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『次にくるマンガ大賞』受賞作の内容はどんな感じ? 「Webマンガ部門」作品の見どころ解説「微妙な心の動きが描かれていて面白い」

 今回で第3回目の開催となる、「次にくるマンガ大賞」の受賞作品発表会が行われ、「Webマンガ部門」では1位に久世岳さんの『うらみちお兄さん』、2位にNOBELさんの『妄想テレパシー』、3位にKAITOさんの『青のフラッグ』が選ばれました。

 賞の授与には作者の代理として各編集者が登壇し、MCのNON STYLE 石田明さん松澤千晶さん、ゲストコメンテーターのNON STYLE 井上裕介さん成瀬瑛美さん(でんぱ組.inc)、雑誌『ダ・ヴィンチ』編集長の関口靖彦さんが各編集者(少年ジャンプ編集部・中路さん、ツイ4編集長・岡村さん、comic POOL編集部・藤原さん)に作品の魅力や見どころを伺いました。

左から松澤千晶さん、石田明さん、関口靖彦さん、成瀬瑛美さん、井上裕介さん。

第3位『青のフラッグ』

石田:
 第3位はこちらの作品でした。

画像は『青のフラッグ 1』Amazonより。

松澤:
 作者がKAITO先生。こちらの作品は主人公の一ノ瀬太一が幼馴染みでリア充スポーツマンの三田桃真、妙に気になる内気な女子高生、空勢二葉と同じクラスになります。ある日、二葉から桃真への恋に協力して欲しいと頼まれた太一……この三人の青春に染まりゆくさまは、まさに純心純愛物語です。

石田:
 井上さんは2位に選んでいましたね。

井上:
 KAITO先生の過去作品は読んでいました。スポーツ系はもともとラクロスの漫画だったかな……それを覚えていました。こういう人情系のものは、先生は上手なので、今回はスポーツと関係なく人間ドラマだけに特化した漫画になっていますよね。すごく楽しめますし、この先、主人公たちがどうなるか期待ですね。

石田:
 今回ベスト3に入った作品は、編集者の方に作者の代わりとして会場にお越し頂いております。編集者の方、ご登壇下さい!

松澤:
 自己紹介と一言をお願いします。

右、少年ジャンプ編集部の中路さん。

中路:
 少年ジャンプ編集部の中路です。『青のフラッグ』を担当しています。

松澤:
 KAITO先生からこちらなんと。書き下ろして頂いたサイン色紙がありあす。

一同:
 すごい!

井上:
 めっちゃええやん!

松澤:
 メッセージを頂戴しておりますので紹介いたします。「この度は、次にくるマンガ大賞webマンガ部門3位を頂きまして誠にありがとうございました。ノミネートして頂けただけでも光栄でしたのに、感激です。応援して下さった皆様ありがとうございました。これからも楽しんで頂けるような作品が描けるよう頑張りたく思います」

石田:
 ありがとうございました。中路さんはこちらの作品はいつくらいから担当していらっしゃるのですか。

中路:
 6月からです。

石田:
 まだ2か月なんですね。KAITO先生はどんな方ですか。

中路:
 すごくまじめな方で、観察眼が鋭いと言うか、物事をよく見てらっしゃるなと思います。

石田:
 それはお互いに喋っていてもそんな感じが?

中路:
 そうですね。会話の切り取り方がうまいと言うか、「そこを使うんだ」みたいな。

石田:
 注目するポイントがちょっと人と違うと。

中路:
 そうですね。

石田:
 まだこの作品を読んだことがない皆さんのために、この作品の面白さ、魅力をプレゼンして頂こうと思います。

中路:
 青のフラッグというのは、今までの典型的な少年漫画の恋愛観ではなくて、登場人物のそれぞれの恋愛観を描いている作品だと思っています。それぞれの人がそれぞれの青春と恋愛があるというのを描いています。この描き方が当たり前になっていくんだろうな……という恋愛を描いている作品です。

 そういうことなので、「これからの恋愛マンガ」だと書かせて頂きました。KAITO先生の何がすごいかと言うと、圧倒的な描写力、1コマ1コマから音が聞こえるような、素晴らしい描写力があります。読んでいても原稿を拝見するときにため息が出てしまうような美しい絵を描かれるので、いつも感動しております。

石田:
 ありがとうございました。素晴らしいプレゼンでしたね。

井上:
 まだ1巻しか拝見してないですけれど、もしかしてこういう三角関係になっちゃうの? みたいな部分があるんじゃないでしょうか。

石田:
 ありがとうございました。

第2位『妄想テレパシー』

石田:
 続いてまいりましょう、2位の発表です。

画像は『妄想テレパシー(1)』Amazonより。

松澤:
 作者はNOBEL先生。こちらの作品は他人の心の声が見えてしまうという女子高生が主人公。人気者の戸田くんの脳内が自分の妄想であふれていたという、不思議な妄想テレパシーというお話でした。

井上:
 描き方が割と斬新やな。

石田:
 こちらの作品はいかがですか、皆さん。

井上:
 基本は4コマ漫画なんですけど、続いているんですよね。4コマで見てもオチが出来ているし、続きを読んでも、話は続いているし……新しい感じです。

関口:
 登場人物たちの男子がいかにも描きそうな妄想と言うか、絵になって見えるっていうシンプルな面白さが続いていくのが新しいですね。

石田:
 第2位の編集者の方、ご登壇をお願いします。

ツイ4編集長の岡村さん。

岡村:
 妄想テレパシーを掲載しているTwitter4コマのツイ4の編集長をしております岡村です。

松澤:
 NOBEL先生からサンキューイラストが届いております。

成瀬:
 かわいい~。

石田:
 かわいいですね、いい表情をしていますね。

松澤:
 先生からメッセージを頂いております。「こういった賞などには縁がないと思っていたので、ノミネートして頂いたのもとても嬉しかったのですが、2位の結果を聞いたときはとても嬉しかったです!! これもひとえに応援して下さった読者の方のおかげです。本当にありがとうございます!! これからもよろしくお願いいたします」

石田:
 ありがとうございました。岡村さんはこの作品を担当してどれくらいなのですか。

岡村:
 僕は直接担当をしていないんですが、うちの新人賞になって、そこからずっと見ていまして……2年くらいです。

石田:
 投票して頂いたユーザーさんからのコメントが来ています。

松澤:
 ご紹介します。「心を読めるからこそ難しい。心を読めないけれどわかる。そういった微妙な心の動きが描かれていて、読んでいてとても面白かったです」

岡村:
 今からプレゼンするんですけど、いいところを言ってもらっちゃいました(笑)。

石田:
 これからプレゼンですよ、まだ読んでいない皆さんに向かってプレゼンして頂きたいと思います。

岡村:
 カラーは妄想、モノクロは現実というこの作品はキャラクターとして人の心が見えるテレパシー能力者の中野さんと、その中野さんに恋をしている無口なイケメン戸田くんがいます。中野さんへのぎりぎりアウトなエロい妄想を繰り返す戸田くんに、それが見えてしまう、一人で心の中で突っ込みを入れる中野さんというのが魅力のひとつ。

 この作品の大きな特徴としては、作中の現実の描写がモノクロで描かれて、中野さんの心はカラーによって描かれるということです。カラー漫画でしかできない妄想と現実の演出が見どころのひとつで、ストーリーでも重要な伏線になっています。もうひとつあります。キャラクターの心の成長を応援したくなる物語で、中野さんの他にも戸田くんのことが好きなキャラクターがいて、お互いの心が少しずつ成長していくのが、この作品の一番のテーマになっています。

石田:
 ありがとうございました。

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