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ピアノの音色と洒脱なリリックが印象的な初音ミク曲。調声・鮮烈な音色に”好き弾幕”が壮観な『blanc.』

 今回は、かしこ。さんが3月19日に投稿した「blanc.」を紹介する。

文/小町 碧音(こまち みお)


 「好き」「大好き」というコメントが流れるなかでも「見つけたって感じがする」とのコメントが。まさに注目度の高いボカロPといえる。電話の呼び出し音、話し声と想像力を膨らませるようなサウンドエフェクトから始まるこの曲。すでに鮮烈な音色を響かせるイントロからワクワク感へと誘う魔法が仕込まれたメロディになっている。アップテンポかつ洒脱なリリックが印象的だ。<部屋に斜陽の影は落ち/脳裏のセルロイド・フィルムに/いつかの2人が ゆらゆら>と部屋で過去の記憶に帰る主人公が居る。

 サビでは<欠けるだけの きれいな箱庭><もう夢見たものに 届かない><空白に花は咲かない>とそんな過去を悲観的に捉えている。そして、2番からは環境が変わったのだろうか。1番のディストピアとは反対語のユートピアの文字がサビに表れる。<灯りだしたユートピア><「しあわせ」の意味を知った灯の下><あなたの手に触れようとして><いつもそこで目が覚めるんだ>。幸せな環境に身を置いているのにも関わらず、結局は過去を忘れられない主人公が居ることに気付かされる。何も咲かないとわかっているのにひどく頭にこびりついて離れない記憶は誰にでもある。そんな胸のなかに宿るどうすることもできない苦味が切迫感を表す急ぎ足のメロディで展開されていく。

 とりわけ、ポイントなのは、MVに描かれているドラム式洗濯機のなかで洗濯物が回り続けていること。映像に映る球状の物体は、<ぽっかり空いてしまった穴>にも見えるし、洗濯物の汚れと同じように洗い流したい過去の象徴にも思える。リリック、メロディ、MVとのリンク性が強く、いろんな想像を膨らませながら楽しむことができる曲になっている。

 周囲を囲むように鳴り響くピアノの音色がこの曲に彩りを与えているのが特徴的だが、初音ミクの発音が聴き取りやくなっていることで、周りの煌びやかなサウンドが派手でも、言葉の良さが損なわれることなく、胸にそのまま飛び込んでくる。畳み掛けながら煌めくサウンドからは、ライブはもちろん、ボカロクラブイベントなど心地よいグルーヴに身を任せるタイプのイベントで流れると、映えそうな印象を受けた。


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