北朝鮮“マスゲーム”の練習時間が明らかに「朝9時から夕方5時までの練習を半年以上」元・朝鮮総連職員が語る
北朝鮮の潜入ライターとして活躍するニポポ氏が、2月21日放送の「北朝鮮スリーパーセル問題から犯罪まで「北朝鮮の車窓から」【ニポポのニコ論壇時評】」にて、北朝鮮出身の父と在日韓国人二世の母を持つライター・安宿緑氏に、多人数が集まって体操やダンスなどを一斉に行う、北朝鮮では定番の集団演技「マスゲーム」について質問。
安氏は、「9時~17時まで、半年以上練習をする」と語り、北朝鮮の可憐なマスゲームの知られざる裏側が明らかになりました。
マスゲームの練習時間は「1日8時間」
ニポポ:
いろんな施設があったりするんですけれども、中でも気になるのが、「綾羅島メーデー・スタジアム」。
マスゲームをやるような、15万人収容スタジアムがあるんですけれども、あのスタジアムの中って入られたことありますか?
安:
ありますね。
ニポポ:
おおー! すごい! あれで15万人収容して、マスゲームとかやるわけじゃないですか。あのマスゲームの15万人の人たちって、どうやって練習していくものなんですか?
安:
あれは、1日何時間で、どれくらいの期間練習するの? みたいなことを聞いたんですけど、私が聞いたのは、半年以上は練習すると言っていて。
ニポポ:
ですよね。
安:
授業もつぶれるし、9時~17時くらいでずっと練習をすると言っていましたね。
ニポポ:
フルタイムで練習じゃないですか。
安:
そう言っていましたね。それを半年以上。
ニポポ:
すごいなー。かなりガッチリですよね、あ、いい質問がありましたよ。「マスゲーム、間違えたらどうなるの?」と。
安:
時々1人間違えている人とかいるんですけど、まあそんな。
ニポポ:
怒られはしない?
安:
大丈夫でしょう、という感じ。
ニポポ:
ワザとじゃなければね。
安:
そうですね。
ニポポ:
(コメント)「監獄行きじゃないか」とかね(笑)。なんというか、全員が参加者であり、観客じゃないですか。あれ、純粋に観に来るだけのお偉いさんとかもいるもんなんですか? 要は参加せずに、客席から観ているという。
安:
参加側は、選ばれて参加をしています。
ニポポ:
選ばれてるんだ。
安:
平壌の各学校から学生がもちろん動員されるし、芸術団系の人は全部動員されるし、動員されてない人はもう普通の観客なんで、チケットを買って観に行くという。
ニポポ:
なるほど。チケット代がいくらくらいするのですか?
安:
チケット代は、ちょっとわからないですね。私は招待客みたいな感じで行ってたので。
ニポポ:
いいなあ。
安:
ただ、一応A席・S席とかあって。曖昧ですが、7千円って言ってたかな?
ニポポ:
まあまあな額ですよね。
安:
いや、これは観光客レートなんで。
ニポポ:
なるほど。あれって毎年やってるもんなんですか? 昔は定期的に聞いてたけど、最近はあんまり。
安:
最近はやってないですよね。
ニポポ:
ですよね。となると、あのスタジアムってもう全然使ってないの?
安:
使ってますよ。
ニポポ:
何に使われるんですか?
安:
あれは国際親善試合とかに使われてますね。
ニポポ:
サッカーであったりとか。
安:
そうですね。ブラジルのサッカーのクラブチームが、その練習試合に結構来たりするので。
ニポポ:
あ、意外と交流あるもんなんですね。
安:
そうですね。
ニポポ:
サッカーが人気あるのはわかるんですけど、他に人気な競技とかありますか?
安:
サッカー以外では、バスケや卓球など、満遍なくですね。特に人気があるのがサッカー。
ニポポ:
やっぱりね。野球とかはあんまり人気ないもんなんですか?
安:
全然ないですね。
金の卵を求めてスカウトマンが奔走「北朝鮮のスポーツは人材で勝負するしかない」
ニポポ:
スポーツを教える機関というか、スポーツ専門の体育学校というような存在ってあるの?
安:
ありますね。
ニポポ:
それは何歳くらいから入れるんですか?
安:
最近出来たものなんですけど、サッカーの英才教育校っていうのがありまして、そこは7歳くらいから入れますね。
ニポポ:
ユースの頃から。
安:
そうですね。北朝鮮が小さい時から上手い子を全国からかき集めて、英才教育をして、その国ごと、サッカーのレベルを底上げするというのをやりたがっているみたいで。
ニポポ:
なるほどね。
安:
上手い子ばっかり集めて、寄宿生活とかさせて、というのがヨーロッパにもあるんですけど、北朝鮮でもそれを何年か前からやってますね。
ニポポ:
なるほど。今回みたいな冬季五輪の種目というのは、どの辺でやってるものなんですか? サッカーってイメージしやすいじゃないですか。学校でも空き地でも出来るし。冬季五輪の、雪とか氷が必要な競技でいうと、中国側の施設があるんですかね?
安:
一応アイススケート場があって上手い子が使っている、という感じ。上手くないとやらせてもらえないですからね。
ニポポ:
そこの吸い上げというのは、平壌のエリートの人たちからのみ吸い上げられるものなんですか?
安:
いや、スポーツや芸術に関しては、担当者が自分の足で、全国を周るんです。
ニポポ:
すごい。スカウトマンが、村々を周って「お前いい足してるな」みたいな。
安:
そうそう。学校の体育の授業とかを見て、すごいド田舎の山間部の名もない学校でも、ものすごい金の卵が埋もれてるかもしれないじゃないですか。なので、満遍なく行くんですよ。
ニポポ:
偉いな。そういったきめ細かいことがされてるとかいうイメージはあまり持ってなかったもんね。
安:
やっぱり、お金がないじゃないですか。だから人材で勝負するしかないので。
ニポポ:
なるほど。
安:
だから才能の発掘にかけては、ものすごい手間とお金をかけています。先行投資ですね。国威発揚の意味もあるし。
ニポポ:
なるほど。