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約20年間愛され続けた「iPod」はなぜ販売終了となったのか? iPhoneの登場がiPodの“終わりの始まり”と言われた理由を解説

 今回紹介する動画は、ゆっくりルーザーズさんが投稿した『【iPod】2022年5月に販売終了。その理由とは?【ゆっくり解説】』。
 2001年に登場以来、約20年間愛され続けた「iPod」はなぜ販売終了となったのか、音声読み上げソフトを使用して解説しています。


■20年の歴史に幕を閉じた「iPod」

霊夢:
 あれ、おかしいな。おかしいぞ。

魔理沙:
 どうした霊夢。目を血走らせて。

霊夢:
 iPod shuffleを探してるんだけど、どの家電量販店にも売ってないんだよ。

魔理沙:
 iPod shuffleか。あれは安くて小さくて便利だよな。

霊夢:
 うん。昔から憧れててさ。でも見つからなくて。

魔理沙:
 残念だが霊夢、iPod shuffleは2017年に販売終了したぜ。

霊夢:
 そうだったの? 仕方ない。それならiPod nanoを。

魔理沙:
 iPod nanoもshuffleと同時に販売終了した。

霊夢:
 そ、そう。それじゃあiPod touchに。

魔理沙:
 2022年5月に販売終了した。

霊夢:
 ま、まさかiPodってもう……。

魔理沙:
 ああ……。iPodは、classic、shuffle、nano、touchと複数のモデル があったが、そのすべてが現在は販売終了してしまっているんだ。

霊夢:
 そんな……。どれも販売終了してしまってるんじゃ、音楽専用機が欲しい私はどうすればいいんだ。

魔理沙:
 SONYのウォークマンを買えばいいんじゃないか?

霊夢:
 え? iPodはすべて販売終了したのに、ウォークマンはまだ現役なの?

魔理沙:
 ウォークマンは相変わらず新機種が次々に登場しているぜ。

霊夢:
 いったいなぜiPodだけが販売終了に?

魔理沙:
 それじゃあ今回は、Appleを代表する製品でもあるiPod関連製品が、2022年5月をもって全点販売終了するに至った理由を解説するぜ。

霊夢:
 よ、よろしくお願いしますぅ。 それで、どうしてAppleのiPodは無くなってしまったの?

魔理沙:
 そうだな。iPodが全モデル販売終了となったのは、音楽市場の変化、並びにAppleの企業判断によるものなんだぜ。

霊夢:
 音楽市場の変化とAppleの企業判断?

魔理沙:
 そうだ。話を遡るぜ。iPodが初めて登場したのは、2001年10月23日のことだった。

霊夢:
 スティーブジョブズがiPodのプレゼンをしたのがもう20年以上も前か。

魔理沙:
 ああ。iPodのプレゼンテーション時、新しい音楽機器の発表に会場はあまり盛り上がらなかったそうだが、みな知っての通り、後にiPodは大成功することになる。

霊夢:
 iMac、iPhoneも然り、Appleはいつも消費者が想像もしない商品を提供しているんだから本当にすごい企業だよなあ。

魔理沙:
 ジョブズはiPodでデジタルオーディオプレイヤー市場にイノベーションを起こした。それまでカセットテープやMDを使用していたSONYのウォークマンと違い、iPodはmp3を用いることで、オーディオ音源をMDのような物理メディアから、ファイル音楽管理ソフトであるiTunesにすることに成功したんだ。

霊夢:
 今でこそ、外で聴く音楽はデータで管理するものになったけど、iPodが登場するまではMDが主流だったものね。

魔理沙:
 そうだな。iPodは「iTunesのライブラリに収めた音楽を外へ持ち出す」というコンセプトで開発されている点が、当時としては革命的だった。そして瞬く間にデジタルオーディオプレイヤーの市場を席巻することになる。

霊夢:
 さすがスティーブジョブズだよ。ウォークマンよりもiPodの方が人気だったの?

