『刀剣乱舞無双』は「コントローラーを持つのが初めてでもクリアできる」アクションゲーム経験ゼロのとうらぶファンが制作陣に聞いた、誰も置き去りにしないためのこだわり
西暦2021年8月11日――
『刀剣乱舞無双』の発売が発表された。
名だたる刀剣が戦士へと姿を変えた”刀剣男士”を率いる”審神者(さにわ)”となり、歴史改変を目論む敵と戦う刀剣育成シミュレーションゲーム『刀剣乱舞-ONLINE-』。
「一騎当千の爽快感」が味わえるアクションゲームシリーズとして人気を誇る「無双」シリーズ。
この2者がコラボし、新たなアクションゲームが生まれるというニュースには大きな反響があった。期待はもちろん、様々な反応が見受けられた。
「まずNintendo Switchを買わないと!」
「『刀剣乱舞-ONLINE-』はクリックやタップだけで進められたのにアクションゲームなんてできるのか!?」
筆者も「操作が難しくて先に進めなかったらどうしよう」と不安を抱きながら、本作をプレイするためにNintendo Switchを購入した「家庭用ゲーム初心者審神者【※】」である。
※審神者
『刀剣乱舞-ONLINE-』におけるプレイヤーの立ち位置。転じて、「刀剣乱舞」のファンの呼称として使われることもある。「アイドルマスター」におけるプロデューサーと同じようなもの。
PCブラウザ版とスマホアプリ版のゲームとして展開している『刀剣乱舞-ONLINE-』。操作は単純明快で、オートバトルでゲームが進んでいく。そのため、家庭用ゲーム機やコントローラーを使って遊ぶアクションゲームと、「刀剣乱舞」ファンとしての筆者の間には距離があった。
筆者は、「刀剣乱舞」にはスマホアプリ版『刀剣乱舞-ONLINE- Pocket』リリースをきっかけにのめりこんだ。
『刀剣乱舞-ONLINE-』はもちろん、メディアミックスを端から端まで楽しみ尽くしてきた一方、アクションゲームはまったく触ったことがない。とはいえ、アクションゲームになってもいままでのように、いや、いままで以上に「刀剣乱舞」を楽しみたい。というか、「刀剣乱舞」と名のつくものを食わず嫌いするわけにはいかない!
そんな不安と期待を、『刀剣乱舞無双』の制作の中心に立つコーエーテクモゲームスのお二人、ゼネラルプロデューサー/ルビーパーティーブランド長 襟川芽衣さん、プロデューサー/ω-Forceブランド長 庄知彦さんに直接投げかける機会を頂くことができた。
インタビューを通して見えてきたのは、誰も置き去りにせず、ゲームを手に取った人みんなに楽しんでもらいたいという気概だった。
ゲーム経験や「刀剣乱舞」の知識を問わず、簡単ながらも爽快感を味わえる絶妙なアクションの調整。「刀剣乱舞」ファンならずとも必見の重厚な物語。そして、登場する刀剣男士の数を絞ったからこそ実現した3Dの作り込み。
制作陣が凝らした工夫ひとつひとつが、ユーザーを選ばず確実にエンディングへと導いてくれるのである。
筆者も、アクションゲーム未経験であることなどまったく気にならないぐらいに、本作への期待がガッツリと高まってしまった。
本記事を読めば、まだ購入を迷っている方も、すでに「無双本丸」を堪能している方も、『刀剣乱舞無双』の虜になるはずだ。
取材・文/朝倉有希
編集/金沢俊吾
──本日はよろしくお願い致します。さっそくなのですが、私は家庭用ゲームをプレイしたことがなくて、『刀剣乱舞無双』のためにNintendo Switchを買いました。「無双」シリーズって難しそうですし、ちゃんとプレイできるか不安なんです……。
襟川・庄:
まったく心配ありません!!
──おお、力強い!
