平成の未解決事件「八王子スーパー強盗殺人事件」を解説。女性3名が撃たれた目的は強盗? それとも怨恨?
今回紹介する、奇妙な事件スクープさん投稿の『【ゆっくり解説】謎が多すぎる未解決事件!八王子スーパー強盗殺人事件』という動画では、音声読み上げソフトを使用し、1995年東京八王子市で発生した「八王子スーパー強盗殺人事件」について解説を行っていきます。
強盗? 怨恨? 犯人と犯行動機は未だに不明
魔理沙:
スーパーといえば、あの未解決事件を思い出す。八王子スーパー強盗殺人事件だ。ナンペイ事件とも呼ばれるな。
今回は八王子スーパー強盗殺人事件について解説する。これは東京都八王子市にあったスーパー「ナンペイ大和田店」で発生した事件だ。1995年7月30日の21時過ぎ、2階の事務所で3名の女性従業員が何者かに銃殺された。
霊夢:
日本の事件とは思えないな。
魔理沙:
被害者はパート従業員の稲垣則子さん(当時45歳)。高校2年生のアルバイト矢吹恵さん(当時17歳)。同じく前田寛美さん(当時16歳)の3名だ。
犯行時間は21時15分からの数分間らしい。稲垣さんは銃の持ち手で殴られた後、額と頭頂部に1発ずつ銃撃されて殺害された。女子高生のふたりは、背中合わせの状態で口と手をテープでふさがれて、後頭部に1発ずつ撃たれて亡くなったんだ。
霊夢:
みんな頭を撃たれているんだな。
魔理沙:
多分即死だっただろう。事務所内に荒らされた形跡はなく、犯人は何も奪わずに逃走している。
霊夢:
お金が目当てじゃないってこと?
魔理沙:
それは分からない。警察は強盗説と怨恨説の両面で捜査をしている。当時の時効は15年だったから、2010年7月で時効を迎える予定だったが、直前に法改正が行われて、殺人事件などの時効が廃止された。だから現在も継続して捜査が行われているんだ。
霊夢:
でも30年近く前の事件だろ? 犯人の目星はついているの?
魔理沙:
一応容疑者とされている人物はいる。事件のあった1995年7月30日は、スーパーで4日間の特売セールの最終日となっていた。日曜日ということもあって、朝10時の開店から大勢の客が来ていたんだ。夕方に稲垣さんと矢吹さんが出勤し、17時からレジ打ちの仕事を始めた。
17時30分頃には店の前で店内を覗き込む50代の不審な男が目撃されている。18時半に男性従業員が帰宅して、閉店まで女性従業員の2名で回すことになっていた。
霊夢:
従業員が女性だけ? これは不用心すぎるだろう。
魔理沙:
この店は防犯意識が弱く、以前から問題視されていたんだ。店内に4台の防犯カメラが設置されていたが、録画ができないタイプのものだった。
霊夢:
なんだそりゃ。全く意味ないじゃん。
魔理沙:
その頃、スーパーから30メートルほど離れた「北の原公園」で、夏の盆踊り大会が始まった。18時50分頃に、アルバイトの前田寛美さんがスーパーへやってきた。前田さんはシフトの確認のためにやってきたが、閉店後に矢吹さんと祭へ行くために店内で待つことになる。
霊夢:
前田さんは非番だったのかよ。運があまりにも悪すぎる。
魔理沙:
20時30分頃には、店内で何も買わずに周囲をうかがう40~50代の不審な男が目撃されている。さらに20時45分頃には、スーパーの前を不審な白のチェイサーが通り過ぎ、運転していた25歳前後の男が店内を覗き込む様子も目撃された。
霊夢:
犯人は複数人ということか?
