声優・Machicoの鏡音レン愛が炸裂！「囚人」「右肩の蝶」「IMITATION BLACK」などお気に入りボカロ曲10選…プロセカ・草薙寧々役に通じる一面も

2023年9月25日 (月) 12:00

　様々なシーンで活躍する有名人の方にお気に入りボカロ曲をピックアップしてもらい、それにまつわるインタビューを行う本企画。
　今回は声優兼歌手としても活躍する、Machicoさんにお話を伺った。

　ボカロ好きにとっては、アプリゲーム『プロジェクトセカイカラフルステージ！ feat. 初音ミク』（以下プロセカ）内のユニット、ワンダーランズ×ショウタイムの草薙寧々役としても知られるMachicoさん。
　普段のエネルギッシュな印象から少し離れた意外な一面や、ワンダショ・寧々に対する思い、そして自身が最も愛するボカロ・鏡音レンへの大きな情熱など。
　Machicoさんの多彩な一面と、そして熱烈なボカロへの愛を、今回はたっぷり聞かせてもらった。

V系からボカロへ──最推し・鏡音レンへの熱い愛！

──最初にVOCALOIDを聴き始めたきっかけは覚えていますか？

Machico：
　友達の影響です。高校に入った頃、私ビジュアル系にドハマりしてたんですよ。友達もビジュアル系を聴く子が多かったんですけど、その頃V系を聴く子ってアニメ好きの子も多くて。その子たちとカラオケに行く中で、ボカロ曲に触れたのが最初の出会いでした。初めて聴いたのは『恋は戦争』だったかな。

──初めてボカロ曲を聴いた時、何を思ったか覚えていますか？

Machico：
　初音ミクの名前はすでに知っていたんですけど、ボカロ曲がこんなにたくさんあるなんて知らなくてびっくりしました。最初は歌詞も聴き取りにくかったんですけど、聴きこむうちにだんだんちゃんと聴き取れるようになるのも面白くて。ビジュアル系もそうじゃないですか。最初は癖も強くて歌詞も何を歌ってるかわからないけど、徐々に世界観に馴染むというか。それと近しいものを感じていましたね。
　あと当時はV系もボカロも今ほどメジャーじゃなくて。クラスでも知ってるのは数人だけ、みたいな所にもハマりました。優越感というか(笑)

──Machicoさんは元々、人前に出るお仕事の原体験が高校時代の文化祭のステージだと伺っています。同時期のお話ですよね？

Machico：
　そうです！今の私の趣味やお仕事に繋がるものは、高校時代の経験がすべてでしたね。

──そこからより深くボカロ曲を聴くようになったきっかけは？

Machico：
　私、ボカロの中で一番ドハマりしたのが鏡音の二人特にレンくんなんです。当時めちゃくちゃ流行ってた「右肩の蝶」がきっかけでした。元々、マイナー調の暗い曲や切ないボカロ曲が好きで。機械的な声ならではの拙さが人の声より切なさにマッチするというか、無機質な声だからこそ想像する余白があるというか。「右肩の蝶」はアップテンポですけど、背伸びした大人の感じからレンくんの余白を想像できる気がして、ずっと聴いていました。

──いわゆる“イケレン”曲の代表的存在ですね。レンくんの魅力はどんな所でしょう。

Machico：
　そもそも顔面がかわいいですよね！彼は自分のかわいさをもうちょっと罪だと思って欲しいぐらい(笑)昔はあまりアニメにも詳しくなかったので自分の好きなキャラの系統もわからなかったんですが、今振り返ると少年系の子がすごく多いんです。『カードキャプターさくら』の小狼くんや、『デジモンアドベンチャー』は大和くん派だったし。お兄ちゃんキャラより当時の私と同い年ぐらいの子が好きだったので、レンくんにはハマるべくしてハマったんだと思います(笑)少し籠ったまろやかな響きや、一生懸命さの滲む声とか。どんなにかっこいい曲を歌っても背伸び感が出ちゃう部分も大好きですね。