庄:
『刀剣乱舞無双』を開発するにあたって、最初にわれわれが意識したのは普段、家庭用ゲームを遊ばれない方にいかに楽しんでいただけるものにするかということなんです。
簡単操作なのはもちろん、ゲームに慣れている方に「普通はこんなとこまで説明しないよね」と思われてしまうくらい分かりやすくしています。
初めてゲームをやる方でも、絶対にエンディングまでたどり着けると思います。
襟川:
そうですね。あとは「刀剣乱舞」をほとんど知らない方にも、ちゃんと「刀剣乱舞」の世界を堪能してもらえるような作りにしています。
とにかくどのような方にも楽しんでいただけるゲームになっていますので、安心してプレイしていただきたいです。
──なるほど。さっそく安心しました。今日は、「刀剣乱舞」ファンに本作の魅力をお伝えするべく、いろいろお伺いできればと思います。
ボタンひとつで「無双」シリーズの本格アクションを体感!
──普段ゲームを遊ばない人でも楽しめるとのことですが、まず初めてのアクションゲームがうまくできるか心配なんです。
庄:
コントローラーでゲームをやったことがない方がたくさんいらっしゃることを想定していました。なので、通常の操作モードに加えて「簡単モード」を用意しました。基本的にボタンひとつを連打するだけで「無双」シリーズのアクションを気持ちよく楽しめるようになっています。せっかくなので、アクションゲームの面白さも体感していただきたかったんです。そこのバランスをうまく取れたかなと思っています。
簡単モードのアクションシーンは「これ本当にボタンひとつでやっているの?」という見栄えになっています。
──「簡単モード」のプレイ映像を見たのですが、「通常モード」との違いが全然わからない、かっこいいアクションをしているなと思いました。
庄:
「無双」シリーズの特徴である、多数の敵を相手に気持ちよく華麗に戦うことが、ボタンひとつですごく再現できたと思います。
「通常攻撃」「強攻撃」「回避」などのアクションができるのですが、強攻撃や回避って、出すぎても出なさすぎても気持ちよくないんですね。なので、この塩梅の調整はすごく気を配りましたね。
──「無双」シリーズをやったことがない人でも爽快感は味わえるってことですね。
襟川:
はい!やっぱり、「無双」シリーズのウリは一騎当千の爽快アクションなんですよ。
ボタンひとつで簡単操作したうえで、敵を倒したときの気持ちよさとか、攻撃が当たったときのヒット感をちゃんと得られるようなバランスになっていると思います。
刀剣男士たちを主軸にした壮大なストーリーを
──そもそもの話なのですが、シミュレーションゲームである『刀剣乱舞-ONLINE-』が「無双」シリーズになることにまず驚きました。どういった経緯で企画がスタートされたのでしょうか?
襟川:
まず私がもともと『刀剣乱舞-ONLINE-』をプレイしていて、はまればはまるほど物凄いコンテンツに出会ったなと衝撃を受けていました。「刀剣が戦士に」という発想に驚きましたし、刀剣男士の個性が色濃く出ているのも素晴らしい。これはぜひルビーパーティーブランドで家庭用ゲームにさせていただきたいと考え、ニトロプラスさんに提案に伺ったのがきっかけです。
──もともと襟川さんが「刀剣乱舞」のファンだったのですね。
襟川:
そうですね。元が「刀剣」なので、とにかく一振り一振りに長い歴史とロマンがあるじゃないですか。歴史書には細かく書かれていなくても「そこに大きなドラマがあったんじゃないか」って想像するのはとても楽しいですし、夢がありますよね。シナリオ上で描かれていない「刀剣男士」達の関係性を想像しても楽しいですし、話の膨らませやすさも大きな魅力だなと思います。
──なるほど、話の膨らませやすさ。
襟川:
はい、原作は、審神者一人一人の中にそれぞれの本丸やドラマがありますけど、『刀剣乱舞無双』は刀剣男士達を主軸にした1本の壮大なストーリーをベースに、原作とはまた違った角度から刀剣男士の魅力を描くことに挑戦したい気持ちが強くありました。
──最初の段階から「刀剣乱舞」の世界観を広げるような発想だったのですね。
襟川:
そうですね。「無双」シリーズとのコラボではありますが、一番大切なのは「刀剣乱舞」のファンの方たちに楽しんでいただくことです。そのためにはどういった形で「無双」に落とし込んでいくべきかを考えながら、ゲームを作っていきました。
登場する刀剣男士が「十五振り」のわけ
──刀剣男士たちを主軸にした壮大なストーリー、とのことですが、今回は十五振り【※】の刀剣男士が登場します。かなり数を絞った印象があるのですが、どういった経緯で決まったのでしょうか?