魔理沙:
 ああ。ウォークマンは1979年に発売開始し、1億台売れるまでに13年半かかっているが、iPodはわずか5年半で1億台を売り上げたんだ。

霊夢:
 すさまじいスピードだったんだね。

魔理沙:
 iPodの成功を受け、Appleは、さまざまなバリエーションのiPodを開発した。小型iPodであるiPod mini、iPod miniの後継機で、miniよりもさらに小型化したiPod nano。液晶画面が無く、シャッフル再生に特化した小型機であるiPod shuffle。タッチパネル式で、アプリケーションの追加ができるほか、iOSを採用しているiPod touch。

霊夢:
 どれもこれも記憶に残る商品だよね。

魔理沙:
 iPodは時期に応じて投入される新世代モデルが市場を牽引し、登場以降、市場の中で高い地位を確保し続けていたんだぜ。

霊夢:
 ほう。

魔理沙:
 日本の話で言えば、スマホが普及するまでガラケーとiPodを持つのが主流だった。携帯オーディオ市場はiPod登場後みるみるうちに拡大。当時は、AppleのiPodとSONYのウォークマンが争っていたが、2010年まで7年連続でメーカー別販売台数シェア1位はiPod。事実上、iPodが市場トップ製品として君臨していたんだぜ。

iPod:
 その通り!

霊夢魔理沙:
 こ、この声は!?

iPod:
  どうしてなのぉぉお? なんでみんなiPodを持たなくなったのぉ? あんなに、あんなに愛されていたのに。

霊夢:
 (未練たらたらな奴キターーー! )

iPod:
  あの、いくつか質問してもいいですか?

魔理沙:
 どうぞ。

iPod: 
 質問は3つあります。まず1つ目、iPodはなぜ販売終了したのでしょうか? 2014年9月にiPod classicが販売終了、2017年7月にiPod shuffleとiPod nanoが、2022年5月にiPod touchがそれぞれ販売終了していますが、この時期的な差にどういった理由があったのでしょうか? 

魔理沙:
 それぞれのiPodのモデルの販売終了時期がなぜ異なっていたのかという質問だが、まずclassic。iPod classicは、最もオーソドックスなiPodだ。これは、「iPod classicを構築するために必要な160GBのHDDなどの部品調達ができなくなったため」販売終了となったと、Apple CEOのティムクック氏が説明しているんだぜ。

iPod:
 部品……。それなら仕方ないですね。

魔理沙:
 次にiPod nanoとiPod shuffleだが、これらが2017年に販売終了した際、Appleは次のように説明しているんだ。

Apple:
 本日、私たちはiPodのラインナップをシンプルにすべく、2つのiPod touchが容量が2倍になって、21,800円からお求めいただけるようになりました。これに伴いiPod shuffleとiPod nanoを販売終了しました。

霊夢:
 なるほど。AppleはiPod=iPod touchにすることで、消費者が分かりやすくなるようにしたんだね。

魔理沙:
 そうだな。だが実はこの2機種が販売終了した背景には、音楽環境の変化があるんだ。

iPod:
 音楽環境の変化?

魔理沙:
 2007年にiPhoneが登場し、スマホが普及すると、多くの人は音楽をiPodやウォークマンのようなデジタルオーディオプレイヤーではなく、スマホで聴くようになったんだ。

霊夢:
 たしかに。

魔理沙:
 それまで人々は、CDからiTunesに曲を取り込んで、iPodで音楽を聴いていた。ところがスマホの普及後は、音楽はダウンロード配信が主流になり、後にLINE MUSICやSpotifyのようなサブスクサービスが現れた。

霊夢:
 本当に便利になったよね。

魔理沙:
 ここ十数年でスマホの登場だけでなく、音楽の購入方法までもが目まぐるしく変化しているというわけだぜ。ここにiPod shuffleとnanoが販売終了となった原因がある。

霊夢:
 ほうほう。

魔理沙:
 2017年当時、Appleはサブスクリプション音楽配信サービスである、AppleMusicを普及させようと考えていた。ところがiPod shuffleとiPod nanoはAppleMusicに非対応だったんだぜ。iPod touchは唯一iOSを搭載したiPodであるため、AppleMusicにも対応しており、残されたということだぜ。

iPod:
 それはわかりましたが……それで、どうしてAppleMusicに対応しているiPod touchも2022年に販売終了になったんですか?

魔理沙:
 iPod touch販売終了の理由については諸説あるが、「Appleは売上高が少ないデバイスに投資したくないと考えているから」だとする説が有力だぜ。

iPod:
 つまり、売上が小さいから切り捨てられたんですか?