──ちなみに、ボカロPさんにも“推し”はいましたか？

Machico：
　ハチさんやすこっぷさん、トーマさんやひとしずく×やま△さんの曲は好きなものが多いです。すこっぷさんの曲は元々ピアノが主流の曲が好きなので惹かれますし、あとはメルヘンなものや童話チックな曲も好きで。ハチさんの曲も、やっぱり独特のハチさん節に「すげ～！」ってなっちゃいます(笑)「リンネ」や「パンダヒーロー」も今回入れるか迷ったんですよ。今のご活躍も含めて、ボカロ初心者にも勧めやすいですしね。

鏡音曲をメインにMachicoの“好き”が詰まったプレイリスト

──ここまでのお話を踏まえて曲を見ると、まさにMachicoさん節全開のリストですね。

Machico：
　やっぱり鏡音曲がかなり多いです(笑)「囚人」は物語の切なさが好きで何度も聴いた曲だし…ボカロ曲って作られる方皆がビジネスじゃなく、本当に自分の好きなものを自由に持ち寄って作って発信する、という雰囲気を当時すごく楽しませてもらった思い出があって。今は4分の曲でも長いって言われる時代ですけど、「紙飛行機」なんて本当に長い曲じゃないですか。でもそんなの一切気にせず作ったからこそ、曲の中にあんなダイナミックさが生まれたと思うんです。
この曲はよくカラオケでも歌ってたんですが、MVがないと間奏で手持ち無沙汰になるじゃないですか(笑)ボカロを知らない友達の前でも気にせず歌いたい曲を歌うタイプだったので、変な空気も気にせず歌ってたんですけど。その時も「長くてごめんね～」とかじゃなく、「君たちはまだこの曲の良さがわからないんだな…」みたいな気持ちで歌ってました(笑)

──当時はまだまだ、ボカロ好きとそうでない人の間に大きな溝がありましたね(笑)今でこそかなりハードルも下がりましたが…。

Machico：
　カジュアルになりましたよね。時代背景的に、「キミペディア」なんかは今のボカロ初心者もすごく聴きやすいと思います。最近の文化ってポップでかわいいものが人気じゃないですか。そういうものが好きな方も受け入れやすいし、歌詞も台詞を文字起こししてる感じでTikTok向きだなって。Junkyさんの曲も、この曲や「ラブチーノ」をはじめ好きなものが多いですね。

──Junkyさんも鏡音リン・レンの名手ですね。また先ほどのV系がルーツというお話を聞くと、「IMITATION BLACK」も非常に頷ける曲選です。

Machico：
　(笑)V系好きホイホイな曲ですよね、イントロ聞いた瞬間「好き！」ってなりました(笑)3人のビジュアルもバランスが良くて衣装も素敵で、なによりお兄さん二人に囲まれたレンくんが可愛すぎて。私の求めてるレンくん像が詰まった曲です(笑)この曲を知ってる友達を集めて3人でカラオケで歌う時は、私がレンくんパートを担当したりしてました。青春の一ページですね(笑)

──その中でも今回、リストでナンバーワンの曲と言えばどれになるでしょう。

Machico：
　「おおかみは赤ずきんに恋をした」でしょうか。まさに童話がテーマですし、私の大好きな切ない恋愛ソングで…。鏡音曲でMVも良くて、全体的なピアノのフレーズもいいですよね。ひとしずく×やま△さんは他にも有名曲がありますけど、最初はサムネの良さに惹かれて。聴いてみたら「こりゃびっくり！私の大好きしかない曲だ！」って(笑) 私の大好物が揃いまくった曲ですね。

好きなものを独りで楽しむ一面も…プロセカ・寧々役の裏話にも注目

──ここまでのお話で“メルヘン”や“童話”という言葉が頻出していますが、一方でかわいさや楽しさだけではない部分にMachicoさんが魅力を感じている印象があります。

