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受験のライバルに毒を盛った“リアル毒親事件” インドのカースト制度の背景にある闇が深い事件を解説

 今回紹介する動画は、ゆっくりするところさんが投稿した『【2022年インド】受験戦争に勝つため娘のライバルに毒を盛った『リアル毒親事件』【ゆっくり解説】』。
 2022年にインドで起こった、同級生の母親による生徒毒殺事件について、音声読み上げソフトを使用して解説しています。


■すべては受験戦争に勝ち抜くため……

魔理沙:
 今回紹介するのはインドで発生した少し変わった事件だぜ。

霊夢:
 今回は事故じゃなくて事件?

魔理沙:
 ああ。この事件はインド特有の事情も背景にあり、非常に特殊な事例となっている。ただ、その一部でショッキングな表現をせざるを得ない箇所もあるので、そういったものが苦手な人は、あらかじめ注意しておいてくれ。

 それに、これはあくまでも概要を伝えるものであり、すべての事柄を詳細に、正確に解説する動画ではない。以上のこと、コメントガイドラインを理解し、了承できる人のみ視聴・コメントしてくれ。

霊夢:
 う……事故じゃなくて事件ってところがまた怖いけど……すごく気になるからおっけーおっけーしてみるわ!

魔理沙:
 ヨシヨシ、それじゃ早速本題に入るぜ。

 インド共和国、南部に位置する「タミルナードゥ州」。この州のとある中学校で問題の事件が発生した。2022年9月、この時期は学校での恒例行事となっている試験が行われていた。この学校に通う男性「Aさん」も、試験を受けている生徒の1人だった。

霊夢:
 インドにも中学校があるのね。

魔理沙:
 ああ。日本とは区分が違い、義務教育の期間も違うけどな。インドでは州によっても異なるが、基本的には小学校5年、中学校が3年、中等学校が2年、そして上級中等学校が2年となっている。

霊夢:
 なんか細かく区切られてるわね。

魔理沙:
 幼稚園から中等学校まで、一貫校となっている私立校もある。Aさんは中等学校の2年生で13歳。この日行われていたのは、全国共通のテストだった。これはその後の大学進学に大きく影響する、非常に大事なテストだったので、生徒の多くはこのテストに全力で取り組んでおり、Aさんもその1人だった。

霊夢:
 あぁ~、そういうのなんかニュースで聞いたことあるわね。

魔理沙:
 この日の試験は朝から行われ、数科目分のテストが終了すると、昼休憩の時間になった。

霊夢:
 おひるごはーん!

魔理沙:
 Aさんも筆記用具を片付けて昼食の準備をし、食事前には廊下に出て、トイレなどを済ませて教室に戻ろうとしたが、そのとき用務員の男性に声をかけられ、呼び止められた。用務員は彼に、フルーツジュースが入ったボトルを差し出し、「これを母親からきみに渡してほしいと頼まれたよ」と話した。

霊夢:
 お母さんからの差し入れ?

魔理沙:
 過去にも母親からの差し入れを受け取ったことがあったAさんは、このジュースを快く受け取り、用務員にお礼を言って教室に戻った。教室に戻ったAさんは、昼食と共にこのジュースを飲み、この後に控えた残りのテストに備えた。しかし、テストが始まった直後、Aさんは突然気分が悪くなり、激しい吐き気に襲われた。

霊夢:
 えっ……。

魔理沙:
 それでもなんとかテストを終え、Aさんは帰路についた。だが、Aさんの体調はどんどん悪くなっていき、我慢できずに嘔吐し始めてしまった。

霊夢:
 えぇぇぇ……絶対さっきのジュース怪しいじゃん……。

魔理沙:
 疲弊した状態で帰宅したAさんを見て、母親は驚いて、彼に事情を聞いた。息子の話では、自分が用務員に差し入れを渡すように頼み、それを飲んでから気分が悪くなったということだったが、母親には全く身に覚えがなかった。

 親戚のだれかが彼に差し入れをした可能性もあったが、用務員ははっきりと「母親」と言っていたことから、その可能性も低かった。

霊夢:
 それって、用務員の人の犯行……?

魔理沙:
 それも不明だったが少なくともAさん、母親共に彼のことは以前から知っており、学校にも長く勤めていた用務員だったので、深く疑われるようなことはなかった。原因自体はともかく、Aさんの体調はどんどん悪くなっていく一方だったので、母親は救急に通報し、助けを呼ぶことにした。

 その後、Aさんは近くの病院に搬送されたが、その最中にも激しく嘔吐し続け、病院に到着しても、まるで噴水のように吐き続けていた。

霊夢:
 ヒィィィィ!!