魔理沙:
21時にスーパーは閉店し、矢吹さんが売上金を事務所へ持って行き、夜間営業の責任者だった稲垣さんが、売上金を事務所の金庫に保管する。
公園では盆踊りが佳境に入り盛り上がっていた。21時6分、稲垣さんが店内の戸締り、消灯をして閉店作業が完了した。駐車場にいた客がスーパー横の通路に不審な男を目撃するが、客の存在に気付くと、伏し目がちにその場を立ち去っている。
21時15分、事務所の通話記録から、稲垣さんが知人男性に電話をかけたことが分かっている。稲垣さんは男性と食事をする約束があり、迎えにくるように頼んだらしい。その直後、事務所の入り口がセキュリティーシステムにより施錠された。
霊夢:
みんなで事務所から出たんだ。
魔理沙:
21時16分、再びセキュリティシステムが作動して、入り口の鍵が開けられた。おそらく犯人に脅されて事務所に戻されたのだろう。
霊夢:
事務所から出た直後か。待ち伏せされてたのかな。
魔理沙:
21時17分、スーパーの近くを歩いていた高校生のカップルが、何かの破裂音を聞いている。周辺の住民も同様の音を聞いたと証言した。
21時20分頃、稲垣さんの知人男性が車でスーパーまで迎えに来た。事務所の明かりが付いていたので、そのまま車の中で待機する。しかし20分ほど待っても稲垣さんが出てこないので、先に店に行ったのだと思い、自分も店へ向かった。
21時50分頃に、男性が料理屋に到着するが、稲垣さんの姿がない。男性はスーパーに戻ろうとするが、事務所内で女性が着替えている可能性も考えて、料理屋の女将と一緒にスーパーへ戻ることにした。
22時頃にスーパーへ到着し、女将が事務所へ確認をしに行った。事務所の鍵は開いており、中に入って声を掛けたが返答がなく、人の気配もない。誰もいないと思って一度は男性の車に戻った。
霊夢:
でも事務所内に遺体があるんでしょ?
魔理沙:
入口の付近にはカウンターがあって、女将は小柄だから内部が良く見えなかったんだ。そして男性と2人でもう一度事務所を確認すると、頭部を撃ち抜かれた3人の遺体を発見した。
霊夢:
うわぁこれはめちゃくちゃ怖かっただろう。
魔理沙:
この事件には不審な点が多いことも注目されている。
霊夢:
どういうこと?
魔理沙:
一番の謎は犯人の目的についてだな。事務所内に荒らされた形跡はなく、被害者の持ち物もなくなっていない。何のための犯行なのかよくわからないんだ。
霊夢:
スーパーに押し入ったなら強盗だと考えるのが自然な気がするけど。
魔理沙:
警察の内部でも「強盗説」と「怨恨説」とで意見が割れているらしい。強盗説の根拠となるのが、このスーパーは何度も空き巣に入られていることだ。営業中に事務所の施錠がされていないことから、泥棒からは狙われやすかった。
売上金の管理は、レジを引き出しごと抜き取り、店外に出て事務所の金庫に入れていた。その様子は一般客からも丸見えで、セキュリティーの甘さは誰もが知っていたんだ。夜間営業を女性従業員に任せることも多く、被害者の稲垣さんは不安がっていたらしい。
霊夢:
これは盗んでくれと言っているようなもんだ。
魔理沙:
当時、八王子の隣の多摩市では、夜間のスーパーを狙った強盗事件が多発しており、拳銃を使った手口などが同じことから、同一グループの犯行の可能性がある。
また金庫に鍵がささったままだったことも、強盗説の根拠となっている。犯人は稲垣さんに金庫を開けさせようとしたが、何かの原因で失敗してやむを得ず、射殺したという説だな。
霊夢:
確かに被害者たちは一度は帰宅しようとしたわけだし、金庫に鍵をさしたままなのはおかしい。
魔理沙:
犯人は5発の弾を発射しており、稲垣さんに2発、矢吹さんと前田さんに1発ずつ、そして金庫に1発撃っていることから、現金が目当てだったのかもしれない。
霊夢:
理由もないのに金庫に発砲しないもんな。むりやりこじ開けようとしたのかな。
魔理沙:
怨恨説を裏付ける根拠もある。事務所が荒らされておらず、歩き回った形跡もないことだ。犯人の動線は入り口から金庫までの一直線で、机やロッカーなどには近づいてもいない。
霊夢:
これが一番の謎だよな。強盗だったら、引き出しくらい開けるだろう。
魔理沙:
稲垣さんは夜間営業の責任者だし、金庫の開け方は知っていたんだ。さらに店長の机の上には、金庫のダイヤル番号が書かれたメモも置いてあった。
霊夢:
なるほど。稲垣さんを脅せば、金庫は開けられたはずだな。
魔理沙:
3人の被害者たちは、銃口を頭に付けられて脳を撃ち抜かれていた。至近距離から撃っているので、強い殺意があったものだと考えられる。
霊夢:
何かの恨みがあったということか。
魔理沙:
実は稲垣さんは高級クラブのホステスをしており、常に複数の男と親しくしていた。不倫関係にあった会社社長や、金を貢がせていた男性などがいて、男女関係のトラブルを起こすこともよくあったらしい。
霊夢:
魔性の女だったんだな。
魔理沙:
稲垣さんは気が強かったので男と口論する様子も頻繁に目撃されていた。複数の人から恨まれたいたようで、過去にはカミソリ入りの脅迫文が送られたこともある。
霊夢:
おいおい、それはマジでやばいじゃんか。
魔理沙:
女子高生の2人には他人から恨まれていたといった情報はない。
霊夢:
怨恨説であれば女子高生は巻き込まれただけということになる。これは可哀想すぎるだろ。
魔理沙:
まだわからんけどな。強盗説も怨恨説も、どちらも決定打に欠けるので、警察は両方の可能性を含めて捜査している。
霊夢:
結局、犯人はまだ見つかっていないよね?