襟川:
最初はもっとたくさんの刀剣男士を出したいと考えていました。多ければ多いほどファンの方も喜ぶでしょうし、私もうれしいので(笑)。
でも、数を多くすればするほど、刀剣男士個別のアクションを作り込んでいくのが難しくなるんです。通常の「無双」であれば、複数のキャラクターで共通モーションが使われることも多いのですが、『刀剣乱舞無双』にはほとんど共通するモーションがありません。
せっかく『刀剣乱舞無双』を作るのであれば、刀剣男士それぞれの個性をアクションにも出したいと思いました。一振り一振りをしっかり作り込むために、登場する刀剣男士を絞っていったんです。
※振り
刀剣や刀剣男士は「一振り、二振り」と数える。
庄:
たとえば、「太刀」「短刀」といった種類があるのですが、刀剣男士ごとに、たとえば同じ「太刀」であっても違うものになっています。通常の「無双」シリーズ以上にこだわって作ることができたのは、今回のこの数だからこそ実現できたことだと思っています。アクションもそうですし、ストーリーでも刀剣男士の数を絞った意味があると思っています。
今までの経験上、ひとつのゲームで感情移入できるキャラクターの数って上限があると思っているんです。今回、一振り一振りの魅力を深く濃く描いて、プレイヤーに感情移入してもらうには、この数がベストではないかと思います。
襟川:
そうですね。ストーリー上でも、すべての刀剣男士にスポットが当たるようにしています。
──すごい、プレイするのがどんどん楽しみになりますね。ちなみに刀剣男士ごとに予告動画に使われていたBGMが違うなと思ったのですが、これも全振り分用意されているのでしょうか?
庄:
気づかれましたか。すごいですね(笑)。
襟川:
今回、やりたかったことのひとつが「刀剣男士それぞれのテーマ曲を作る」ということでした。これは登場する刀剣男士たちが膨大にいたら難しいことだと思います。バトルのここぞというときに、それぞれのテーマ曲が流れるようになっているんですよ。なので、その時にはぜひ音量を大きくしてプレイしてほしいですね!
──楽しみです。それにしても刀剣男士一振り一振りにそれぞれたくさんファンがいるなかで「数を絞る」というのは、本当に大きな判断ですよね。
庄:
そうですね。でも、中途半端に薄くして登場させる方がファンの方に対して失礼だと思ったんです。もちろん、お気に入りの刀剣男士が出てこなくて残念な想いをされた方もいらっしゃると思います。ですが、本作を多くの方にプレイして頂ければ続編も作れるかもしれないので、そこはぜひ続編に期待して頂きたいですね。
巴形薙刀は「羽の質感」がすごい
──プロモーション映像を拝見して、刀剣男士のビジュアルの再現度が本当にすごいと思ったんです。個人的には、歌仙兼定のマントの表裏の色が3Dでもちゃんと再現されていることも衝撃でしたし、巴形薙刀の羽の質感もすごくリアルでした。
庄:
他の刀剣男士もそうなんですが、まさに巴形薙刀は元がイラストだからこそ成立しているビジュアルだと思うんです。それを3Dにするということで、納得のいくところまでたどり着くのに時間がかかりました。巴形薙刀はビジュアルという点ではいちばん時間がかかったかな。
襟川:
最後の最後まで調整を重ねたのが巴形薙刀ですね。布が透きとおっていて、柔らかい質感じゃないといけない。ちょっと動くだけでも、羽が舞うかっこよさを出さなくてはいけないということで。
庄:
あとは『刀剣乱舞-ONLINE-』は複数のイラストレーターさんが参加していますよね。一振り一振り、描かれたタッチがバラバラです。そのまま作ってしまうと『刀剣乱舞無双』の中でもバラバラな印象になってしまうので、全体の「統一感」を出すのも大変な作業でした。
襟川:
