリスの位置すらわからない男性に恋愛のことはもっとわからないだろうなと思いまして……(笑)。恋愛メディアとして、そういう男性の疑問を解決したいなと思い、「今さら聞けない恋愛の初歩の初歩の疑問を解決する」をテーマに作りました。
――2月26日に開かれた「Webメディアびっくりセール」に出すために企画したものということですが、見事に完売しましたね。
AM編集部:
私たちが一番びっくりでしたよ(笑)。はじめは「着なくなった服を売ろうか」とか言ってたんですが、他の参加Webメディアのみなさまが意外と力の入った商品を続々発表していて、「え、やばない?」と二週間前に作ることが決定しました。一週間で制作、一週間で印刷しました。
初版は100部ちょい刷りましたが、全部搬入しても売れ残るだろうと思って、まったく期待値が上がらないまま出店したんです。なので宝くじに当たった感があります。
――その後Web上でもバズり、ついに電子書籍化までされることになりました。
AM編集部:
結構ご好評で、この反応は想像していませんでした。童貞のみなさまから叩かれるかな?と思いましたが、「叩くやつは童貞だ、叩かないやつはよく訓練された童貞だ」みたいな雰囲気があるようで、あまり叩かれずよかったです(笑)。
――反響はどうでした?
AM編集部:
Twitterでエゴサしまくって反響を見てましたが、みなさん「童貞じゃないけど買った」みたいな非童貞エクスキューズをつけていて、おもしろかったです。本を買ったから童貞認定する、なんてことはないと思いますよ。
あ、あと反応については反省点もあります。本作は、社内の童貞の温度感から「脱童貞したい」方向で制作していますが、「ほっといてほしい」みたいな童貞の方々にも届いてしまい、苦言を呈されました。そんな方々を「呼んでない飲み会に勝手に来て料理に文句言う奴」みたいな感じにしてしまったこと、反省しています。申し訳なかったです。なので、次作はプロモーション時に「脱童貞したい童貞向け」みたいな前提を共有できたらなと思います。
「女性ってどうしてこんなにエロいんですか?」
――男子から質問を集めるの、けっこう大変だったんじゃないですか?
AM編集部:
ほんとそうでしたね。「ホテルついたらすぐキスするの?」「靴下を脱ぐタイミングって?」など、本人以外誰も気にしていない細かい質問か、「女性ってどうしてこんなにエロいんですか?」というような知るかよ!みたいな質問ばかりが上がってきて、こちらの取材力が試されました。
でも、みなさん協力してくれる心の優しい方ばかりです。ありがとう! 童貞フォーエバー!
――(笑)。同人誌内で特に一押しのQ&Aはどれですか?
AM編集部:
<Q:ヤリマンなのにどうして僕とやってくれないんですか?→A:うるせえな>
でしょうか。童貞のみなさまがあまりエンカウントしないヤリマンからのストレートな意見なので、興味深く読んでいただけるのではないでしょうか。
また、AM本体の編集方針が「耳の痛い本音も伝える」なので、この本も同じく、みなさんの周りにいる優しい女性が決して言わない本音をたくさん書いています。聞きたくないかと思いますが、どうせ言わないだけで思ってはいるので、この機会にぜひ!
――載せられなかったエピソードもあったりします?
AM編集部:
制作期間が一週間なので、そのような過分な原稿も、また配慮もありませんでした。質問きた、私たち原稿書く、印刷する。怒涛のような流れ作業。同僚に鬼の催促をして原稿をあげていただきました。