koyori(電ポルP)約2年4か月ぶりのボカロ新曲『間違いだらけのきみを見せて』――疾走感あるギターロックソング
「独りんぼエンヴィー」「スキスキ絶頂症」ほか、これまでにもさまざま人気曲を生み出してきたボカロP・koyori(電ポルP)。
近年ではユニット・空白ごっことしての活動が盛んだが、今年9月に突如約2年4か月ぶりのボカロオリジナル曲を投稿。久々の新曲に、多くのボカロリスナーから喜びや驚きの声が挙がっている。
今作「間違いだらけのきみを見せて」は、ボカロオリジナル曲としてはプロセカ提供曲「箱庭のコラル」ぶり、ノンタイアップ作としては2022年9月投稿の「相対感覚丑ノ刻」ぶりの作品となる。
文/曽我美なつめ
おそらくkoyori(電ポルP)といえば、「スキスキ絶頂症」「曖昧劣情Lover」のようなロックサウンド=VOCAROCK曲のイメージを持つ人も大勢いることだろう。
今作もそのイメージに漏れず、彼の十八番ともいえる疾走感あるギターロックを存分に楽しめる1曲となっている。
楽曲を構成する楽器はギター、ベース、ドラムのみ。爽やかさすら感じるリフのフレーズも印象的だ。
トレンド性のあるエレクトロサウンドとは真反対の、ある意味でミニマルさすら感じるシンプルな音構成。
だがその音像こそが、koyori(電ポルP)持ち前の作風でもあるストレートなメッセージ性を持つ歌詞の魅力を、より引き出しているようにも感じられる。

たくさん迷い、失敗を繰り返し、いろんな夢・目標を手放して、気づけばここまで来た。
誰かに誇れるようなものはないかもしれないけれど、それでもあなたはありのままでいい。そんなあなたのありのまま“が”いい。
そんな大勢の聴き手の“今”を、ただただ肯定してくれる言葉がそこには綴られている。
苦しみや悩み、葛藤や挫折、諦め。
辛く苦しいことも確かにあった。だがそれもまた今のあなたを構成する一部であるし、そんな経験で構成された傷だらけのあなただからこそ輝いている。

エネルギーに満ち溢れたファイトソングではなく、優しい慰めの曲でもない。
だがこれまでいろんなことを頑張ってきた大勢の人々を肯定し受け入れ、そして再び明日からの一歩を踏み出すためのエールをくれる。
そんな懐の深さを感じさせるメッセージが、本曲の歌詞には込められている。
またもちろん、今回の楽曲もkoyori(電ポルP)自身によるお馴染みの“電柱写真”と共に動画が投稿されている。
楽曲のムードとも相性抜群の情緒的な風景も、あわせて注目したいポイントだ。
今何かを頑張る人に、そして過去に何かを頑張ってきた人に。どんな人にもきっと響く、普遍的なメッセージを持つ本曲をぜひ聴いてみて欲しい。
■楽曲配信情報

■information
「The VOCALOID Collection」 公式サイト
無料でボカロ聴くなら「ボカコレ」100万曲以上のボカロが聴ける音楽アプリ! ダウンロードはコチラ
―あわせて読みたい―
・ボカロP・Tonbiが手がける2分弱で心を掴む楽曲『ねこのおて』シュールで滑らかなネコイラストMVに「ねこかわいい」の声