それぞれイラストレーターさんの個性があって、全部イラストどおりに作ると、頭身バランスがだいぶ違ってしまうんです。そこで頭身バランスを合わせると、今度は「あれ?この刀剣男士、こんなだったっけ?」という違和感が出てしまったり。見た目の印象を変えずに、頭身バランスやテイストをうまく合わせるのは至難の技でした。
開発チーム全員が熱意を持って作ってくれて、とても細かいところまで一生懸命調整をしてくれました。その甲斐あって満足いく出来になったと思うので、原作のビジュアルが好きな方にも安心してプレイしていただけると思います。
審神者がいない中で、刀剣男士が過酷な戦いを乗り越える
──『刀剣乱舞-ONLINE-』では、プレイヤーは刀剣に人の形を与える「審神者」としてゲーム内に存在しています。本作は審神者が登場しないのも、原作と異なる大きな特徴ですよね。
襟川:
そうですね。ストーリーでの審神者の扱いは『刀剣乱舞-ONLINE-』のシナリオを手掛けているニトロプラスさんとも密にご相談させていただきました。
たくさん会議を重ねるなかで、今作は「審神者がいない中、十五振りしかいない刀剣男士たちが過酷な戦いを乗り越えていく姿」がマッチするんじゃないかということで、いまの形になりました。
庄:
アイデアの段階では審神者がいる案も出ました。でも、ニトロプラスさんと合宿みたいにガッツリと設定について話したりしてる中で「いない方が今回の作品にあっている」って自然と決まっていったんです。思い切った決断ではありましたね。
襟川:
基本的に、審神者ってプレイヤーの皆さんじゃないですか。プレイヤーそれぞれの「本丸」があるのが『刀剣乱舞-ONLINE-』の世界です。
ですが今回は、皆さんが同じひとつの世界を楽しんでいただくゲームになっていますので、それぞれの審神者がいるよりも、不在のほうが刀剣男士達に感情移入しやすいのではないかと思いました。
──なるほど、審神者がいなくて刀剣男士を操作することで『刀剣乱舞無双』の世界観に感情移入しやすくなるんですね。
襟川:
そうですね。『刀剣乱舞-ONLINE-』は審神者の立場から刀剣男士たちに接していましたが、今作はプレイヤー自身が刀剣男士を操作して物語を進めていくことになります。この体験自体が『刀剣乱舞無双』ならではだと思うんですよね。
ファン必見の必殺技と抜刀シーン
──アクションシーンでいちばん気になっているのは必殺技なんです。『刀剣乱舞-ONLINE-』の真剣必殺【※】のポーズが、必殺技の動きの中で違和感なく出てきて感動しました。
襟川:
そこに気づいていただけたのはうれしいですね!
庄:
「刀剣乱舞」のファンの方々は、やっぱり原作の「真剣必殺」のような演出を期待されていると思うんです。そのため、必殺技は、ファンの方々に「これが見たかった!」と言ってもらえるものにしたいと思っていました。
※真剣必殺
『刀剣乱舞-ONLINE-』において、刀剣男士が敵に攻撃されて中傷か重傷になったときに確率で発生する必殺技のこと。
襟川:
開発チームにも「刀剣乱舞」のファンがたくさんいるんです。だからこそ、それぞれの担当者が「この刀剣男士のアクションはこうじゃないと!」という強いこだわりがありました。必殺技は、そういったこだわりの最大の見せ場です。字コンテや絵コンテをたくさん書いて「普段そこまではやらないよね」というくらい頑張って作りました。
──すごい!全刀剣男士の必殺技を見るのがとても楽しみですね。
庄:
必殺技はもちろんなんですが、バトルが始まる前の「抜刀シーン」と、バトルが終了したときの「納刀シーン」もぜひ注目してほしいです。登場とバトル終了の演出にそこまでこだわることは通常はあり得ません。そこは必殺技並みに頑張って作ったので、ほかの「無双」シリーズにはないものになっています。
襟川:
あとは、負傷状態も注目です。負傷状態になった瞬間アップになるので、じっくりと苦悶の表情が見られるわけですよ。
──おお、それはうれしい……!