魔理沙:
そうだな。でも容疑者として挙げられた人物は複数人いる。実は2015年に、ふたりの女子校生を縛っていたテープから、犯人の指紋が検出されたんだ。
霊夢:
どうしてそんなに時間がかかったの?
魔理沙:
テープについた指紋は事件当初から分かっていたが、当時の技術では検出できなかった。しかし特殊な薬剤や剥離剤などを使用することで、ようやく指紋を検出できたわけだ。
霊夢:
なるほど。試行錯誤したんだね。
魔理沙:
警視庁のデータベースと照合した結果、ひとりの男の指紋と酷似していた。事件発生当時は多摩地域に住んでいて、現場で目撃された白いチェイサーと同じ型を所有しているということで、警察から事情聴取されていた人物だな。
でも問題があって、指紋は特徴12点が一致して同一人物とみなされるが、今回の指紋は8点しか一致していない。8点が一致する確率は「1億人に1人」くらいだが、それでも確定とはできないんだ。
ただ、事件当時は別の場所にいたというアリバイが見つかり、容疑者からは外れてしまった。ちなみにその男はすでに病気で亡くなっている。
霊夢:
真相は闇の中ってわけか。
魔理沙:
次に容疑者とされたのが、國松警察庁長官狙撃事件の犯人だとされている中村泰だ。中村は2002年11月に、名古屋市内で現金輸送車を襲撃して逮捕された。
その際に中村が契約していた貸金庫を家宅捜索したところ、八王子スーパー事件で使われたものと酷似している拳銃が押収されている。ただし、中村は容疑を否認しており、証拠も不十分で立件できなかった。
最も有力だとされているのが、「日中混成強盗団」による犯行だ。中国で麻薬密輸容疑で逮捕されて、死刑が確定していた武田輝夫という男が、「知り合いの中国人が八王子の事件に関与している」と証言した。
霊夢:
日中混成強盗団って?
魔理沙:
日本人と中国人による強盗グループで、資産家を狙って強盗を繰り返していた。武田はグループのリーダーで、メンバーの中に八王子事件の実行犯がいたらしい。
霊夢:
これは有力な情報だな。
魔理沙:
実行犯とされる中国人は、カナダに住んでいる何亮(かりょう)という男だ。何亮は、過去に偽造パスポートで日本から出国した経歴があるため、旅券法違反容疑で、カナダ政府に身柄の引き渡しを請求して逮捕した。
霊夢:
いよいよ解決するか?
魔理沙:
いや、取り調べを行ったが、八王子事件の情報は得られなかったんだ。その後、旅券法違反で懲役2年・執行猶予5年の有罪判決が下され、カナダに強制送還されている。
霊夢:
これもダメだったか。一向に解決できない。
魔理沙:
事件が起きた1995年は、激動の年だったからな。1月17日に阪神・淡路大震災が発生、3月20日には地下鉄サリン事件、3月30日には國松警察庁長官狙撃事件、そして7月30日に八王子事件と続いた。
霊夢:
すごい1年なんだな。
魔理沙:
いくつも大事件が重なったことで、捜査員が分散されて初動捜査が遅れてしまったんだ。初期に大規模な捜査を行っていれば、もしかしたら解決できたかもしれない。
霊夢:
なるほどね。
魔理沙:
時効は撤廃されたわけだから、ちゃんと解決してほしいと思う。
今現在も犯人は捕まっていません。なんとしても犯人を逮捕し、被害者やご家族の無念を晴らしてほしい事件です。解説をノーカットでご覧になりたい方はぜひ動画をご視聴ください。