魔理沙:
 脱水症状も起こしていたため、病院ではすぐに点滴などの処置が行われた。点滴が終わると、医師からは帰宅して大丈夫だと指示されたため、母親はAさんを連れて家に戻ったが、夜になってもAさんの症状は落ち着かず、それどころか悪化していく一方だったので、今度は別の病院へ彼を連れていくことに。

 そこで診察を受けると、すぐに入院することになったものの、Aさんは翌日夜になると、多臓器不全によってこの世を去ってしまった。

霊夢:
 えっ!? 亡くなったの??

魔理沙:
 ああ。なんと体調不良がはじまってから、1日ほどで亡くなってしまっていたんだ。

霊夢:
 う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!! なんでそんなことになっちゃうのよ。

魔理沙:
 医師は母親から詳しく事情を聞いており、Aさんが怪しいジュースを飲んでいたということから、警察にこのことを話した。Aさんの体からは、大量の下剤と農薬に含まれる成分が検出されており、そのせいで彼は亡くなっていたと考えられた。

霊夢:
 毒じゃん!!!

魔理沙:
 警察はすぐに捜査を開始し、学校にも連絡。母親も学校に、当時Aさんが飲んでいたというジュースや、用務員について問い合わせを行った。すると、Aさんが当時飲んでいた、あのジュースのボトルから下剤などの成分が検出された。

霊夢:
 やっぱりあのジュース……。

魔理沙:
 用務員の話では、Aさんのクラスメイトの女性「Bさん」の母親が、「Aさんのお母さんから、Aさんに渡すように頼まれたけど、代わりに渡してほしい」と、ジュースのボトルを手渡されたということだった。

霊夢:
 (ジュースを持ってきたのは)Aさんの母親じゃなかったんだ……。

魔理沙:
 何も知らない用務員は、Aさんに「お母さんから差し入れだよ」と伝え、彼に毒入りのジュースを渡してしまっていたんだ。警察はBさんの母親の取り調べを行った。するとBさんの母親は、すぐに犯行を自白。彼女は「Aが下痢になればいいと思って、下剤入りのジュースを飲ませようとした」と話した。

霊夢:
 なんでそんなこと……。

魔理沙:
 実はAさんは、幼稚園の低学年時代から、現在に至るまで常に学年トップの成績を収めており、この学校で最も優秀な生徒だった。その一方、クラスメイトの女性Bさんも彼と肩を並べるほど優秀な生徒の1人だったが、成績争いでは彼に及ばないことも多く、常にライバル視している関係にあった。

 AさんとBさんは学業上のことで口論になったり、成績のことで対立していた過去があったこともわかった。

霊夢:
 まさかそれで……。

魔理沙:
 ああ。Bさんの母親は、この共通テストで自分の娘のライバルを潰すために、毒入りのジュースを飲ませていたんだ。

霊夢:
 なんてことを……!!

魔理沙:
 彼女は「Aさんさえいなければ、娘のその後の人生は安泰だ」と考え、物理的にライバルを排除しようと考えていたんだ。

霊夢:
 Aさん、どうしてもうちょっと怪しまなかったのかしら?

魔理沙:
 Aさんが疑えなかったのも無理はなかったかもしれない。

 わが国では、昼食は弁当として持参して学校にいったり、給食が出る場合が多いが、ここインドでは昼時に合わせて親が作り、配達サービスを利用して、職場や学校に自転車や台車で送り届ける文化が広く浸透している。
 飲み物の差し入れも日常茶飯事だったため、Aさんもあのジュースを疑わなかったし、Bさんの母親もその状況を利用して犯行に及んでいたんだろう。

霊夢:
 そういう事情もあったのね……。

魔理沙:
 Aさんが亡くなった後、母親や遺族は、病院で適切な処置を受けられなかったとして、最初にかかった病院を訴えた。そしてその後、Bさんの母親は殺人の容疑で逮捕され、収監された。
 裁判についてはまだ結果が出ていないが、この事件の背景には、インド特有の事情もあったんだ。

霊夢:
 特有の事情?

