中継ぎ投手の葛藤を描くアニメ『グラゼニ』の魅力をハライチ岩井が語る「これだけ喋りで面白いアニメないよ(笑)」
2位 『メガロボクス』
岩井:
2位は『メガロボクス』。面白いんですよ! どこが作っているんだっけ?
――トムス・エンタテインメントですね。
岩井:
本当にめちゃくちゃいいよ。演出も全部いいし、あとアングルもめちゃくちゃいい。ギアレスジョーが、昔に丹下段平が育てたやつと戦うというね。「お前が育てたものを壊したくなったんだよ」って、相手選手が南部さんに言うんですよ。それは結局自分にケリを付けたいみたいな意味で言っていたんですよ。
たぶん自分のボクサー人生は長くないだろうと。足を戦場でふっとばされて、そこから人生が変わっちゃって。メガロボクスも再出発して、義足でやっている男(アラガキ)と戦ったんですけど、それが最後の試合でしたね。ジョーと戦ってKOもせず、判定でもなく、向こうが降参というかそういう形で終わりました。
ストーリーもちゃんとしていましたし、音楽がいいんですよ。戦う時も臨場感のあるところでバッと音楽が入ってきてスパンっとブレイクするところもあったりして、これがめちゃくちゃ良かったんですね。またランクが上がるわけなんですけど、メガロニアに行けるんでしょうか。これはいいリメイクですね。
――『あしたのジョー』原案の新しいアニメってところかな。
岩井:
毎回、映画みたいだもんね。
――最初の第1話で勇利と出会っているシーン、ゴールは勇利なんだろうけど、なんとなくこういうアニメでこういうふうにエンディングを迎えるのかなって分かっていてもついつい見てしまう。面白くないと見られない。
岩井:
見ちゃうね。分かんないとこも結構あるけれど、展開が想像できる部分もそれ通りにきてくれる気持ちよさみたいなものもこのアニメはありますね。
――もう1回負けるとダメなんだよね。アニメの設定上。おそらく勝つんだろうなと分かりながら見ても面白い。
岩井:
南部さんが今回「ジョー、立つんじゃないジョー」って言っていたけどね(笑)。「立つんだジョー」じゃなくて。もう負けていいって。パンチした時の血と汗の感じがすごく良いんですよ。「明日のためなんかねぇ」って言っていたね。あの監督そういう台詞回しが憎いよね。
1位 『グラゼニ』
(画像は『グラゼニ』公式サイトより)
岩井:
今回の1位は『グラゼニ』!
――BSスカパー!のアニメですよ(笑)。
岩井:
これだけ喋りで面白いアニメないよ(笑)。そこまで野球してないからね。見られない人多いから地上波でやっても良かったんですよ。主人公中継ぎ投手なんです。俺もこの中継ぎ投手というのをこのアニメで知ったんです。
前回は引退間近のずっとレジェンドでやってきた選手にデッドボール浴びせちゃって、その選手が骨折して復帰までに時間がかかって今回のシーズンに間に合わなかった。治ってからの再戦。ベテラン選手がそのケガがあってから全然ヒットが打ててない。
自分と再戦するにあたって、自分が2点まで許されている状況でその選手から討ち取っていいのか、それとも三振取っていいのか主人公の凡田の中にそういう気持ちがあるんですよ。自分がケガさせちゃって、ベテラン選手は相手チーム中でギリギリなんですね、ここでヒットを打たなかったらクビを切られるか。
でもここはやらなきゃいけない、そうなると引退させてしまったのは自分ということになるじゃないですか。どうしたらいいんだろうという不安のまま投げて、見事に2点取られて、打たせてしまって2点までに抑えたということでセーフっていう感じで、「あぶねぇ」みたいになっていました(笑)。ずっと凡田の心境が描かれているんで面白いですよね。
――契約してでも見るべき?
岩井:
おれはめちゃくちゃ面白いと思いますよ。
――(コメント)「後々地上波あるかな?」
岩井:
再放送みたいな? あれもったいないね、面白いもん。
制作でスカパー! が入っているから地上波は難しいだろうな。
岩井:
今回めっちゃ面白かったんですよ。凡田が中継ぎ投手の漫画を描きたい漫画家に取材を受けるんですよ。中継ぎ投手の漫画を描いている人はあまりいないので描きたいという『グラゼニ』描いている漫画家さんみたいな人が来るんだけれど。
めちゃめちゃ取材受けて「中継ぎ投手って大変ですよね、どういうのがありますか?」っていろいろ聞かれていたんですよ。それでいざ漫画が始まるから、雑誌を見たら載ってなくて違う漫画が始まっているんですよ。
そしたら漫画家の方が「申し訳ございません、ひよって前にヒットした漫画の続編を描いてしまいました」って、「本当は描きたかったんですけど、下から新人が追い上げているのもあって」と。凡田が「それって野球界も一緒で自分が成績上げないと新人に持っていかれちゃうから気持ち分かります」と。
それで次の試合があった時にストッパーの投手が出られなくなって、急遽凡田かもうひとりかって新聞で見て「行かなきゃ」って漫画家の先生が来るんだけれど、結局凡田じゃない人になり、最後の9回のツーアウトでその人に渡される。
でも、監督が土壇場になって「ちょっとやめた、凡田にする!」って。漫画家の先生は凡田じゃないんだとがっかりしたんだけれど、凡田が出てきて「わぁー!」ってなったんですよ。ここでストッパーをやらせてもらえるチャンス、討ち取れるか試されている場なのね。
そしたら凡田が二塁からランナーが出ていたから二塁に投げたらアウトになって、結局1回も投げずに終わった(笑)。それで試合終了。「あっ、終わっちゃった」みたいになった(笑)。
オチが付いているな(笑)。すごいな。
岩井:
すごいよね。でもこれが野球だ、みたいな感じだね(笑)。
難しいね。もし自分が投手の立場だったら自分の株を上げるために打たれるかもしれないけど投げるのか、二塁に投げてアウトになってこれでチームの勝ちで良かった感じになるのか。
岩井:
その葛藤があるんだよね。チームが勝って、本当はこれでいいんだけど「投げたかったな」と思っているんだよね。漫画家の先生が「チャンスをもらって物にできるか物にできないか勝ち負けなんて紙一重だな」と思って終わる。
いろいろあるんですよ。ドラフト1位で指名されてチームに入った人が成績上げられないでいる、そういうのも凡田は見てきている。でも凡田もギリギリのところにいるからね。めちゃくちゃ活躍しているわけではないんだよね。ちょっと成績悪かったら切られる位置にいるというのが面白いです。野球選手も食えなくなったらどうしようもないからね。
毎回解説の人が野球選手なんだよね。解説の声優で出ている人は一発で「声優じゃないな」って分かる。そのほうが野球の解説っぽいけどね(笑)。
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