魔理沙:
 そういうことだな。

iPod: 
 ええっ。

魔理沙:
 そもそもだが、iPhoneが登場して2010年ごろから携帯オーディオ市場は年々縮小しているんだ。

霊夢:
 それはiPhoneや他のスマホが携帯オーディオの役割を果たしているからだよね。そう思うとわざわざiPodを持ち歩くのは邪魔なだけか……。

iPod:
  君失礼だな。

魔理沙:
 その通りだ。特にスマホ市場トップシェアのiPhoneがiPodの機能を内蔵していることによって、AppleユーザーたちがiPodを持つ理由はほとんど無くなってしまったというわけだ。

霊夢:
 あちゃー。

魔理沙:
 そのため、2011年以降は、それまで携帯オーディオ市場でトップを走っていたiPodがウォークマンに抜かれるという事態に陥ったんだぜ。

iPod:
 そんな……。では2つ目の質問です。なぜAppleはiPodという主力事業がありながら、iPhoneにiPodの機能を搭載したんですか?

魔理沙:
 アメリカのあるアナリストは次のように話している。「AppleがiPhoneを作ったとき、それが最終的にiPodの終わりの始まりを意味することは分かっていた」と。

iPod:
 なにぃ?

魔理沙:
 iPodが販売終了に至った本質的な理由は、Appleの企業姿勢にあるということだ。

霊夢:
 ど、どういうこと?

魔理沙:
 iPodは、Appleの歴史の中でも重要な役割を果たしてきたが、Appleが2007年にiPhoneを発売する際、「iPhoneにはiPodが内蔵されています」という宣伝を行ったんだ。これは「iPhoneを買うならiPodを買わなくていい」ということでもある。

iPod:
 ひどい! あんまりだよAppleさん……。

魔理沙:
 つまり、Appleは、自社製品の共食いを気にしなかったということだぜ。

iPod:
 なんでぇ……。

魔理沙:
 自社の商品が自社の他商品を浸食してしまう共食いの事を、マーケティング用語で「カニバリゼーション」という。一般的に企業はこのカニバリゼーションを避け、自社の既存商品をは異なるターゲットに向けた商品を開発するのがセオリーなんだ。

霊夢:
 それなのに、なぜ?

魔理沙:
 Appleは、iPodの安定成長ではなく、iPhoneによるイノベーションを望んだということだ。この時のAppleの狙いは、iPhoneを「史上最高の携帯電話」「史上最高のiPod」としてマーケティングすることだった。そしてこの目論みは成功した。iPodの売上は減少したが、その後10年以上にわたりiPhoneは絶大な成功を続けている。

霊夢:
 たしかにiPodの売上が下がるのはもったいないような気がするけど、会社全体で見たら結果的には大成功だよね。

iPod: 
 そうか……。では最後の質問です。なぜiPodは販売終了したのに、ウォークマンはまだ現役で販売されているんですか? 両者とも同じ携帯オーディオ機器なのに、どこに差があるんですか?

魔理沙:
 スマホが主流となってから、AppleはiPodの新機種を開発しなくなったが、SONYのウォークマンはハイレゾブームに乗るなど、高級路線にスマホとの差別化を図っていったんだ。

霊夢:
 音楽専用機であるなら音質にこだわるという方法だね。

魔理沙:
 ただ、オーディオ市場自体がスマホの登場によって縮小していることは確かであり、音質の良し悪しは好みではあるし、スマホでも十分良い音質が見込めるからな。Appleは十分な収益を見込めそうにないiPodを高級路線にするなどの投資を行うことはしなかったというわけだぜ。

iPod:
 はぁ、ウォークマンが羨ましい。

魔理沙:
 いうなればAppleは、世界を牽引する企業の判断として、意図的にiPodの売り上げを縮小した。形式的にはiPodは販売終了となったが、iPhoneに内蔵された1つの機能としてiPodは引き継がれていると言っていいんだぜ。

霊夢:
 iPodはiPhoneの中で生き続けているんだから、気を落とすことはないよ!

iPod: 
 霊夢さん……。

魔理沙:
 なぁ霊夢……。

霊夢:
 何?

魔理沙:
 そんなにiPodが欲しいならメルカリに売っているみたいだぜ。憧れていたんだろう?

霊夢:
 あー……。今回の話を聞いて思ったんだけど、やっぱりいらない。

iPod:
 (え? )

霊夢:
 スマホで十分。

魔理沙:
 だよな。

 

 サブスクの発展やスマートフォンの進化、そこにAppleの戦略が加わったことにより販売終了となってしまったiPod。少し寂しい気もしますが、これもまた時代の変化なのでしょうね。
 解説をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画をご視聴ください。


▼動画はこちらから視聴できます▼

【iPod】2022年5月に販売終了。その理由とは?【ゆっくり解説】

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