魔理沙:
 ああ。これまで別の動画でも何度か触れたが、インドには約14億人以上の国民がおり、そのほとんどがヒンドゥー教を信仰している。ヒンドゥー教では、「カースト」という、一種の身分制度のようなものがある。これは1950年に、法的に廃止されてはいるが、現在でも実質的に人々の間で身分制度が残っている。

 詳細な解説はまた別の機会にするが、簡単に言うと、カーストは上から順番に、「バラモン」「クシャトリヤ」「ヴァイシャ」「シュードラ」と、大きく分けて5つの区分に分かれており、姓で分けられている。

霊夢:
 なんか聞いたことあるわねそれ。

魔理沙:
 上から聖職者、政治家や武人、商人、労働者などだな。下の階級の者が、上の階級へとステップアップすることはほぼ不可能で、階級別につける職業も制限されていた。

霊夢:
 仕事まで分けられてるんだ。

魔理沙:
 ああ。農村部ではそれが特に色濃く残っており、被差別カーストが世襲の職業以外につくのは難しい。これは上位カーストからの外圧があるため、下位カーストの人間が自粛せざるを得なくなるためだと言われている。

霊夢:
 よその国のことだから、滅多なことは言えないけど、客観的にみるとちょっとひどいわね……。

魔理沙:
 だが、この不条理な身分制度から抜け出すことができる方法は、少ないながらも存在していた。その1つが受験戦争に勝つことだった。

霊夢:
 受験でカーストがかわるの?

魔理沙:
 正確に言えば、受験に合格し、その後だけどな。現在のインドの大学では、グーグルといった大手IT企業の幹部らを排出しているところもあり、そういった大学を出ることができれば、例えカースト下位の身分だったとしても、上位カーストと同じか、あるいはそれ以上の生活を送ることができる。

霊夢:
 だからインドの受験戦争ってすごいのね……ニュースでみたことあるわ。

魔理沙:
 ああ。以前入学試験などでのカンニングが問題になったニュースもあったな。今回もそうだが、子供に何としてもその試験をパスしてもらいたい。といった気持ちがゆがんでしまった結果だろうな。

霊夢:
 そっか、今回の共通試験も、大学進学に影響するっていってたもんね……。

魔理沙:
 仮に子供が受験に成功し、大企業で成功することができれば、一族そのものの身分や生活もよくなるからな。私たちの感覚からすると想像もつかないかもしれないが、インドでの受験、進学というのは本当に熾烈な戦いかつ真剣なもので、失敗して自殺する人も多いくらいなんだぜ。

霊夢:
 そ、そこまで……!?

魔理沙:
 その一方で、ゆがんだ評価に希望を見いだせず、国を捨てる若者も多いようだがな。

 現在のインドでは、貧富の格差を解消するため、大学入試や公務員採用などに際して被差別カーストの人たちを対象にする、優先枠を確保する「留保制度」という物もあり、それが政治と結びついて、対象枠が拡大し、この枠に上位カースト出身者が阻まれ、高得点をとっても合格が難しくなるといった問題も出ており、上位カースト、下位カーストどちらからも不満の声が多いという。

霊夢:
 そういう難しい問題もあるのね……。

魔理沙:
 インドは現在、かつて人口数トップであった、中華人民共和国を追い抜き、世界で最も人口が多い国になっている。

霊夢:
 インドって今そんなに人が多いんだ……。

魔理沙:
 ああ。2023年現在で、約14億人もの国民がいるからな。しかし、その中で上位カーストはごく一部。多くの国民が中・下位カーストであり、貧富の差が激しい国として知られている。

霊夢:
 だからこういう事件とか、受験で自殺者が出たり、親がカンニングさせたりするようなことが起きるわけね……。

魔理沙:
 そうだな。だが、もし仮にこういった妨害行為が成功して、自分の娘が成功したとしても、娘はそれを喜ばないだろうし、学校を出てからも、もっと優秀な人材は沢山いるだろう。

霊夢:
 そうすれば必ずどこかで壁にぶつかるもんね。

魔理沙:
 ああ。本当に娘のことを思うのならば、娘の能力自体を、より高みへとあげられるようにサポートするのが、親の役目だったと思うぜ。

霊夢:
 Aさんも気の毒すぎるわ……。

魔理沙:
 これは単純に、誰かを憎んで発生した事件ではなく、自分の家族の幸せを思うあまり、他人の命を蔑ろにするという、とても悲しい、インド特有の背景があった事件だった。

 

 インド特有のカースト制度に苦しみ、歪んだ感情によって引き起こされてしまった悲しい事件でした。
 解説をノーカットでご覧になりたい方はぜひ動画をご視聴ください。


▼動画はこちらから視聴できます▼

【2022年インド】受験戦争に勝つため娘のライバルに毒を盛った『リアル毒親事件』【ゆっくり解説】

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