Machico：
　ダークメルヘンが好きなんですよ。グリム童話も大人向けの怖い内容や、グロい部分もあるじゃないですか。そういう要素がある曲はグッときますね。

──その要素のどんな部分に惹かれるんでしょう。

Machico：
　目に見えるものって美しいものだけじゃないんだぞ、というか。楽しいの裏には、同じぐらい怖い面や汚い面もあることを教えてくれる部分でしょうか。あとダークメルヘンな要素をイラストで見た時の、かわいさを不気味さに感じるところとか。廃墟の遊園地も昔はあんなに人が溢れてにぎやかだったのに、人がいなくなった瞬間あんなにも不気味な場所になる、みたいな。

──表面的でなく、複数の要素が何層にも重なる部分を魅力に感じているんですね。

Machico：
　ゲームも「サイレントヒル」なんかが好きですよ。実写映画もすごく面白かったんですけど。ゲーム自体にすごく詳しいわけじゃないし、どちらかといえばプレイするより見る専門なんですけどね。ゲーム中の表世界と裏世界のバランス感というか。不気味な世界だからこそ、メルヘンのアンバランスさが際立つような雰囲気がいいなと思います。

──“スルメコンテンツ”なんて言い方がありますが、何度もいろんな角度から楽しめる作品がお好きなんでしょうね。

Machico：
　性格的にいろんな作品を手広くというより、狭く自分なりに深く、みたいな楽しみ方が好きなので、集中して没頭できるものが好きなのかもしれません。もちろん友達と遊ぶ時間も好きなんですけど、独りの時間も好きなんです。好きな物も人に勧めるより、自分の趣味は自分だけで楽しみたいタイプなので。自分のペースで自分だけの世界を作って「この良さがわからないならわからないでよろしい」みたいな(笑)

──少し意外でした。Machicoさんは自分の好きなものも、元気に外に発信される印象があったというか。

Machico：
　他の人が来た時は全然イエーイ！ってなるんですけどね。自分から布教活動はあんまり、というかほぼしたことないかもしれないです(笑)

──同時に“メルヘン”や“童話”の要素は、現在演じているプロセカの寧々ちゃんにも通じる部分がありますね。ワンダショはプロセカでも、最も物語色の強いユニットですし。

Machico：
　実は私、オーディションは他のキャラクターを受けていたんです。結果的に寧々を演じる形になったんですが、今思えばユニットの中では一番ワンダショが私には合っていたな、と。声優やアニメに興味を持ったきっかけもディズニーで、ああいうショー的なものが好きだったから、収まるべくして収まった気もしますね。性格こそ寧々とは真逆ですが、根っこは近い気もしますし。

──草薙寧々というキャラにはどんな印象をお持ちですか。

Machico：
　寧々って自分から何かを発信することが苦手で、自分の気持ちを伝えることも全然なかったんですけど。ワンダショの仲間たちや、あと青龍院さん（青龍院櫻子）の影響も今はすごく大きい気がします。彼女のおかげで寧々の負けず嫌いな性格や、自分に足りないものを考える機会がいろんなストーリーで引き出されていて。寧々にとっていっぱい成長を与えてくれる人物だと思ってますね。

──キャラ愛に溢れたお話をありがとうございました。最後に、Machicoさんから見たVOCALOIDの魅力を教えて下さい。

Machico：
　ボカロ曲ってそもそも人が歌うことにあまり重きを置かれてないので、クリエイターさんのいろんな可能性を1曲でたくさん知れる点が一番の魅力だと思います。生身の人だと息が続かない、言葉の並びがあまりうまくいかない、っていう点も全部クリアにしてくれるので。作り手の個性をこちらも制限なく受け取れるというか。同時に、クリエイターさんの個性ごとにボカロの歌い方やキャラ、魅力が多彩にあるのも大きな魅力だと思います。あと、鏡音レンはやっぱり最強にかわいいです！(笑)