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ボカロP・栗山夕璃のチャイナレトロボカロ曲『袮袮』v flower×重音テトの力強い歌声に「めちゃめちゃかっこいい!」の声

 今回は、栗山夕璃さんが2025年11月8日に投稿した「袮袮」を紹介する。

 MVの世界観もサウンドもチャイナレトロに染まった本楽曲は、バルーン(須田景凪)さんの「シャルル」や、ぬゆりさんの「フラジール」が席巻した2016年頃の洒脱なボカロシーンを、ふと思い起こさせる。

文/小町 碧音(こまち みお)


 東洋的な香りで包まれたダンサンブルなサウンドでありながら、歌詞とアニメーションから滲み出すのは深い虚無感。その明度差こそが、明るい音像と陰のストーリーを併せ持つボカロ曲ならではの味わいとしても響いてきて、その良さがまっすぐ心に染み渡るのもポイントだ。

 レトロな蓄音機のレコード上に置かれたカエルや兎の置物がくるくると回転するアニメーション。<準備した言葉が空になって 空を切るこの手じゃ掴めなくて 幽霊のように意味が消えるだけ>というフレーズと結びついた途端、可愛らしさを纏ったそのシーンは、行く宛のなくなった空っぽの心が宙へと解き放たれていく様子を何度も浮かび上がらせているかのようにも思えた。募った想いが自分の意志とは無関係に空気へ溶けていく虚しさが、楽曲とMVの両軸にわたっていつまでも巡り続けている。

 また、使用している音声合成ソフトが、2016年〜2021年頃にブームを巻き起こしたv flowerと2023年以降、そして現在も爆発的なトレンドとなっている重音テトSVという二大看板の組み合わせであることも見逃せない。どちらもパワフルな歌声が持ち味で、「袮袮」では両者が、重い荷物を背負った歌詞をパワフルに歌い上げることによって、そこに描かれた言葉の意味が自然かつ確実に伝わってくる。v flowerと重音テトの存在意義がこの曲にしっかりと表れているのが見事だ。

 次第に深い夜を描く音色の中、言葉の意味がさらに引き立てられる2番。MV上に映し出された白い文字のタイポグラフィに手書き文字などのバリエーションが重なり、混迷していく心模様が描かれていく。<そうやって感情の言い訳をしてろ>という締めのフレーズから滲む諦めの声と同化してラストへ。サウンドメイクの輝きと楽曲としての成熟度は言うまでもなく、栗山夕璃さんのボカロシーンに向けた確かな想いも感じ取れる1曲となっていた。

■楽曲配信情報

袮袮 DL先こちら

■information

「The VOCALOID Collection」 公式サイト

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