カオティックな旋律が印象的なボカロ曲『Q地点』知声&ルウルのダブルボーカルに「かわいい」「好きすぎる」の声
2025年夏の開催で、記念すべき10回目を迎えた『The VOCALOID Collection』。
今回のボカコレも新人からベテランPまで非常に幅広い世代のクリエイターが参加し、多数の渾身作が世に放たれていた。
ボカロP・ondoによって投稿された楽曲も「Q地点」も、そんな作品のひとつとなる。
文/曽我美なつめ

楽曲を再生してのファーストインプレッションでは、ある種の実験音楽的なカオティックさを思わせる本曲。
だがよくよくサウンドを聞いてみれば、ハイテンポでありながら一定のテンポ感を保つドラムンベースのビートや、特定のリフをきちんと拍子通りに繰り返すギターなど。
きちんとした秩序の中で、楽曲自体は展開されていることがわかる。
音像に鋭さのあるエレクトロなブレイクビーツと、生々しさを感じさせる歪みのあるギター・ベースサウンドの相性の良さも、本作の聴き所のひとつだ。
打ち込みと生音という真反対の質の音でありながらも、両者のエッジの効いた響きにはどこか近しい質感がある。
だからこそ楽曲全体として、非常に統一感あるサウンドへと仕上がっているのだろう。

このように尖った音質ながらも秩序性を感じさせるオケの一方で、メロディの流れがまったく予測出来ないボーカルの“無秩序さ”に耳を奪われるリスナーも多いはずだ。
そのカオティックな旋律に、人によっては不安感を覚えたり、難解さゆえに早々に視聴を離脱する人もいるかもしれない。
だがそんな前衛的なクリエイティブを大きな魅力とし、本作に強烈に惹かれるリスナーも間違いなく一定数存在しているに違いない。

またメロディの旋律こそ確かに混沌としているものの、知声&ルウルのダブルボーカルは、二人の明瞭な発声のおかげもあってか“歌”として確かに成立している
輪郭のはっきりとした知声の声と、柔らかさの中にやや擦れを伴うルウルの声。
二人の歌声が時に絡まるように混ざりながらハーモニーを奏でる点も、耳に残る今曲のポイントのひとつとなる。
楽曲とあわせて、ondo自身が手掛けた動画もぜひ細部まで楽しんで欲しい。
音楽のカオスさによりブーストをかけるような無機質なオブジェクト、そして歌詞の記載と併せて羅列される無関係な言葉たちも印象的な本映像。
サウンドと同様にやや実験的な性質も持っているが、単体でも視覚芸術作品として楽しめるレベルの強度を持った、クオリティの高い動画ともなっている。

音楽と映像の両側面で、非常に強烈な個性を放つ作品となった「Q地点」。
本曲の音作りや調声に関しては、制作を手掛けた際のTipsがondo本人のnoteへも詳細に公開されている様子。
気になる方はぜひ、楽曲とあわせてそちらも見てみてはいかがだろうか。
■楽曲配信情報

■information
「The VOCALOID Collection」 公式サイト
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