庄:
普通の「無双」シリーズだと、基本的には背後から操作キャラクターを見るようなカメラになっているんです。最初、負傷状態でも普通のカメラのままだったんですが、「ここは見せ場だから、もっと目立たせよう」ということで、カメラを変えて、操作を止めて負傷状態を見せることにしました。こんなこと普通アクションゲームでは絶対にやらないんですけど、このタイトルだからこそやってみようということで、いまの形になりました。
ほっこりな「絆会話」と重厚なメインストーリー
──刀剣男士同士のやりとりが見られる「絆会話」がものすごく楽しみなんです。計算してみたんですけど、2人組が105パターン作れるので、絆会話も105通りも作ったのですか?
襟川:
それがですね……絆会話は1パターンじゃないんですよ。全部で約260本用意しています。
──ええ、260本ですか……!
襟川:
最初はさすがに数が多いので減らせないかみたいな話も出たんですが、ここはアクションとは別に楽しんでいただく大事なところだから!ということで、そのまま行くことにしました。
庄:
「ここは頑張ろう、絶対にプレイヤーさんに喜んでいただけるところだ!」と思って作りました。本当にやってよかったと思っています。
──より楽しみになりました。絆会話のシナリオはどのように作られたのですか?
襟川:
本作はメインストーリーがなかなか重厚なんです。なので、息抜きじゃないですけど、ちょっとほっこりできるようなやりとりを心がけました。
庄:
ほっこりといえば、ミニゲームもそういった要素のひとつで。
『刀剣乱舞-ONLINE-』には、内番というものがあって、畑仕事や馬の世話をしているじゃないですか。本丸内の施設について、ニトロプラスさんから、「内番と同じ仕事をするのでなければ、違う場所のほうがファンの皆さんが入り込みやすい、混乱しないだろう」というアドバイスもいただきました。
重厚なストーリーに対してほっこりする様子も見せたいということもあったので、それなら仕事じゃなくて、お餅をつくところとか、遊ぶところにしよう、というふうに決まりました。
──なるほど。重厚だというメインストーリーについても教えてください。
襟川:
メインストーリーは、ニトロプラスさんと何度も何度も会議を重ねて練りました。戦国武将との絡みや、刀剣男士の、不在の審神者への想いもしっかり描きたいと思ったんです。
庄:
ストーリーは、時間をかけて相当な苦労をした分、本当にいいものになったと思います。
最初のうちは、ニトロプラスさんに企画を出してもあまりピンとこないような反応でした。でもへこたれずに何度もチャレンジしているうちに「こんなに頑張ってくれたら、こっちも本腰入れないといけませんね」と言っていただいたんです。長時間、お忙しい皆さんに時間を取っていただいて、ちょっとずつ積み上げてストーリーを練りました。
──ストーリーでは、刀剣男士たちが五つの部隊に分かれて登場します。部隊の組み合わせは、どのように決めたのでしょうか?
庄:
そこもたくさん擦り合わせて決めていった部分なんですよ。順序としては、まず登場する刀剣男士が決まったあと、入る部隊が決まったんです。
襟川:
すんなりメンバーが決まった部隊もあれば、最後のほうまで入れ替えをした部隊もありました。 第一部隊は最後の最後まで悩みましたね。
基本となるのは刀剣男士同士の関係性、あとはアクションゲームとしての攻守バランスを加味して決めました。意外な組み合わせだと思われるかもしれないですが、プレイしていただければ納得できる部隊編成になっていると思います。
最終的には、各部隊のストーリーのなかにそれぞれ「よかったね」と思えるような要素を作って、五つの部隊のストーリーがうまくひとつにまとまっている、という構成にしています。それぞれの部隊のストーリーごとに「盛り上がりが足りないね」「この部隊で見せたいことがわからない」というようなやりとりを、ニトロプラスさんと多くの時間をかけてしていきました。
また、どの部隊からでも始められるようにする案もあったのですが、順番にしっかり描いたほうが没入感のあるストーリーが作れるだろうということで、いまの形にしています。
新キャラクター・面影について
──本作には「謎の人物」として、新プレイアブルキャラクターの「面影」が登場するのも、ファンとしては気になるポイントです。
襟川:
やはり、せっかく家庭用ゲームを作らせていただけるのですから、『刀剣乱舞無双』ならではの新キャラクターを登場させたいという想いは最初からありました。ひとつ新しい存在を入れることによって、既存の刀剣男士たちの新しい魅力も引き出せるだろうと思ったんです。
庄:
完全オリジナルの物語を作ろうというところで、物語を作っていく過程で「軸となるテーマが欲しい」と思ったんです。
そこに面影という謎の人物がいることで、ストーリー全体に一体感が生まれました。面影の人物像やアクションスタイルを考えていくうちに、どんどんメインストーリーも膨らんでいって。すごい相乗効果が生まれましたね。
今後の展望について
──まだまだ登場していない刀剣男士もたくさんいるので、続編に期待しているファンも多いんじゃないかなと思います。最後に、今後の展望みたいなものがあれば、ぜひ教えてください。
庄:
難しい質問ですね(笑)。
今後の予定はまったく未定なのですが、『刀剣乱舞無双』をたくさんの方に遊んでいただけたら、ぜひ続編を作りたいと思っています。刀剣男士たちの内番風の装束や追加BGMなど、ダウンロードコンテンツもたくさんご用意しているので、ぜひ『刀剣乱舞無双』を長く楽しんでいただければいいなと思っております。いやあ、やっぱり続編やりたいですね。
襟川:
今作の舞台は戦国時代ですが、他の時代にも、それぞれ活躍できる刀剣男士がいますよね。いろいろアイデアは浮かぶので、「次回はこんなことをやりたい!」という気持ちはとても強いです。それを実現させるためにも、『刀剣乱舞無双』が2作目3作目につながっていくように、多くの方々にプレイしていただけると本当にうれしいです!
──ありがとうございます。「刀剣乱舞」のいちファンとして、これからの展開を楽しみにしています。まずは、『刀剣乱舞無双』をたくさんプレイさせていただきますね。本日はありがとうございました!
襟川・庄:
ありがとうございました!
新品のNintendo Switchを抱えて『刀剣乱舞無双』の発売を待っていた期間の不安は、襟川さん、庄さんへのインタビューによって一掃された。それは、緻密に調整された「簡単モード」があるからでも、重厚なストーリーの展開や刀剣男士の新たな一面が気になってゲームを頑張って進められそうだからでもない。
「あきらめないで260本近い絆会話を作ろう、ここは頑張りどころだ」「刀剣男士を絞らずに薄く登場させるほうがファンの方に失礼だと思った」
制作裏話を語る言葉一つ一つから、「刀剣乱舞」を大切にしながら制作を進めてくださったということがありありと伝わってきたからである。
「刀剣乱舞」ファンの気持ちを想像し、ファンに負けないくらいの情熱を注いで下さる開発陣が「刀剣乱舞」の世界を広げることに挑んでくださったなんて幸せすぎる。インタビューを経て、しみじみとそう思った。じっくり全力で、隅々まで『刀剣乱舞無双』を遊びつくそうと思う。
Info
製品情報
『刀剣乱舞無双』
プラットフォーム:Nintendo Switch™ / PC(DMM GAME PLAYER)
発売日:2022年2月17日(木)
価格:8,778円(税込)
ジャンル:アクション
レーティング:CERO B(12才以上対象)
公式サイト:https://touken-musou.com
権利表記:©2015 EXNOA LLC/NITRO PLUS ©コーエーテクモゲームス All rights reserved.
DLC情報
3月17日(木)0時よりSwitch版DLC「内番風装束」第三弾【へし切長谷部】【薬研藤四郎】【巴形薙刀】の配信を開始!
※PC(DMM GAME PLAYER)版は3月17日(木)10時からの配信となります。
本DLCは、刀剣男士たちの装束を『刀剣乱舞-ONLINE-』の「内番」をイメージした装束に変更できます。
『刀剣乱舞無双』でしか見ることのできない3Dで再現された「内番風装束」をぜひお楽しみください。